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炎路を行く者 -守り人作品集- [読書・ファンタジー]


炎路を行く者: 守り人作品集 (新潮文庫)

炎路を行く者: 守り人作品集 (新潮文庫)

  • 作者: 上橋 菜穂子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: 文庫
評価:★★★

全10巻におよぶ大河ファンタジー、『守り人』シリーズ。
その番外編、第2弾である。

「炎路の旅人」
文庫で約230ページと、ほとんど長編並みのボリューム。
主人公は本編第7巻『蒼路の旅人』から登場するヒュウゴ。
彼が戦災孤児からタルシュ帝国の密偵となるまでを描いている。
祖国であるヨゴ皇国がタルシュの侵攻によって滅亡、
皇帝の近衛兵である〈帝の盾〉であった父も戦死してしまう。
ヒュウゴ自身も命の危険にさらされたが
貧しい漁師ヨアルとその娘リュアンに匿われて生き延びる。
やがて酒場で働き始めるが、下街の不良少年たちの勢力争いに
巻き込まれ、リュアンと共に危機に陥ってしまう。
その二人を救ったのは、謎めいた商人風の男だった・・・
本編では成長した姿で登場し、タルシュ皇帝の後継を狙う
第二王子ラウルに仕えている。
一筋縄ではいかなそうなキャラではあったが、
その一端が本作で明かされる。

「十五の我には」
文庫で50ページちょっとの短編。
養父ジグロと共に用心棒稼業に勤しむ、15歳のバルサが描かれる。
ある隊商の護衛についたジグロとバルサだが、
他の護衛士たちが盗賊に内通していた。
襲撃を受けた二人は奮戦するが如何せん多勢に無勢、
バルサは深手を負ってしまう。
彼女の傷が癒えるまで、ジグロは住み込みの用心棒として
小さな宿場町に留まることにした。
そこの酒場で、バルサは二人を裏切った護衛士を見つけるが・・・
本編では初登場時にして既に30歳と、
いささか薹がたった(失礼!)主役だなあ・・・と思ったものだが
彼女のパーフェクトなソルジャーぶりを読んでみると、
この年齢設定に納得したものだ。
しかし本書のバルサは15歳。腕はともかく精神的にもまだまだ未熟で
無理して背伸びをしている様がなんとも微笑ましく、かつ痛々しい。
それを温かく支えるジグロもまた、その度量の大きさを見せる。
本編開始時には既に故人になっているジグロだが、
彼の "魂" はしっかりバルサに受けつがれているのがわかる。


うーん、やっぱり本編の続きが読みたいなあ。
ヒュウガなんて本編後の時代にこそ本格的な活躍の場がありそうだし、
バルサとタンダのその後も知りたいし、
なにより、二十歳前にして既に "名君" の片鱗を見せている
チャグムの治世を見てみたい。

長編でとは言わない(もちろん長編が出れば万々歳だが)。
短編集でもいいので、"その後" の話が読みたいなあ・・・

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mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-08-27 21:06) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-08-27 21:06) 

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