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Spiral めくるめく謎 ミステリー傑作選 [読書・ミステリ]

Spiral めくるめく謎 ミステリー傑作選 (講談社文庫)

Spiral めくるめく謎 ミステリー傑作選 (講談社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/11/15
  • メディア: 文庫



評価:★★★

2008年に発表された短編ミステリから
日本推理作家協会が選んだベスト・アンソロジー。
文庫化に際して二分冊され、本書は後半の8編を収める。

読んでみてから気づいたが、8編中6編が既読だったよ・・・
うーん、積ん読もいい加減にしないとこういうことが起こるんだね。
今年の課題はいかに "積ん読在庫" を減らすかだなぁ・・・

「犭(ケモノ)」(道尾秀介)
 短編集「鬼の跫音」で既読。
 主人公は浪人生。刑務所の受刑囚が作成した椅子を購入したところ、
 その脚から受刑囚が記したとおぼしき文字と署名が見つかる。
 主人公はその意味を探るべく、受刑者の故郷へ向かうが・・・
 ミステリとしての出来はともかく、こういう凄惨な話は苦手だなあ。

「駆込み訴え」(石持浅海)
 短編集「攪乱者」で既読。
 政府打倒を企むテロリスト集団に所属するヒロインは
 組織からの命令で、あるコンビニでアルバイトを始めるが・・・
 事件そのものよりも、コンビニのバイトが
 体制転覆とどう結びつくかの "理屈づけ" のほうが面白かったりする。
 でもまあ、シリーズ全体を読めばともかく、本作だけを読むと
 このテロ集団は何を考えているんだろうって思われるだろうなあ。

「モドル」(乾ルカ)
 短編集「メグル」で既読。
 ヒロインの母親が、入院した父親の看病中に
 指にはめていた結婚指輪を紛失する。それがもとで
 もともと良くなかった両親の仲がさらに悪化してしまう。
 そしてヒロインが大学から紹介されたバイト先は
 父親が入院していた病院内の売店だった・・・
 短編集「メグル」はミステリ2作とホラー3作という構成。
 「モドル」は "日常の謎" 系ミステリとして良くできてた。
 でもホラー系は好きではないのでねぇ・・・

「第四象限の密室」(澤本等)
 短編集「新・本格推理08 消えた殺人者」で既読。
 これは短編ミステリを一般公募し、そのうちの
 優秀作を選んで一冊にまとめるという趣向の本。
 作者は、新人賞の入選経験はあるようだが、
 まだ本格的なプロではないはず。
 でもこのアンソロジーは、そういうところまで目配りして
 作品を選んでるんだねえ。
 内容としては、オーソドックスな密室もの、という感じ。
 密室内で起こった殺人の、唯一の "目撃者" が盲目だった、
 というのがユニークであり、かつ事件成立のポイント。

「身代金の奪い方」(柄刀一)
 「天才・龍之介がゆく!」シリーズの一編。これは既読ではない。
 所用で箱根を訪れた龍之介と従兄弟の光章は、
 女子高生の誘拐事件に巻き込まれ、
 図らずも身代金の運搬係をする羽目になる。
 携帯電話で下される犯人の意外な指示に右往左往する警察、
 そしてその内容から犯人の意外な目的を見抜く龍之介。
 ラストに至って「なるほど」と納得する犯人の正体でした。

「渋い夢 永見緋太郎の事件簿」(田中啓文)
 短編集「辛い飴」で既読。
 ジャズミュージシャン・永見緋太郎を探偵役とするシリーズの一編。
 趣味が高じて自宅にライブスペースを作ってしまった会社社長。
 そこでコンサートをすることになった氷見が属する唐沢クインテット。
 しかしそのスタジオはしばしば楽器がなくなり、コンサート直前には
 なんとグランドピアノが一台まるまる姿を消してしまった・・・
 ピアノ消失のトリックは、まあそれしかないだろなぁ。
 でも、毎度のことながら、彼らの演奏シーンの楽しそうなこと。
 このシリーズ、読むたびにジャズを聴きたくなって
 YouTubeを開いてしまう。

「しらみつぶしの時計」(法月綸太郎)
 短編集「しらみつぶしの時計」で既読。
  ある組織の研究員に応募した主人公が課されたテスト。
 デジタル・アナログ取りそろえた1440個の置き時計。
 しかもすべて1分ずつずれている。24×60=1440だからね。
 この中から、正しい "現在の時刻" を示している時計を
 見つけ出さねばならない。タイムリミットは6時間。
 正しい時計を見つけていく論理展開もスゴイが
 まず、こういうシチュエーションを考えつく発想がスゴイよね。

「ハートレス」(薬丸岳)
 これも既読ではない。
 元暴走族のリーダーだったホームレス・翔太が殺害される。
 その捜査に現れたのは、およそ刑事らしくない刑事・夏目。
 ある事情から同じホームレス仲間になった男・雅之は、
 夏目の口から、翔太がかつて傷害致死事件を
 起こしていたことを聞かされる。
 謎解き要素よりも、犯人や登場人物の心情描写がメイン。


8編中6編が再読だったけど、あまり気にならなかった。
それだけ、作品として良く出来たものが多かったということだろう。
ただまあ、時間も無限にあるわけではないので、
今後はこうならないように、アンソロジーはあまり積ん読に回さないで
早めに読むことを心がけようと思う。


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mojo

makimakiさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2015-02-17 20:39) 

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