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ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた [読書・ノンフィクション]


ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた (新潮文庫)

ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた (新潮文庫)

  • 作者: 青山 通
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: 文庫
「ウルトラセブン」とは、1967年(昭和42年)10月1日から
TBS系で毎週日曜日19:00 - 19:30で放映された特撮テレビドラマ。

「ウルトラQ」「ウルトラマン」に続くウルトラ・シリーズの3作目であり
いわゆる「ウルトラ・シリーズ」の最高傑作だ、と書いても
異論を唱える人は少ないだろう。

日本特撮の雄、円谷プロダクションが総力を挙げて製作にあたり、
当初は3クール39話の予定が、30%を超える視聴率を
たたき出したことから10話増やされ、全49話が放映された。

そして1968年(昭和43年)9月8日、
最終話「史上最大の侵略(後編)」が放映された。

満身創痍の体で、死を覚悟したウルトラセブンの最後の戦い、
そして暁の光の中、宇宙の彼方へと消えていく彼の姿に
滂沱の涙を流した少年たちも多かろう。

私もその一人であり、
本書の著者・青山通(あおやま・とおる)氏もまた、その一人だった。


「ウルトラセブン」は音楽監督・冬木透氏の作曲による
素晴らしいBGMの数々でも有名だが、
クラシックの名曲がそのまま使われたところもある。
その中でも特に有名なのが上記の最終話だ。

物語も最終盤近く。
モロボシ・ダンが、実は自分がウルトラセブンであることを
アンヌ隊員に告白するシーン。

ダンが告白した台詞の直後から、実に劇的な
オーケストラとピアノ・ソロの楽曲が流れ始めるのだ。
ここはウルトラセブン屈指の名シーンであり、
音楽の面でもクライマックスになる。

当時の私はストーリーを追うのに精一杯で音楽にまで気が回らなかった。
その後何度か再放送でも観たけれど、
「なんかいつものBGMとは違うな」くらいは感じたかも知れないが
その ”正体” まで知ろうなんて思わなかった。

ところが、青山氏は違う。彼は初見の時から大きな衝撃を受け、
この曲の正体を突き止めることを決意する。
青山氏は1960年生まれであるから、このとき8歳。

 私の方がほんのちょっぴり年長ではあるが大差ない。
 彼とは同世代と言っていいだろう。

本書ではまず、彼の7年に及ぶ探索の道のりを描く。
同時に、当時の家庭における音楽環境の変遷も描かれる。
とくにカセットテープ・レコーダー普及のくだりなどは懐かしい。

そして中学3年になった青山少年は、
TVのN響アワーで演奏されていた曲を聴いて
「これだ!」っと思い当たる。

そのとき青山少年から「これ何の曲?」と聞かれて、すかさず
「シューマンのピアノ協奏曲よ」って答えるお母さん。
親子でそろってクラシック番組を観ているあたり、
彼の音楽への鋭い感性は、その家庭環境によって培われたのだろう。

しかし青山少年の ”探索” は、実はここでは終わらない。
そして、彼のクラシック音楽への傾倒がここから始まることになる。

その理由は本書を読んでもらうことにして、
前半は、このウルトラセブン最終回の曲名探索にはじまり、
クラシック音楽鑑賞の醍醐味を知っていくまでの過程が描かれる。

後半では、ウルトラセブンの中から
”音楽と物語が密接に関連した” 3作として
「第四惑星の悪夢」「ダーク・ゾーン」「狙われた街」を、
”音楽が突出して印象的な” 5作として
「ひとりぼっちの地球人」「悪魔の住む花」「零下140度の対決」
「ノンマルトの使者」「セブン暗殺計画(前篇・後編)」の
計8作を取り上げて、音楽的な面から詳細に解説を加えている。

著者の青山氏は大学卒業後に音楽之友社に入社、
『週刊FM』の編集にも携わっており
本書の中でも当時のFM放送のブームについて、ちょっと語っている。
このあたりも懐かしいねえ。
”エアチェック” なんて単語、久しぶりに目にしましたよ、はい。

