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届け物はまだ手の中に [読書・ミステリ]

届け物はまだ手の中に (光文社文庫)

届け物はまだ手の中に (光文社文庫)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/10/08
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

楡井和樹と設楽宏一は、小学校時代に陰湿ないじめに遭っていた。
自殺さえ考えた二人を救ってくれたのは恩師・益子だった。

高校そして大学へと進んだ二人に、悲報がもたらされる。
命の恩人ともいうべき益子が、通り魔に殺されたのだ。
しかし、犯人として逮捕された男・江藤は、
裁判で無罪判決を受ける。犯行時に心神耗弱状態と判断されたのだ。

「司法は当てにならない」
そう考えた二人は、自らの手で
江藤に正義の鉄槌を下すことを決意する。

しかし、大学時代に同級生と結婚し、
同時にベンチャー企業を立ち上げた設楽は
実業家として成功、裕福な資産家となって
いつしか復讐の心を忘れていった。

一方、大学卒業後に公務員となった楡井は、
一人で復讐の機会を虎視眈々と狙っていた。

そしてついに江藤の殺害に成功するが、
楡井の復讐はまだ完結しない。
裏切り者の設楽に、江藤殺害の事実を突きつけるまでは。

物語は、楡井が江藤殺害の証拠となる、ある "もの" を持って
設楽の暮らす豪邸を訪れるところから始まる。

楡井は、設楽の妻・さち子、妹の真澄、そして秘書の遠野嬢と
三人の美女から歓待されるが、肝心の設楽が姿を現さない。
仕事でずっと書斎に籠もっているというが、
どうやらそれだけが理由ではないらしい。

その日はたまたま4歳になる設楽の息子の誕生パーティー。
それにもかかわらず、姿を見せない設楽。
一体彼に何が起こっているのか?

楡井は、三人の美女との会話を通して、
彼女らが "共謀" して隠しているらしい事情を探ろうとするが・・・


石持浅海は、"特殊状況下のミステリ" を
いくつも産み出しているけれど、
今回もまた意表を突く展開で驚く。

楡井は警察から逃げ切ろうなんて気はさらさらなく、
設楽に、ある "もの" を突きつけて
一言なじれば気が済む、はずだったのだが・・・

設楽を待っている間に、設楽の息子・大樹に
すっかり懐かれてしまったり、
幼なじみでもある真澄との間が
なんだかいい雰囲気になってきたりと
彼の方にもいろいろな変化が現れる。


読者は、いったいどういう風に着地するのか
皆目見当がつかないまま最終章を迎えるだろう。

そして明らかになる設楽の秘密と、楡井&三美女との決着。

よく「意外な結末」なんて言葉があるけれど、
この作品のラストにこそ、この言葉はふさわしいと思う。

いやあ、この展開には脱帽しました。
何て言ったらいいんだろう。
これ、ひょっとしてハッピーエンド(?)なのかなぁ。


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mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2016-05-03 22:47) 

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