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かがみのもり [読書・ミステリ]

かがみのもり (光文社文庫)

かがみのもり (光文社文庫)

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/09/10
  • メディア: 文庫



評価:★★★

主人公の片野厚介は、新米国語教師。
豊かな田園の広がる白友町の中学校に赴任して2ヶ月。
二年二組を担任している。

ある日、厚介は笹井と勝又という二人の生徒から相談を受ける。
彼らは立ち入り禁止の聖域となっている山宝神社の裏山に入り、
洞窟の中で金色に輝くお宮を見つけたという。

裏山は正式には香我美山といい、昔から不思議な噂があった。
迷い込んだら出られない、気味の悪い歌が聞こえる、
子どもの泣き声がする、妖しい光の列が見える・・・

二人とともに香我美山へ入った厚介は、
うち捨てられて廃墟となった建物の中で
精巧なお宮のレプリカを発見する。
さらに、白装束の謎の一団が三人を襲ってきた。

からくも逃げ出した三人だったが、
笹井たちが撮ったお宮の写真をブログにアップしたところ、
「中学生女子・レオナ」と名乗るメールが届き、
会って相談したいことがある、と伝えてきた。

待ち合わせ場所に向かった厚介の前に現れたのは、
ポニーテールの可愛い美少女だった。
そして彼女は両親についての意外な事情を語り始めた・・・


ジャンルとしては「片耳うさぎ」「ねずみ石」に続く
ジュブナイル・ミステリなのだけど、
前2作と異なって殺人などの凶悪事件は起こらず、
その代わり主人公の厚介と少年二人が巻き込まれた
"裏山のお宮" を巡る冒険の顛末が綴られる。

 とは言っても、次第に明らかになってくる
 背後の事情には充分に凶悪な要素が潜んでいたりするが。

タイトルがすべて平仮名なんだけど、
ラストに至るとその意味も明らかになる。


厚介のクラスの副学級委員の静内ひろ香は才色兼備のしっかり者。
しかし、山宝神社の宮司である彼女の父もまた
"お宮" をめぐる事情に関わりを持っているらしいし、
興信所の調査員・与木と名乗る男もまた
独自に "お宮" のことを探っているらしいし、
厚介の同僚の学年主任・古池や美術教師・米子も
何らかの事情を知っていそうだ。

文庫で240ページほどと、長編としては短めなんだけど
脇役陣も多彩で個性的なキャラが揃ってる。


「少年探偵団」とひとまとめに括ってしまうには
少々薹がたってる厚介だが、
精神年齢的には子どもらの "兄貴分" くらいなので、
「小林少年」以上「明智小五郎」未満くらいの立ち位置か。
(書いてて思ったが、例えが古いねぇ・・・)

でも、ラストではきちんとそれらしい謎解きも披露してるので、
実は "探偵役" も充分に務まる器だったりする。

いままでのこのシリーズはすべて単発作品なのだけど
今作については、続編が読みたいなあ。
ひろ香ちゃんに "レオナ" ちゃんと、美少女が二人もいるのに
活躍シーンがあんまり多くないのが何とももったいない(おいおい)。

短編でもいいので、シリーズ化希望。


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