バチカン奇跡調査官 天使の群れの導く処 [読書・ミステリ]
評価:★★★
カソリックの総本山、バチカン市国。
そこには、世界中から寄せられてくる "奇跡" 発見の報に対してその真偽を判別する調査機関『聖徒の座』がある。
そこに所属する天才科学者の平賀と、その相棒で古文書の解析と暗号解読の達人・ロベルト。「奇跡調査官」である神父二人の活躍を描く第22弾。
長編としては17作めになる。
モスクワ発香港行きアエロフロート208便は、高度9000mを夜間飛行中にトラブルに巻き込まれる。突然エンジンが停止し、電子機器が使用できない状態になってしまったのだ。
辛うじて動翼の油圧系統は作動するが、機体は徐々に高度が下がり始める。目の前には標高7500mの天山山脈がそびえている。
絶望しかけた機長たちの目前に、雲のような発光物体が現れる。その中に見えたのはなんと ”天使” だった。
”天使” の後を追った208便の前に、空港の滑走路が現れる。そこはキルギスのマナス国際空港だった。208便は緊急着陸に成功、無事の帰還を果たした。
その同じ夜。キルギスの首都ビシュケク郊外のカソリック教会でも異変が起こっていた。入り口に立つ巨大なキリストの像が、一夜のうちに90度向きを変えていたのだ。その向いた先にはマナス国際空港があった・・・
というわけで平賀とロベルトのコンビが現地調査に赴くことに。
キルギスという国はあまり馴染みがないのだけど、人種や宗教、歴史、政治なども詳しく紹介されたりして、紀行ものの雰囲気も。もっともその内容が、あとあとになって効いてくるのだけど。
2人は手分けして、208便と発光物体の飛行をたまたま撮影した民間人から動画データを手に入れたり、キリスト像の接地部分の構造やらを調べたり。
そこで分かったのは、動画データにはたしかに光る雲の中に天使らしき形が見えること、動画データには加工のあとは一切ないこと。
キリスト像の回転には、力持ちの人間を100人単位で集めても難しいこと。
今まで数々の奇跡の正体を暴いてきた二人だが、流石に今回は奇跡認定せざるを得ないか・・・となるのだが、もちろん終盤にはしっかり奇跡の謎解きが行われる。
ただ、キリスト像の回転は何となく見当がついたよ。某国産ミステリにも同様の現象が扱われていたし。ただ、そのスケールが桁違いに大きいけどね。
”天使の飛行” についてはさっぱり分からなかった。いったいどんな理屈をつけるのかと思ってたんだけど、終盤の謎解きで納得。確かにこんなカラクリなら、天使が飛んでるように見えるかもなぁ・・・って思わされる合理的な方法が示される。
実現可能性はちょっと分からないが、少しでも可能性のある手段があると分かれば、このシリーズの場合はOKだと思ってるので。
いままで ”奇跡” として現れた現象は、たいてい犯罪と結びついていたりした。しかし今回はほとんどそういう気配がない。
じゃあ、今回は純粋に現象自体の解明で終わるのかと思いきや、実はその陰に・・・となる。しっかりとそれなりの背景が用意されていて、犯罪ではないかも知れないが、ある意味、犯罪より深刻なことかも知れない。
そういう事情があったゆえの ”奇跡の出現” だったわけで、詳しく書くとネタバレだけど、たしかに目の付け所はいいと思った。
次回はどんな ”奇跡” を見せてくれるのか。このシリーズ、けっこう楽しみにしてるんだよなぁ。
名探偵の証明 蜜柑花子の栄光 [読書・ミステリ]
名探偵の証明 蜜柑花子の栄光 (創元推理文庫 M い 10-5)
- 作者: 市川 哲也
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2021/10/19
- メディア: 文庫
評価:★★★
前作『密室館』の事件を終え、探偵事務所を開いた蜜柑花子。時間がある限りどんな事件でも引き受けるので多忙を極めている。
語り手は前作に続いて日戸涼。前作では花子を敵視する役回りだったが、いろいろあって現在は花子の助手を務めている。
その事務所を訪れたのは、これも前作に登場した女子大生・祇園寺恋(ぎおんじ・れん)。彼女の母親が花子を狂信的に信奉する団体に囚われているという。
この祇園寺恋というキャラクター。ある意味、前作と今作は彼女が主役といっていいくらい重要なポジションを占めている。
どう大事なのかはネタバレになるが、本書を読む場合は、前作『密室館殺人事件』を読んでおくことをオススメする。
彼らの要求は、花子に4つの未解決事件を再調査させ、真相を突き止めさせること。与えられたタイムリミットは144時間(6日間)。それができなければ恋の母親は殺されるのだという。
事件の現場は4カ所。移動は車のみ。しかも順番が指定されている。東京を出発し、大阪→熊本→埼玉→高知と回らなければならない。
