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戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 [読書・ミステリ]

戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 (河出文庫)

戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 (河出文庫)

  • 作者: 似鳥 鶏
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2013/10/08
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

その日、警視庁本部庁舎に現れたのは
身長150cm弱、小柄でベージュのコートと黒のスカート、
年の頃は15~16歳ほどで真面目そうなメガネの美少女・・・
かと思われたが、彼女は何と刑事部長・越前警視監の秘蔵っ子にして
キャリア警察官、海月千波 "警部" サマだった。

ちなみに「海月」と書いて「うみづき」と読む。
「くらげ」ではありませんので念のタメ。

"お守り役" を言いつかった設楽恭介巡査とともに
千波は連続放火事件の捜査会議に臨むが、
素っ頓狂な言動を繰り返して会議は混乱、
現場に出れば火元を覗きたくて木に登ったはいいが、
今度は降りられなくなってしまってひと騒ぎ。

ついに捜査会議でも無視されるようになり、
千波は恭介と二人だけの独自行動を許される。とは言っても
タイトルにもあるように、要するに体のいい "戦力外通告" だ。

もちろん千波はこれ幸いとハッスルするのだが・・・
やがて二人の捜査は、7年前に起こった幼女殺害事件にいきつく。
その事件では、重要参考人の青年が自殺していた・・・


"萌え" を狙ったような千波のキャラ、
コメディタッチのストーリー、
オタク少年・江藤をはじめ、脇を固める人物も個性派揃いで、
親しみやすさは抜群だが、それだけでは終わらない。

作者の別の作品「パティシエの秘密推理」でも描かれていたけど
警察と言っても人間の集まりで、
出世欲やら縄張り意識やらに凝り固まった人もいる。
本書でも、幼女殺害事件を追う刑事たちを描いたパートや、
メンツに囚われる警察上層部の習性を描いているパートでは
意外なほど(失礼!)硬派な警察小説の雰囲気もあって、
今までにない新境地を切り開いてるなあって思う。

とは言っても、犯人あてミステリとしてよりは
サスペンスとしての風味が強いかな。

そもそも最大の謎は、千波の存在そのものだったりするが(笑)。


本書はTVドラマ化された。読み終わった後、
ちょっとネットで配役を見てみたら、千波役は武井咲さん。
うーん、全然小柄じゃないじゃん。
私の脳内映像では志田未来さんでした。


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