SSブログ

かくして殺人へ [読書・ミステリ]


かくして殺人へ (創元推理文庫)

かくして殺人へ (創元推理文庫)

  • 作者: カーター・ディクスン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/01/28
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

ヒロインは牧師の娘モニカ・スタントン。
生まれ育った村をほとんど出ることもなく22歳になった彼女は、
こっそり小説を書き上げ、出版社に持ち込んだ。

その処女作は大ヒットを飛ばし、映画化の話まで持ちあがるが
そのことを家族に知られ、村を飛び出してしまう。
内容が、牧師の娘にしてはあまりにも "はしたない" 話で
それを知った伯母に責められたからだ。

モニカはロンドン近郊の映画スタジオにやってきた。
彼女の作品を映画化するプロデューサーに会い、
その脚本を書かせてもらおうと思ったのだ。
しかし彼女に与えられた仕事は、他人の作品の脚色だった。

不本意ながら執筆をはじめた彼女は、なぜか命を狙われるようになる。
スタジオの中のセットで硫酸をかけられそうになったり
銃で撃たれたり(もちろん外れるんだが)。

モニカと共に働いている探偵小説作家ウィリアム・カートライト。
密かに彼女に惚れ込んでいたウィリアムは、犯人を見つけるために
名探偵ヘンリ・メリヴェール卿(H・M)に会いに行くが・・・


今回はタイトル通り、なかなか殺人事件が起きない。
もし起きたらその時点でヒロインが死んでしまうからね(笑)。

犯人あてミステリなので、もちろん「誰が」がメインなのだけど
怪しい人物はたくさんいる。
映画会社の社長、プロデューサー、監督、助監督、女優、脚本家・・・
芸能の世界に生きてる方々は、洋の東西を問わず
エキセントリックな性格の人が多いようで・・・

時はまさに第二次大戦の真っ最中(本書の発表は1940年)。
夜には爆撃に備えて灯火管制も敷かれるという非常時の中で
殺人に手を染めようという人物が跳梁するわけだ。
さらには、スタジオ内にドイツ軍のスパイがいるんじゃないという
噂まで出回るようになり、事態は混迷していく。

そして毎回のことだが、ラブコメ要素も楽しい。
出会った時の第一印象はお互いに最悪だったモニカとウィリアム。
この二人の仲がなかなか進行しそうでしないところもうまい展開だ。

こんなふうに、常に何か新しいことが起こっていって
読者を最後まで飽きさせない。
ストーリー・テラーの腕前については定評のあるカーだからね。

そしてラストにおけるH・Mの謎解きで
もつれた糸がするすると解けていく。
とくに、モニカがスタジオにやって来た早々から
大きな伏線が張られていたことが明かされると、思わず
「えー、あそこで!」と叫んでしまいそう(叫ばなかったけどww)。
そしてそれが彼女が狙われる理由にもつながっていく。

今回は密室はないけれど、不可能犯罪はしっかりある。
中盤過ぎで、誰も手を触れなかったはずの煙草の箱の中に
毒入り煙草が混入されるという事件が起こるのだ。
この謎解きもお楽しみ。

コミカルに見えるシーンにもしっかり手がかりが隠されてるんで
ホントに油断がならない。とにかく読んで楽しいミステリだ。

nice!(2)  コメント(2) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 2

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-09-02 18:09) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。

by mojo (2017-09-02 18:09) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント