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R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 ACTⅡ & ACTⅢ [読書・冒険/サスペンス]


R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 ACTII (新潮文庫nex)

R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 ACTII (新潮文庫nex)

  • 作者: 古野 まほろ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/03/28
  • メディア: 文庫
R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 ACTIII (新潮文庫nex)

R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 ACTIII (新潮文庫nex)

  • 作者: 古野 まほろ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/08/29
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

清楚なセーラー服に身を包んだ6人の少女たち。
しかしその正体は総理大臣直轄の特別捜査班R.E.D.の刑事にして
常人をはるかに超える身体能力を持つ超人軍団。

ちなみにR.E.D.とは Repression and Elimination Department の略。
凶悪な組織犯罪に対して制圧/排除を実行する特殊部隊である。
犯罪者に対しては実力行使も厭わない。
(というか、そっちのほうが本領みたいだが)

「スケバン刑事」と「攻殻機動隊」と「必殺仕事人」と
「ワンダーウーマン」を混ぜたような設定の
スーパーガールズの活躍を描く第2弾&第3弾。
内容的にも時系列的にも連続している2巻なので
まとめて記事に書くことにした。


暫定首都・中京都の郊外に広がる難民地区で、
若い女性の失踪事件が多発していた。
捜査にあたった緋縅主任警部以下6名のR.E.D.たちは
事件の背後に蠢く巨大な組織の存在を突き止める。

すなわち、暴力団『新潮会』(笑)と、ハイパーマーケットを展開する
フランス系多国籍企業ブルヴァール・ジャポン、
そして児童相談所を隠れ蓑に彼らの片棒を担ぐ福祉行政官僚たち。
彼らの作り上げた国際人身売買ネットワークが、
拉致した少女・女性たちを売春婦として海外へ ”輸出” していたのだ。

そして、その組織の要となっているのは
「ジョロウグモ」と呼ばれている謎の存在。

R.E.D.ナンバー2の箱崎ひかり警視は、
自らが囮となって組織への潜入捜査を始めるが・・・


今回の読みどころはやっぱりひかりさんの活躍でしょう。
うら若き女性である彼女が、売春組織の暴力団員たちに
あーんなことやこーんなことをされたりされかかったりと
このあたりはけっこう読んでいる方もハラハラドキドキである(笑)。
もっとも、歴戦の猛者である超人軍団を率いる身であるから、
それくらいのことで怖気づいたりするようなタマではないのだが。

組織の壊滅と関係者の一斉検挙を目指すR.E.D.の最終目標は
日本側の総元締めを務めていると目されている官房長官・末井。

そして、ついにR.E.D.の前に姿を現したジョロウグモの
意外な正体は・・・

「ACTⅡ」のラストは、R.E.D.たちがネットワークの中枢を叩くべく、
本拠地であるフランスへ飛び立つところで終わる。


続く「ACTⅢ」では、6人の超人軍団の総力を挙げた一大殲滅戦が描かれる。

到着したドゴール空港からパリへ向かう特急列車内で、
ネットワークの拠点と化したリヨン郊外の旧国立警察高等学院で、
そしてパリ郊外のブルヴァール最大級の店舗で。

もう冒頭30ページにすら達しないうちに
壮大なバトルアクションが始まってしまう。
もう「最初からクライマックスだぜ!」(byモモタロス)と
言わんばかりなのだが、これはまだ序の口なのに驚かされる。
このあたり、1986年の映画「エイリアン2」の
キャッチコピーを思い出したよ。「今度は戦争だ!」ってやつ。

後半になると、R.E.D.たちはネットワークのフランス側の黒幕である
フランス国家警察の総監察局長イザベル・ルロワに迫るべく、
首都中心部のパリ警視庁に急襲をかけるのだが
敵側も黙っているはずもなく、圧倒的な戦力を持って迎え撃つ。

国家警察はもちろんフランス国軍まで動員し、さらには
防衛省にも影響力を持つ末井官房長官が派遣した
”必殺の刺客” が彼女たちを待ち受ける。

夜のパリ市街地を舞台に、双方の死力を尽くした総力戦が展開される。

この手のサスペンス・アクション描写は
福井晴敏がピカイチだと思ってるんだが
本作はそれに匹敵するくらい濃いシーンが延々と描かれる。

不思議なもので、
「こんなことをしでかして日仏の外交関係は大丈夫なのか?」
なぁんて疑問は全くと言っていいほど頭に浮かばない。
あまりにもぶっ飛び過ぎていてそこまで思考が及ばないというか。
まあ、難しいことを考えていたらこのシリーズは楽しめないだろう。

もうシリーズ最終巻なんじゃないかっていうくらい激しい戦いの連続で
圧倒的な敵の物量に、さすがの超人軍団も
絶体絶命の窮地に追い込まれていく。

しかしこのシリーズはまだ終わらない。
「ACTⅢ」のラストでは、すべての元凶である末井官房長官の
「真の目的」が明かされるのだが・・・
これに対してR.E.D.はどう動くのか。

「ワイルド7」のラストみたいになるんじゃないかって
ちょっと心配な今日この頃(笑)。

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