花子は涼と恋とともに、4つの事件解決のために全国を走り回ることになる。
大阪では人体発火現象、熊本ではカルト教団の建物で起こった人体消失、埼玉では足跡の無い殺人現場に残されたダイイングメッセージ、高知では猟奇殺人犯への復讐を果たした犯人がもつ鉄壁のアリバイ。
それぞれの事件を解決しては次の場所へ向かう花子。しかし休息もろくにとれない強行スケジュールゆえに、時間がたつごとに疲労困憊、憔悴の度を深めていくことに・・・
4つの事件のうち、高知の事件はかなりエグい真相が出てくる。こちらもかなり猟奇的。復讐のためには手段を選ばないというのはわかるが、これは究極の方法だね。
もちろん、4つの事件を解決するだけでは終わらず、このあとさらにもうひと捻り、ふた捻りが待っているのだが・・・
ミステリとしては、かなり密度の高い作品。注ぎ込まれたトリックの数も種類も豊富だし、力作なのは間違いない。
だけど、星の数が今ひとつなのは、やっぱり祇園寺恋というキャラが好きになれないことが大きい。
まあ、およそ読者からの感情移入を受け付けないような言動を繰り返しているので、そういう感想を持つのは作者の筆力の賜物なのだろうが・・・
”シリーズ完結” と銘打ってあるのだけど、これは「”名探偵の証明” シリーズの完結」という意味だとも解釈できる。ならば今後も花子さんの登場は続くのかもしれない。全く新しいシリーズを立ち上げるのかもしれないけど。
私は、どちらかというと前者であってほしいかな。中葉悠介の出番ももっと見たいしね。
ただその場合は、祇園寺恋さんの扱いが難しいかな。○○○○○○○○みたいな登場になるのか、それとも一切出さないのか。
血の色の記憶 [読書・ミステリ]
評価:★★★☆
主人公は京都に暮らす中学3年生、生駒川菊巳(いこまがわ・きくみ)。
彼は色が識別できない視覚障害を持っているのだが、幼少時には色が判別できた記憶がある。つまり彼は、珍しい後天的な色覚障害なのだ。
家族は母、再婚した義父、その連れ子の義妹の4人。
しかし菊巳には幼い頃に、自分ではない別の子どもに対して「菊巳」と呼びかける女の人を見た記憶があった。
自分は本当に ”菊巳” なのだろうか・・・?。
アイデンティティーに悩む菊巳は不登校状態になってしまう。
ある日、ネットで自分の視覚障害について検索していた菊巳は、同じ障害を持つ人が運営する「ランボー・クラブ」というサイトを発見する。
そのトップにはアルチュール・ランボーの詩が掲げられていた。フランス語で表記されていたにもかかわらず、なぜか菊巳はその詩を読み、内容を理解することができた。フランス語なんて習ったこともないのに・・・
その頃、京都で探偵事務所を営む三井麻理美(まりみ)のもとへ、人捜しの依頼が入る。東京で病院を経営する川端という男性が、11年前に失踪した妻と息子を探してほしいというのだ。最近、その妻に似た女性を京都で見たという情報が寄せられたのだという。
息子の名は条次(じょうじ)。今は16歳になっているはずだという。
物語は菊巳のパートと、麻理美のパートが交互に語られていく。
不登校の菊巳は、スクールカウンセラーの小林から、母が離婚する前の夫、すなわち実父の名が荒井鉄三だということを聞き出す。
その直後、菊巳の前に荒井鉄三本人だと名乗る男が現れるが、数日後に死体となって見つかる。第一発見者は菊巳、そして死体はランボーの詩をなぞらえたような状態になっていた。
このあとも菊巳の周囲では殺人が続き、川端の妻子は単純に失踪したのではなく、その裏には深い謎が潜んでいたことが明らかになっていく。
後半に入り、母と義父が信じられなくなった菊巳は単独で、ある行動に出ることになるが・・・
文庫で430ページほど、かなりのボリュームのある小説だ。
失踪した母子の戸籍の問題、失踪前の川端の妻が傾倒していた占い師、暴力団とみられる男からの脅迫、ある会社で起こった未解決の毒殺事件、ランボーの詩の見立て殺人、密室の中での死体発見、そして終盤には最新の医療技術までと、実にたくさんの要素が盛り込まれている。
この情報量の多さが事態を錯綜させ、真相への道筋を分かりづらくさせている。最後に至ると、どのピースもきちんとはまって全体の絵が見えてくるのだが。
菊巳のパートは重苦しい雰囲気に包まれているが、探偵役となる麻理美とその助手との会話のパートは軽妙で、それがいい緩衝材になっている。
終盤で出てくる医療関係の情報にはちょっと疑問符がつくのだけど、それは瑕瑾だろう。
真実の自分を見つけるまでの少年の冒険行を描いた、よくできたミステリだと思う。
名探偵の証明 密室館殺人事件 [読書・ミステリ]
名探偵の証明 密室館殺人事件 (創元推理文庫 M い 10-4)
- 作者: 市川 哲也
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2021/07/21
- メディア: 文庫
評価:★★★☆
名探偵・蜜柑(みかん)花子が活躍するシリーズ、第2作。
語り手は大学生・日戸(ひのと)涼。
ミステリ作家・拝島(はいしま)登美恵から取材と称して呼び出された彼は、謎の屋敷内に監禁されてしまう。そこには彼を含めて8人の男女が囚われていた。
拝島のファンという女性、タンクトップ姿のトラック運転手、眼帯をした男子大学生、サイドポニーの女子大生、そして鎧兜を装着した中年男、枕カバーを頭から被って筆談しかしない男。さらに、蜜柑花子の姿まであった。
彼らの前に姿を現した拝島はこう告げる。
「これから、この屋敷内で殺人が起こる。
そのトリックを論理的に解明できれば解放する」と。
地下1階、地上3階建てのその建物には外部への出入り口はない。その中で次々と殺人事件が起こっていく・・・
本書の内容を紹介するのは難しい。
クローズト・サークルものなのだが、犯人が予め拝島と分かっており、花子をはじめ登場人物たちは殺害のトリック(密室など)を解明することが目的として行動していくことになる・・・のだけど、それだけではない、とだけ書いておこう。
本書のもう一つの特徴は、語り手となる日戸涼の内面描写を通じて ”名探偵” とは何者か、ということが描かれていること。
涼は断言する。「名探偵は死神である」と。名探偵が存在する故に凶悪な事件が発生する。探偵が事件を呼び寄せているのだ。
彼はかつて、ある事件で家族を惨殺されて以来、名探偵というものに対して激しい恨みの感情を抱いている。
何度も事件に遭遇しながらも、多くの犠牲者が出てからでないと犯人に至ることができない。そんな奴が名探偵なんぞであるものか。無能なのだ、と。
であるから、今回の事態に遭遇して、涼は花子に対して激しい敵意を燃やすことになる。名探偵ならば、早くこの事態を解決して見せろ、と。
まあ、涼くんの言い分によれば、名探偵が存在しなければ事件も発生しない。事件が起こっても、名探偵なら第一の殺人ですでに犯人を指摘できてしまって、連続殺人なんて成立しなくなってしまう。
彼の発言はミステリという形式自体を否定するものということになる。
ミステリ世界の中では、推理に必要な材料が揃うまで探偵は真相を口にしない。その材料にしたって、探偵は神ではないのだから作品内で起こっていることを全て知ることはできないし、その解釈が正しいという保証もない。
ミステリは、読者は作品内に提示されたものを信じるという、作者と読者の暗黙の合意事項で成立する物語形式なのだから・・・
涼くんの考えはほとんど難癖の部類なんだが、そういうキャラが語り手になってることで、拝島vs花子 とは別に、涼vs花子 というもう一つの対決も本書の読みどころになる。
それでも本書はミステリであるから、終盤に至って花子の推理はこの館の中で起こったことをすべて解明してみせるのだが、この後でさらにもう一段、ひねりがある。
拝島の事件としては本書で解決なのだけど、「名探偵とは」というテーマは次作『蜜柑花子の栄光』へ持ち越される。
こちらも読了済みなので、近々記事をアップする予定。
竜鏡の占人 リオランの鏡 [読書・ファンタジー]
評価:★★★☆
巨大な湖水・ティラン海のほとりにある交易国家・リオラン。そこを治める王族には3人の王子がいた。ジャフルは現王の子、アラバスの父は宰相を務め、ネオクの父は書記官長の職にある。いずれも10代後半という生意気盛り。
3人揃って坊ちゃん育ち。ジャフルは薄っぺらく、アラバスは頭でっかち、ネオクは享楽的な性格と、要するに揃いも揃った ”三馬鹿王子” というわけだ。
しかしリオランを取り巻く状況は平穏ではない。現王は病床にあり、その隙を狙ってか北からは騎馬民族のノイウルン族が、東からは大国・央美(おうび)国が迫ってこようとしていた。
王宮ではジャフルの母だった正妃がなくなり、美貌の第二王妃・カトラッカが権勢をふるっている。
ある日、3人の王子はカトラッカに呼び出され、〈竜鏡〉(りゅうきょう)というものの存在を知らされる。それは過去も未来も映し出す力を持ち、それを使えば世界を統べることもできるという。
3人はカトラッカにそそのかされ、〈竜鏡〉探索の旅へと出ることになってしまう。しかしそれは、カトラッカと彼女の腹心にして愛人のエスクリダオによる陰謀で、王子たちを王宮から放逐し、あわよくば野垂れ死させることを画策していたのだ。
3人の王子に加え、ジャフルの妹で占人見習いのジャフナ、奴隷秘書のガドロウ、護衛役の戦士バンダクの総勢6人で湖水を渡る交易船に乗り込み、遥かな冒険の旅に出ることになる・・・のだが、なにせ三馬鹿王子だからね。
行く先々で欺されたり、メンバーがバラバラになったり、悪徳商人に捕まったりとトラブルの連続に巻き込まれることになる。彼らの旅は、序盤からは思いもよらないほど長期間にわたるものになっていく。
本書は、この〈竜鏡〉探索の旅を通じて、三馬鹿王子たちが庶民の生活、世間の厳しさを知り、さらには過酷な境遇を味わうことで、次第にたくましく成長していく姿を描いていく。
もっとも、3人のうち1人はさっぱり成長しない、というか、さらに悪化するんだが(笑)。
もちろんファンタジー要素も満載だ。
〈竜鏡〉に関わった者たちは転生を繰り返し、怨讐の因縁に囚われている。カトラッカとエスクリダオもまた、意外な過去世が明らかになっていく。
湖水に棲むティランの女神も竜の化身となって現れ、スペクタクルな戦いのシーンを見せてくれる。
序盤では、王子たちのあまりのふがいなさに「この国は大丈夫か?」って思わされるが、旅を終えた彼らを見ると「まあ何とかなりそうかな」くらいにはなってるかな。
途中の苦難の部分を読んでると、いつ挫けるか心配してしまうのだが、彼らは最後まで頑張ってくれる。このあたり、ちょっと展開が甘い気もするが、そこに拘るのは本筋ではないだろう。
読者も彼らが試練を乗り越えるのを期待するし、それに応えてみせてこその主人公だよね。
できれば、数年後の彼らの様子が知りたいなあとも思った。短編でもいいから、書いてくれないかなぁ・・・。
灰色の棺 放浪探偵・呪師霊太郎 [読書・ミステリ]
評価:★★★
昭和12年11月。詩人・北原白秋は、その人気の絶頂期を迎えていたが、過労のためか眼底出血を患い、入院していた。
本書の主人公・矢代(やしろ)夕子は、出版社で働く22歳の女性編集者。縁談がまとまり、年内を以て退職の予定であったが、最後の仕事として白秋の担当を任されていた。
その白秋のもとへ脅迫状が届く。そこには「おまえは中島白雨(はくう)の才能を盗んだ」と記されていた。
中島白雨、本名は中島鎮夫(しずお)。17歳で自ら命を絶った、白秋の親友の名であった。
時を同じくして、夕子の父のもとへ故郷である福岡・柳川の本家から連絡が入る。本家である綺羅(きら)家は造り酒屋を営んでいたが、家督相続を巡って親族会議を開くという。
父の代理として柳川へ赴くことになった夕子だが、綺羅家にも同様の脅迫状が届いているという。綺羅家もまた、家業を通じて北原家と交流を持っていたのだ。
九州へ向かう前、病院の白秋を見舞いに行った夕子は、そこで謎の青年を見かけ、後を追う。彼は新宿にある安アパートに入り、夕子もまた中に入るが、そこで見つけたのは血まみれの男の死体。そして部屋にあった金魚鉢の中では、金魚が一匹、死んでいた。
綺羅家では当主が亡くなり、未亡人となった鈴(すず)が家業を継いでいた。しかし、亡夫に淳一郎という庶子がいたことが分かり、改めて鈴は彼に家督を譲ろうとしていた。しかし亡夫の2人の弟がそれに反対していた。
そんな中、柳川へやってきた夕子の前で、さらなる殺人が起こる・・・
本書の冒頭に白秋の『金魚』という詩が掲げられている。金魚を一匹ずつ殺していくという何とも不気味な詩なのだが、その詩をなぞったような殺人事件が続発する。
登場人物はさほど多くなく、しかも複数の死人が出るので、容疑者も減ってくる。しかしながら夕子以外の登場人物はみな、いかにも胡乱な言動を繰り返すので、なかなかこれと絞り込むことができない。
それでも、犯人の正体にはミステリらしい驚きを感じるし、犯人が ”見立て殺人” に仕立て上げた理由もまた納得できるものだ。
そしてなにより、昭和12年という時代でこそ成立する物語になっている。
盧溝橋事件の直後であり、これから中国との本格的な戦争に突入しようとしている時代。戦争によってねじ曲げられた人々の運命、残された後悔の念、そして悲しみが読後の余韻となって残る。
そんな中で、当時の女性には珍しくアクティブで前向きな夕子さんの存在が光っている。
消滅 VANISHING POINT [読書・冒険/サスペンス]
消滅 VANISHING POINT (上) (幻冬舎文庫)
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2019/01/23
消滅 VANISHING POINT (下) (幻冬舎文庫)
- 作者: 恩田 陸
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2019/01/24
- メディア: 文庫
評価:★★
舞台は国際空港。
