黒猫の約束あるいは遡行未来 [読書・ミステリ]
探偵役は〈黒猫〉と呼ばれる青年。
24歳で大学教授になった才人であり、
〈黒猫〉とは彼の恩師がつけたあだ名。誰も本名では呼ばない。
語り手は〈付き人〉と呼ばれる女性。
大学時代の同級生で現在は博士課程に在籍中。
将来は研究者を目指している。
二人ともなぜか本名が明かされないまま、今まで物語が進行してきた。
本書はそんな二人が出会う事件を描くシリーズの第5作。
24歳で大学教授になった才人であり、
〈黒猫〉とは彼の恩師がつけたあだ名。誰も本名では呼ばない。
語り手は〈付き人〉と呼ばれる女性。
大学時代の同級生で現在は博士課程に在籍中。
将来は研究者を目指している。
二人ともなぜか本名が明かされないまま、今まで物語が進行してきた。
本書はそんな二人が出会う事件を描くシリーズの第5作。
フランスに滞在中の〈黒猫〉は師事するラテスト教授から、
イタリアにある<遡行する塔>のことを聞く。
建築家ガラバーニが自宅に建設を始めた塔は、
彼の自殺によって建築が中断してしまったが
3年前から再び、建設が少しずつ進行し始めたのだという。
〈黒猫〉はその調査のためにラテストの孫・マチルドと共に現地へ赴く。
現在、<塔>を含むガルバーニの屋敷は、
世界的なIT企業の経営者クニオ・ヒヌマの所有となっていて
ヒヌマ本人および夫人や使用人たちが居住している。
屋敷に滞在することになった〈黒猫〉の質問に対して
ヒヌマは巧みにはぐらかすような素振りを見せる・・・
世界的なIT企業の経営者クニオ・ヒヌマの所有となっていて
ヒヌマ本人および夫人や使用人たちが居住している。
屋敷に滞在することになった〈黒猫〉の質問に対して
ヒヌマは巧みにはぐらかすような素振りを見せる・・・
一方、〈付き人〉は唐草教授と共にロンドンを訪れていたが
そこに現れた映画監督のトッレに、
現在撮影中の映画への出演を打診される。
ワンシーンのみの出番とのことから出演を了承した彼女は
トッレと共にイタリアへ向かうことになるが・・・
そこに現れた映画監督のトッレに、
現在撮影中の映画への出演を打診される。
ワンシーンのみの出番とのことから出演を了承した彼女は
トッレと共にイタリアへ向かうことになるが・・・
そして中盤ではある人物が死亡し、後半に入ると
人知れず "成長" を続ける<塔>の謎、
自殺した建築家の生涯に秘められた秘密などが
〈黒猫〉によって解明されていく。
特に、ガルバーニの屋敷に住む人々の不審な行動の理由は
明かされてみると「やられたなあ」と思わせる。
明かされてみると「やられたなあ」と思わせる。
そのあたりのミステリ的な要素も魅力的ではあるのだが
いちばんウエイトが大きいのは
〈黒猫〉と〈付き人〉のラブストーリーだろう。
いちばんウエイトが大きいのは
〈黒猫〉と〈付き人〉のラブストーリーだろう。
シリーズを通して〈黒猫〉への想いを育ててきた〈付き人〉、
〈黒猫〉のほうも彼女のことを憎からず思っていて、
それが行動の端々に現れるようになってきた。
そんな二人が異国の地で意外な再会を果たすのだが・・・
しかしまあ、二人揃って "草食系" というか
"スロースターター" というか、恋愛の進行度は至って緩やか。
歯がゆいような気もしなくはないが、
これがこの二人にとっては適度なペースなのだろう。
"スロースターター" というか、恋愛の進行度は至って緩やか。
歯がゆいような気もしなくはないが、
これがこの二人にとっては適度なペースなのだろう。
"サザエさん時空" ではなく、1作ごとに
着実に作品内の時間は進行しているので
いつかはこのシリーズは完結する時を迎えるのだろう。
〈黒猫〉がフランス滞在を終えて帰国するのもそう遠くなさそうだし。
着実に作品内の時間は進行しているので
いつかはこのシリーズは完結する時を迎えるのだろう。
〈黒猫〉がフランス滞在を終えて帰国するのもそう遠くなさそうだし。
とにかく〈付き人〉さんが健やかでいい娘さんなんでねぇ。
彼女には幸せになってもらいたいもんである、うん。
彼女には幸せになってもらいたいもんである、うん。