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倒叙の四季 破られた完全犯罪 [読書・ミステリ]


倒叙の四季 破られた完全犯罪 (講談社文庫)

倒叙の四季 破られた完全犯罪 (講談社文庫)

  • 作者: 深水黎一郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/03/15

評価:★★★

 ネット上に存在すると言われる幻の裏ファイル《完全犯罪完全指南》。
 そこには、殺人を犯しても捕まらないための数々の方法が、手取り足取り記されているという。
 一見するとPDFファイルのようだが、コピーもプリントアウトもできず、スクリーンショットを撮れば文字化けするので、ディズプレイ上で読むしかない。しかも一定時間後は自動で修復不可能なまでに壊れてしまう。

 その《完全犯罪完全指南》を手に入れた4人の男女が完全犯罪に挑む。そして彼らと対決するのは、作者のシリーズキャラクターでもある警視庁捜査一課の海埜(うんの)刑事だ。

 「物証がないだろう」と嘯く犯人に対し、致命的なミスをビシッと指摘して引導を渡していく。


「春は縊殺 やうやう白くなりゆく顔いろ」
 政治家の息子である ”私” は、将来の政界進出の足かせになると、妊娠した恋人を自殺に見せかけて殺害するが。
 海埜が最後に指摘するミスは理解できるのだが、その前に語った○○○○○○○○って、描写されてたかな? 読み返してみても書いてないような。私の読み落とし? まあ、なくても問題ないレベルと言えばそうなのかも知れないが。

「夏は溺殺 月の頃はさらなり」
 愛する人を奪い、妻にした男が許せない ”私”。
 共通の趣味である夜釣りに呼び出し、溺死に見せかけて殺害した後は死体を沖合に投棄したのだが。
 このオチは分かったよ ヾ(^v^)k。

「秋は刺殺 夕日のさして血の端いと近うなりたるに」
 30歳になってもプー太郎の ”私”。唯一の身寄りで資産家の伯父は、そんな姿を見て「お前に遺産はやらん」と言い出す。
 そこで、物取りの犯行に見せかけて殺害するのだが・・・
 このオチは「何となく、こうじゃないかなぁ・・・自信はないけど」って思ってたら、当たった(笑)。

「冬は中毒死 雪の降りたるは言ふべきにもあらず」
 ”私” の弟は12年前に死んだ。彼を死に追いやったのは、私の友人だった女。
雪深い山麓にある彼女の家を訪れた ”私” は、練炭を使った自殺を装い、彼女を殺害するが。
 海埜刑事が最後に指摘するように、この犯人はあちこちでミスを仕出かしている。そのうちのいくつかは分かったけど、最後の決め手が ”アレ” ってのはねぇ・・・まあ日本の警察は執念深そうだから、見つけちゃうんだろうけど。
 って思ってたら、最後にサプライズが。

「エピローグ」
 最後は《完全犯罪完全指南》にまつわる謎が明かされるんだろうと思っていたし、実際そうだったんだけど、真相は私の予想とは違ってたかな。
 てっきり、”あの方” が関わっていると思ったんだが(笑)。



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