作中に明言されてないけど、たぶん東京国際空港(羽田空港)だと思われる。
そこに到着し、入国管理を待つ乗客たち。しかしそこで突然、空港内に非常ベルが鳴り渡る。
同時に大規模な通信障害が発生し、携帯電話をはじめとする通信機器が使用不能に陥る。
そんな中、入管の列から引き離され、別室へ連行されてしまう乗客たちが。
その数、全部で11人。年齢も職業もまちまちだ。連行される前の乗客たちの様子を、小さいエピソードを重ねながら紹介していくのが上巻の前半部だ。
彼らが連れ込まれた部屋には若い女性がいた。しかし彼女は人間ではなかった。高性能なAIを搭載したヒューマノイド(人間型ロボット)だったのだ。
彼女は ”キャサリン” と名乗り、こう言う。
「この中にテロリストがいます。皆さんは協力し合って、自分にかけられた嫌疑を晴らし、テロリストを見つけだしていただきたい」
要するに自分たちの手でテロリストを見つけろというわけだ。当然ながら乗客たちは「何だって!?」と怒り出すわけだが、見つかるまでは入国させないと言われてしまう。どう転んでも国家権力には逆らえないわけで、しぶしぶ話し合いを始めることになる。
・・・となるのが上巻の半ば。
以後、たまに食堂に移動したりするシーンとかはあるけれど、基本的には一つの部屋の中での会話劇として進行していく。
本書は文庫で上下巻、計680ページほどだが、その大部分の500ページ近くがこの部屋の中で起こることだ。読んでいて思ったが、舞台劇みたいになってる。
場面の変化もないし、(終盤を除いて)新たなキャラが登場することもなく、アクションシーンもなく、ひたすら登場人物同士の会話だけが続く。
じゃあ退屈か?というとそんなこともないんだな。直木賞作家という肩書きはダテじゃない。会話だけでも十分読み手の興味をつなぎ、ページをめくらせるのは、巧の技といえるだろう。
だけど星の数が少ないのは、読み終わったときにあまり満足感が得られなかったから。たしかに ”テロリスト” の正体は判明するし、彼らの目的もわかるのだけど、その ”オチ” に至るまでに、これだけのページ数が必要だったのかなぁ、とも思う。
とはいえ、読んでしばらく経ってからつらつら思いついたことはある。あまり書くとネタバレになるのだけど、本書のテーマのひとつには「コミュニケーション」があると思う。
間にロボットが入ることで、乗客たちと、彼らを隔離した政府との間のコミュニケーションには断絶が生じる。つまり政府には、彼らと直接接触しようという意思はないことが示されるわけだ。アンドロイドを持ち出してきた理由については、後ほどそれらしいものが明かされるのだけど。
乗客たちからの対外的なコミュニケーションを司るはずのキャサリンだが、完璧なAIなど存在しないから、当然ながら彼女と乗客たちとの間の意思疎通はうまくいかないこともしばしば。
人間同士の会話だって、言葉だけでお互いのことを知るには限界がある。しかし、長い時間話し合っていくうちに、彼らの間にはある種の仲間意識も生まれていく。
そういうコミュニケーションの有り様を描くために、この長大な会話劇が必要だったのかもしれない。
でもね、本書を読了した直後は「ああ、長かったなぁ~」くらいしか思わなかったんだけどね(笑)・・・。
星巡りの瞳 [読書・ファンタジー]
評価:★★★★
舞台は前作『星砕きの娘』と同じだが、時代は数百年遡る。ストーリー上のつながりもないので、こちらを先に読んでも一向に差し支えない。
当然ながら共通して登場する人物もいない。厳密に言えば1名だけいるのだが、それが判明するのはかなり終盤になってからだし、ストーリーに大きく関わるわけでもないので、これも問題ない。
舞台は日本の中世を思わせる敷島(しきしま)国。あちこちに〈鬼〉と呼ばれる怪物が跋扈している世界だ。
現在の都・寧治(なち)には国を統べる大王(おおきみ)がおり、まもなく春宮(はるのみや)[王太子]が指名されることになっていた。
主人公は柳宮(やなぎのみや)家の嫡子・白珠(はくじゅ)。物語開始時点で15歳。王位継承権を持つ五つの宮家の一員であり、同い年の相楽(さがら)とともに春宮の有力候補であった。
大王の長い治世を祝う〈春告鳥の舞〉の日。舞台に上がった白珠の前に、突然〈鬼〉が現れた。鬼は白珠に襲いかかって右眼を負傷させ、宴の場は大騒ぎに。
白珠は「鬼を呼び寄せた」という理不尽な罪を着せられ、全ての官職を失ってしまう。
それから5年。春宮には相楽が指名され、白珠は宮家からの放逐は免れたものの、あちこちの女性と浮名を流すなど、すっかり放蕩者になってしまった。
しかし、〈春告鳥の舞〉の日の騒ぎは記録にも全く残っておらず、さらには人々の記憶からも消えていることに白珠は気づく。これはいったい何故か。
そんなある日、宮中に仕えていた妹・小紅(こべに)が白珠のもとを訪れる。彼女に対して ”御所守(ごしょもり)” の任が打診されたという。
”御所守” とは、いまは廃墟となっている旧都・香久(かぐ)の番人とも言える役どころ。
香久から寧治への遷都が行われた後、旧都には鬼が出没するようになった。そこで大王は ”御所守” を置くことにした。
初代の ”御所守” は大王より預かった神剣を以て鬼を一掃、さらに新たな鬼が入りこまないように旧都一帯に結界を張った。以後、代々の ”御所守” は結界の維持に務めることが任務となった。
作中では明言されていないようだが、 ”御所守” はほぼ終身制らしく、いったん拝命すれば死ぬまで香久の地で暮らすことになるみたいだ。
妹の代わりに ”御所守” の役を買って出た白珠は、下働きの少女・つばめ1人だけを伴に連れ、香久の地へ向かう。
そこで明らかになったのは、旧都が鬼の巣窟となっていたこと。結界は鬼を入れないためではなく、中にいる鬼を外へ出さないためのものであったのだ。
香久の鬼たちを統べるのは、かつて人であったものが妄執に囚われ、〈羅刹〉と化した魔人・陽炎(かげろう)だった・・・
御所寮の寮頭・玄紫(げんし)の手助けを得て陽炎と接触した白珠は、かつて香久で起こった事件のことを知る。陽炎が人から鬼へと化してしまった理由、そしてその元凶となった存在のことも。
終盤では、香久の結界から出た陽炎が寧治の都に現れる。さらには大王の治世に不満を抱く者たちの暗躍もあり、それらが結びついて王都は崩壊の危機に見舞われる・・・
前作でも見られた、物語のスケールの大きさは本作でも健在なのだが、読後感はかなり異なる。星の数が前作と比べて減ってるのには、いくつか理由がある。
まずは物語の決着の仕方。前作での ”大団円” ともいえる締めくくりとは異なり、いささか苦いものが残るように思う。
白珠という主人公は、欲のない人間として描かれていて、作中でしばしば自ら貧乏くじを引くような行動をする。この物語においても、最終的に彼が全てを背負うことによって王都の大混乱が収束していく。それは何より本人が望んだことなのだけど・・・頑張った者、苦労した者は報われてほしいと思んだよなぁ。
まあ、白珠本人には不満は無さそうなのが救いか。
相楽というキャラは、その対局として描かれている。小心者で人が良いいのだけど、その裏で実はけっこう腹黒で要領がよく、結局のところ一番おいしいところを掠っていったりする。こういう二つの面が彼の中では矛盾なく両立してるんだな。本人も自分が善人ではないことを充分自覚してはいるんだが、だからといって行動を改めようとはしないというね・・・。
読んでいてこんなに嫌な奴だと感じるキャラも珍しいんだが、そう思わせるだけの筆力が作者にはあるってことだよね・・・。どこかで彼にギャフンと言わせるような描写がほしかったなあ、って思ったり。
あと、主人公の目をはじめ、身体を欠損する描写が何カ所かあって、それもちょっと受け入れにくい。物語の構成上、必要なのは分かるのだけど、やっぱり読んでいて良い気持ちはしないので。
いろいろ文句を書いてしまったが、遠い過去に端を発するスケールの大きな物語を破綻なくまとめきる作者の力量はたいしたもの。次回作はもうちょっと素直に喜べる作品になったらいいなぁ、とは思うが(笑)。
星砕きの娘 [読書・ファンタジー]
評価:★★★★☆
第4回創元ファンタジイ新人賞受賞作、なのだけど、私がこの本を手に入れた理由は単純に ”ジャケ買い” でした。
だってカッコいいじゃん、この娘さん。
・・・というわけで読み始めたんだけど、どっこい、この本はそんな軽いものじゃなかった。
舞台は異世界・敷島(しきしま)国。京には朝廷があり、地方を豪族が支配しているという、鎌倉時代か室町時代を思わせる世界だ。
この世界の空には太陽と月、さらには〈明〉(めい)と呼ばれる、満月よりも明るく輝く黄金色の星が天を巡っている。
また、この世界には〈鬼〉が至る所に跋扈している。鬼とは、人と猿の中間のような外見の ”化け物” のことだ。
その正体は、人の心から生まれる ”悪” が集まって形となったもの。さらに、深い恨みを持って死んだ人間が ”悪” をその一身に集めると、鬼の王ともいうべき〈羅刹(らせつ)〉となってしまう。
敷島国の東の果て、その名も ”果州(かしゅう)” と呼ばれる地。ここには羅陵(らりょう)王と呼ばれる〈羅刹〉がおり、川の中州にある〈奇岩の砦〉を巣窟としていた。羅陵王は多くの人間たちを捕らえ、鬼の僕として働かせている。
主人公・鉉太(げんた)は武士の息子だが、京より故郷に帰る途中で母と共に鬼に掠われ、〈奇岩の砦〉の囚人となっていた。物語の開始時点では11歳になっている。
ある夜、鉉太は川で一本の太刀を拾い、さらに上流から蓮の蕾(つぼみ)が流れてくるのを目にする。
蕾を砦に持ち帰った鉉太は仰天する。蕾はいつの間にか赤子に変わっていたのだ。さらにその子は〈明〉の星が沈むと美しい娘の姿へと変わり、〈明〉の星が昇るとまた赤子の姿に還ってしまう。
絃太は赤子/娘を ”蓮華(れんげ)” と名づけ、世話をすることになる。蓮華のほうは鉉太のことを ”とと(父)” と呼び、慕うようになっていく。
そして鉉太が蓮華を拾ってから6年後、物語は大きく動き出す。
全体は3つのパートに分かれている。
鉉太と蓮華が羅陵王を倒し、〈奇岩の砦〉を脱出するまでが第一部。
二人が京の都で暴れる鬼を退治し、鉉太が ”父親” と再会する第二部。
ここまでで全体の約半分。後半は、再び果州が舞台となる。
鉉太の父は果州を統べる豪族・阿藤家の当主だった。その嫡男として故郷へ戻る鉉太の胸には、大きな夢があった。
鬼の脅威に晒されている果州に平穏をもたらし、京に負けない理想の都とすることだ。
しかしその行く手は険しい。豪族たちによる勢力争いは止まず、諍いは絶えない。彼らの戦いがもたらす恨み辛みは、新たな〈鬼〉や〈羅刹〉を産み出し、やがてその妄執は〈冥界〉の扉さえも開いていく・・・
まずは蓮華さんのことを書かねばならない。
娘の姿の時は、超人的な身体能力と武芸の冴えを披露し、群がる敵をバッタバッタと切り捨てていく。
彼女が手にするのは、彼女と共に現れた太刀・〈星砕(ほしくだき)〉。彼女以外の者には、鞘から抜くことすらできず、それに切られた鬼は、星屑のように輝きながら消えてしまう。
しかしながら、彼女の心は徹底的に幼い。善悪の区別すらできない。つまり、およそ人としての分別を持たないわけだ。彼女が剣を振るうのは、ただひたすら「”とと(鉉太)” の役に立ちたい」から。
怪我をしても、赤子の姿に戻るときれいに回復してしまう。つまり毎日リセットされてしまうわけだ。まあ、記憶まではリセットされないので、少しずつ人間に近づけようと鉉太はいろいろ心を砕くことになるのだが。
本作の特徴として、物語の根底に ”仏教” が存在していることがある。もっとも、”こちらの世界” の仏教と同じかどうかは分からないが(微妙に違うところがあるようにも思うのだが、私自身そんなに仏教に詳しくないのでなんとも言えない)。
例えば ”〈明〉の星” は ”御仏(みほとけ)の化身” と呼ばれている。その〈明〉の星の運行と蓮華の ”変身” が連動していることから、彼女の存在には ”御仏” が関わっているであろうことが推察される。
ちなみにこの世界では ”仏” とは架空の存在ではない。西洋ファンタジーの世界では ”神” が実在していて、しばしば物語に介入してくるが、それと同じように本書でも ”仏” は重要なファクターとしてストーリーに関わってくる。
鉉太もまた素晴らしい好青年だ。心に大志を抱きながらも、それに溺れることなく、現実を直視する冷静な目も併せ持つ。その安定感も半端ない。
鬼の砦に捕らえられ、厳しい使役に耐えながらも心がねじ曲がらずに健全さを保ち続ける。その大きな助けとなったのが蓮華の存在だ。
彼女の世話をすることで人としての理性を保つことができた。というか、余計なことを考える余裕がなかったのかも知れないが。
育児というのを経験した人なら納得できる話だろう(笑)。
それ以外にも多くの個性的なキャラが登場する。
朝廷の手先と名乗る謎の行商人・旭日(あさひ)。
鉉太たちとともに果州に赴く、京の高僧・円宝(えんほう)。
鉉太が掠われて不在の間、身代わりを務めていた少年・酉白(ゆうはく)。
そんな中でも印象的なのは、鉉太の許嫁として登場する娘・泉水(いずみ)さんだ。親同士が決めた縁ゆえ、これまで2人は会ったことがない。
そんな中、まだ見ぬ夫(鉉太)が京から娘(蓮華)を連れて帰ってきたと聞いた泉水は「婚礼前から妾を囲っているのか」と怒り心頭、絃太の元へ乗り込んでくるという、気が強く勇ましいお嬢さんだ。
初対面こそ不穏な状況で始まるが、鉉太の人となりを知るうちにどんどん惹かれていってしまうあたり、とっても可愛い。豪族の娘だけに胆も座っているが細やかな情も持ち、愛嬌も充分となかなか魅力的なキャラだ。
メインヒロインの蓮華さんも異色でユニークだけど、サブヒロインの泉水さんもまたいい。
物語の終盤は、果州の運命をかけたスペクタクルな戦闘シーンとなる。戦いの主役となるのはもちろん絃太なのだが・・・
そしてここに至り、蓮華の ”役割” が明らかになる。
彼女の ”正体” は、物語の開始時からの大きな謎だ。どこで生まれたのか? なぜ ”変身” を繰り返すのか? そしてなぜ、この世界に現れたのか?
ラスト近く、自らの出自と与えられた使命を知った蓮華は、最後の戦いへと赴くことになる。
このあたりからもう目頭が熱くなってきてしまう。とくに○○の正体が分かったときにはもう・・・子どもと△△には勝てないとはよく言ったものだ。
そして極めつけのラスト1ページ。ここで涙腺が崩壊してしまった。
いやあ、こんなもの読まされたら泣くしかないじゃないか・・・
徹頭徹尾、鉉太と蓮華の ”絆” を描ききって見せた作者の手腕に感服。
物語は骨太にして重厚でありながら、読みにくさとは無縁。魅力的なキャラたちの動きを追っていけば、するすると感動的な物語世界の中に入っていける。
素晴らしいファンタジーの書き手が出てきたなぁと思う。今後が楽しみな作家さんだ。
コロナウイルスワクチン 3回目接種 [日々の生活と雑感]
先日(3/1)、ワクチン3回目接種を受けてきました。
2月中に接種券は郵送されてきたのですが、地元の自治体で受けると3月末~4月初頭、つまり年度の切り替わりという慌ただしい時期になってしまいそうなので、県が設営した大規模接種センターで受けることにしました。
ちなみに今回のワクチンはモデルナ製。
1・2回目はファイザー製だったのですが、3回目についてはどちらでもよく、とにかく早く射てる方にしようと思ってました。
県庁所在地にある会場は最寄りの駅から徒歩10分、バスも出ているらしいのですけど、普段の運動不足もあるので歩くことに。
ネットで予約した時刻は午後3時。仕事を午前で切り上げて一旦家に帰り、改めて会場に向かったのですが、2時半に着いてしまいました。
ちょっと早いかなと思ったのですが、会場内に入りました。
動線のあちこちに係員の方がいて、書類の確認やら誘導やらをしています。予定より30分早かったのですが、すんなり通してくれました。
それもそのはず、人がいない! 私の前にも後にも、接種する人がいないのでちょっと不安になってしまいました。
廊下を歩き、エレベーターに乗り、さらに歩いて受付まで、ずっと一人旅でしたよ(笑)。
受付後の問診も、ブースが5つもあるのにみんな空っぽ(おいおい)。
私の問診をしてくれた男性医師の方は「なんだか副反応が怖いと思ってる方が多いみたいで・・・」とこぼしてました。ファイザーとモデルナでは後者の方が副反応が強いみたいで、敬遠する人が多いというのは聞いてましたが・・・
問診後は接種。こちらは女性の方でした。
接種後、15分間の待機のため別室に入ったのですが、ここでやっと他の接種者の方を見ましたよ(笑)。待機用に椅子がたくさん並んでるのですが、埋まってるのは2~3割くらいだったかな。
15分経っても異常なし。無事に終了しました。
さて、副反応に備えて、翌日(3/2)は仕事をOFFにしておきました、家で一日中、大人しく過ごしていたのですが、頭痛も発熱もなく、ほぼ無症状でした。
あ、射った部分の筋肉痛はありましたけど、1・2回目のときの痛みよりも少なかったですね。
ちなみにかみさんは私の3日前に3回目(モデルナ製)を射ってるんですが、あっちは射った翌日に頭痛と発熱(37℃台前半)がありました。でもバファリンを服用したら治っちゃったんですが。
私も、3/2の夕方になってちょっと軽い頭痛を感じたので、念のためにバファリンを飲んだら治りましたよ。
さらに、接種2日後(3/3)は出勤したのですけど、ほとんど症状はなくて普通に過ごしました。私の場合、副反応はごく軽く済んでしまったみたいです。
変異株は感染力が増していて、ワクチンでも感染を防ぐのは難しいみたいですが、重症化するリスクは低減されるので、積極的に射つべきだと思います。高齢者の方ならなおさらです。
私が行った大規模接種センターは、土日はけっこう混んでるらしいんですが、上にも書いたように平日はガラガラでした。なんとももったいないことです。
ワクチン接種の機会を積極的に利用することが、自分の命を守ることになりますし、ひいては医療従事者の方々の負担軽減にもつながると思います。
副反応は個人差があるので怖がる人もいるのは分かりますが、差し引きをすればメリットの方が多いと思います。