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松谷警部と向島の血 [読書・ミステリ]


松谷警部と向島の血 (創元推理文庫)

松谷警部と向島の血 (創元推理文庫)

  • 作者: 平石 貴樹
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/09/25
  • メディア: 文庫
評価:★★★

警視庁の松谷警部と、彼の部下である白石以愛が活躍するシリーズ、
その第4作。

タイトルにあるけど探偵役は松谷警部ではなく
白石以愛のほうである。

第1作では23歳の巡査として登場した白井以愛さんも
本作では37歳の巡査部長へと昇進している。
ついでいうとこの間に結婚もしていて、人妻にもなってる(笑)。

毎回、あるスポーツがモチーフになっているのも
このシリーズの特徴なのだけど、今回は "相撲" である。

そしてそして、今回の事件は松谷警部の退職直前に起こった事件。
つまり "松谷警部最後の事件" でもあるのだ。


松谷警部の定年退職まであと1ヶ月と迫った頃、
両国国技館にほど近いマンションの一室で力士の刺殺死体が発見される。
被害者は函館出身の五稜郭光男(ごりょうかく・みつお)、
渡島(おしま)部屋の十両力士だ。
そして遺体の傍らには「コノ者、相撲道ニ悖ル」と記された紙が。

さらに幕内力士・鴎島(かもめじま)、関脇・葛灘(かつらなだ)と
力士を狙った殺人が続く。

親方が病気入院中の間に力士と愛人関係になった渡島部屋の女将、
部屋の後援会長、相撲居酒屋の亭主、謎の外国人ジャーナリスト、
力士たちが入れあげる風俗嬢と芸者、回転寿司の社長とその秘書。
怪しげな関係者はごまんと出てくるがどれも決め手に欠け、
捜査は膠着状態に。

被害者はいずれも函館近辺の出身であることから
入門前の時期に事件の遠因があると思われたが・・・


流石の白石以愛さんも今回は難事件だったようで
真相に到達するのは警部の退職日の二日前だったりする。

以愛さんの推理は「動機は後回し」が基本方針で進んでいくのだけど
決して動機が軽視されてるわけではなく、
ラストで明かされる犯人の抱えた "事情" は、
充分に同情に値するものだったりする。

個々の事件は取り立てて特別な点はないように見えるのだけれど
そこには犯人が容疑を逃れるために巡らした巧みな "工作" がある。

終盤近く、捜査員全員の前で以愛さんが全容を説明するのだが
これがけっこう複雑で、一度聞いた(読んだ)だけでは
なかなか理解が難しかったりする。
しかし、細かい伏線まできっちり回収されているし
それだけ、がっちり堅牢に作り込まれた作品だということだろう。

犯人あてミステリとしては一級品の出来なのだろうけど
ストーリー展開ではかなり地味な印象を与えるので
先が知りたくてどんどんページをめくらせる・・・
というような作品ではないのだよなあ。
前3作よりはよくなってるとは思うんだけど。

ミステリとしてのレベルの割に星が少なめなのもそれが理由。

nice!(3)  コメント(3) 
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コメント 3

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-04-09 23:18) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-04-09 23:18) 

mojo

コースケさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2018-04-11 00:41) 

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