懐かしさと面白さであっという間に読み終わってしまった。

同じ曲でも指揮者・演奏者が異なれば、異なる演奏になる。
そのあたりの差を説明する部分はかなり専門的で
ちょっと素人には分かりかねる部分もあるのだが
そういうところは軽く読み飛ばしてしまいました(おいおい)。

それでも本書が十分にユニークで、”ウルトラセブン愛” と
”クラシック愛” に満ちていることはよく分かる。

ウルトラセブンが好きな人、クラシックが好きな人、
どちらが読んでも楽しめるだろう。

もちろん両方好きな人は、本書を100%楽しめる。
そういう人が羨ましい。


久しぶりにウルトラセブンを観たくなったよ。

どうせコロナ騒ぎで外出できないんだから、
ちょっとネット配信で観てみるのもいいかも。

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お隣さんが殺し屋さん [読書・ミステリ]


お隣さんが殺し屋さん (角川文庫)

お隣さんが殺し屋さん (角川文庫)

  • 作者: 藤崎 翔
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/11/25
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

ヒロイン美菜(みな)は、俳優養成の専門学校に
入学するために上京してきた。

入居したアパートの隣室に住む青年・雄也(ゆうや)のもとへ
引っ越しの挨拶に出向くが、190cmを超える身長、
映画スターのようなイケメン、そして低音の美声に
すっかり魅せられてしまう。

一方、雄也は挨拶に訪れた美菜に ”ある物” を見られてしまう。
それは床に落ちていた1発の銃弾だった。
幸い美菜は口紅と勘違いしてくれたが・・・

物語は、専門学校に通う美菜の日常と、
雄也の ”仕事” と過去を描くパートが交互に綴られていく。

雄也にときめく美菜は、けっこう大胆にアプローチしていき、
そんな美菜の行動にドギマギしながら煩悶する雄也が可笑しい。

同じ女優を目指す友人たちもでき、コンビニでバイトも始めて
充実した日々を過ごす美菜。

過去に請け負った ”殺しの仕事” の回想にふける雄也にも
新たな「依頼」が来るが、今度のターゲットは
なんと美菜の通う専門学校の中にいるらしい・・・


こう書いてくると、サスペンス仕立てのラブコメなのかなと
思わせるんだけど、何せ作者は
「神様の裏の顔」で横溝正史賞を受賞した人。
これもけっこう驚きの結末を見せてくれた作品だった。

たぶん、この作品を読む人はみんな
オチをあれこれ想像しながら読むんだろうし、
私も「ああだろう」「こうだろう」と
眉に唾をつけながら読んでいったのだけど・・・

いやあ、見事にうっちゃられてしまいました。
たいしたものです。

「いくらなんでもそれはないだろう」的な結末なのだけど
読みやすく分かりやすい語り口なので、どんどんページをめくらせる。
その勢いのまま、驚きの結末まですんなり読ませてしまう。

「スゴいなあ」というより「上手いなあ」と思わせる作品。

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京都なぞとき四季報 古書と誤解と銀河鉄道 [読書・ミステリ]


京都なぞとき四季報 古書と誤解と銀河鉄道 (角川文庫)

京都なぞとき四季報 古書と誤解と銀河鉄道 (角川文庫)

  • 作者: 円居 挽
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/08/24
  • メディア: 文庫
評価:★★★

主人公・遠近倫人(とおちか・りんと)は一浪して京都大学法学部へ合格、
”加茂川乱歩” というサークルに入った。

そこで理学部一回生の青河幸(あおか・さち)に一目惚れした倫人は
中学高校時代の同級生で工学部二回生の東横進(とうよこ・すすむ)の
いささか強引な ”サポート”(余計なお世話?)のもと、
彼女との距離を縮めようと奮闘するものの、
半年が過ぎても友人関係以上の仲には進展しないでいた。

今回は倫人と幸に加え、経済学部一回生・灰原花連(はいばら・かれん)の
3人の日常が描かれていく。

そんな彼ら彼女らの周囲で起こる不思議な出来事を巡る
”日常の謎” 系ミステリの連作短編集。

前巻では、京都大学の構内ある謎の店「三号館」の美貌の女性マスターが
謎解きのヒントを与えてくれたのだが、今回「三号館」は
大学の内外にかかわらず、神出鬼没であちこちに現れる。

「たまにはセドリー・オン・ザ・ロックスを」
サークル ”加茂川乱歩” の名簿を外部に漏洩した者がいるらしい。
副会長の東横は、リストアップした容疑者たちを
古本市のアルバイトとして送り込み、人間性を見極めようとする。
さらに法学部二回生の瓶賀(みかが)から、幻の古書探しも依頼される。
容疑者たちと古本市に潜り込んだ倫人と幸だが、
二人の前に不審な事態が発生した・・・

「見えないブルー」
サークルの飲み会でしたたかに酔った倫人だが、
目覚めた翌朝から幸と連絡が取れなくなってしまう。
電話も出ないしメールの返信もない。
幸と同じマンションに住んでいる花連と共に彼女の部屋に向かうが
なぜかドアに鍵はかかっておらず、室内には一面にブルーシートが・・・
ラストで明かされる真相よりも、幸自身の打ち明け話の方が衝撃的。

「撫子はもう好きじゃない」
代替わりでサークルの渉外担当となった倫人は、
学園祭で割り当てられた部屋の場所について不服を言い立てるために
事務局へ向かったが、少々早く着きすぎてしまう。
たまたまそこ居合わせた二回生・丹沢とポーカーをして
時間つぶしをすることにしたが、いつの間にか事務局との
約束の時間を過ぎてしまい、倫人の申し出は受理されなくなってしまう。
倫人自身の体感時間は15分ほどなのに、
実際には1時間半以上も経っていたのだ・・・
これはトリック自体は簡単に見当が付くのだけど、
実行するのはけっこう無理がありそうな気もするなぁ。

「五分だけでも待って」
学園祭最終日。次期副会長に内定している幸は、
構内に泊まり込んで会誌の売上金を管理していたが、
彼女が眠った隙に6万円あまりの現金が消えてしまう。
しかも彼女のいた部屋の前には巨大なウォーターマットが置かれて
扉の開閉ができない状態になっていた・・・
本書でいちばんミステリらしい作品。
犯人が密室を構成した理由がかなりユニーク。

「銀叡電の夜」
幸が小学生の頃、家族で京都へ旅行に来た。そして泊まった宿の窓から、
彼女は列車が夜空に消えていくところを見たという・・・
倫人と幸のラブ・ストーリーとしての完結編。
ミステリとしてはのっけからネタバレしてます(笑)。
まあこれも作者の計算のうちですね。
ちなみにタイトルは単なるダジャレで、「銀○伝」とは全く無関係(笑)。

前巻の冒頭あたりでは、悪く言えば優柔不断で意気地が無い、
よく言えば人畜無害な坊ちゃんに見えた倫人だが
本書ではかなり意外な面を見せていく。

けっこうえげつない言動をしたり、悪巧みをした仲間に圧力をかけたり
大事なもののためには思い切った行動をとる実行力を示したり。
これは大学に入って身につけた部分もあるのだろうが
彼の本性がだんだん表れてきたということだろう。

最終話で、倫人は「三号館」のマスターの力を借りずに
事態の解決に臨む。本書は彼と幸の成長の物語でもある。

人付き合いを深めていくというのは、
相手に対して自分をさらけ出していくことでもある。
倫人と幸も、お互いに自分の本音を晒し、
やっと一歩先へ進めるようになって本書は終わる。

灰原花連も本書になって倫人との距離が急速に縮まってくる。
孤高の存在で高嶺の花かとも見える彼女もまた、
ホントのところでは気さくで面倒見のいい女の子で
ある意味、幸以上に魅力的な存在として描かれる。
倫人がその気になれば、案外簡単に「いい仲」になれそうにも(笑)。

なかなか扱いが難しそうで、つきあいだしたら面倒くさそうな(笑)
幸さんよりも、花連とつきあった方が
楽しい人生が送れそうな気もするんだが
そこで幸さんを選んでしまうのが倫人なのだろうね。

カップルの数だけ幸せの形はあるのだろうから。

その気になればまだまだ続けられそうだけど
倫人と幸さんの仲にも決着がついて、物語としても一区切りくので、
たぶんこの巻で完結じゃないかな。

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七丁目まで空が象色 [読書・ミステリ]


七丁目まで空が象色 (文春文庫)

七丁目まで空が象色 (文春文庫)

  • 作者: 似鳥 鶏
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/01/04
  • メディア: 文庫
評価:★★★

楓ヶ丘動物園の飼育員たちが、
さまざまな動物がらみの事件に遭遇するシリーズ、第5弾。
今回は長編である。

語り手で主人公の飼育員・桃本、動物園のアイドル七森さん、
爬虫類担当のオタク・服部、そして獣医の鴇先生。
このレギュラーメンバーに加えてもう一人、今回は新キャラが登場する。

桃本くんの従兄弟・誠一郎は、従兄弟の背中を追うように
飼育員の道へと進み、山西市動物園に就職した。
そこへ桃本たち4人がやってきたところから物語は始まる。


楓が丘動物園で新たにマレーバクを飼育することになり、
飼育方法などのノウハウを学ぶ「研修」のために
桃本たち4人は山西市動物園を訪れる。

そこで桃本と誠一郎が久方ぶりの再会を喜び合ったのも束の間、
突如園内で爆竹のようは破裂音が連続して発生する。
それと時を同じくして、ゾウ舎からアジアゾウの
蓝天(ランティエン、繁体字だと藍天)が逃げだした。
園のゲートもなぜか開いていて、藍天は園外へ向かって歩き始める。

必死の捕獲を試みる飼育員たちを突破した藍天は、
意外な知性を発揮して麻酔銃の発砲からも逃れ、
公道へ出て住宅街を悠々と歩き出す。

ゾウというのは動物園で一番危険な生き物で、
その巨大な質量もあって足の運びや鼻の一振りも凶器になり得る。
飼育員さんが怪我をしたり亡くなったりすることも多いらしい。

そんな藍天が街中を歩きまわり、目の前にある障害物を
次々に突破してゆくのは、さながらミニ・ゴジラ的様相。

人が近づくことさえ命の危険が伴うが、そんな中で
藍天は飼育員の誠一郎だけは嫌がらない。
彼は藍天の横を一緒に歩いているうちに
藍天がどこかを目指しているのではないかと気づく。


4人組の皆さんは今回もキャラ立ちもバッチリで
シリーズものならではの馴染んだ雰囲気の中で読み進められる。

巻を重ねるうちに、すっかり「動物関係のトラブルシューター」と
なってしまった感のある4人組だけど、
今回も見事な連携でゾウ脱走事件に立ち向かっていく。
それと並行して、脱走を仕組んだ者の目的と正体にも迫っていく。

藍天自身にもある秘密が隠されており、それが事件の根底にあるのだが
不幸なのはそういう立場に置かれてしまった動物の方だろう。
それも人間のエゴが原因で。

毎回、登場する動物たちの蘊蓄が楽しいのだけど、
今回もゾウに関する話は興味深くて、
普段我々がもっていたイメージがいくつか書き換えられていく。

ヒトとゾウ、異なる種の間に完全な理解は不可能なのだろうけど
最後に明かされる藍天の目的(と人間が解釈したもの)は
それでも両者の間に何か通じるものがあるのだろうと思わせる。

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宇宙軍士官学校 -攻勢偵察部隊- 1 [読書・SF]


宇宙軍士官学校―攻勢偵察部隊― 1 (ハヤカワ文庫JA)

宇宙軍士官学校―攻勢偵察部隊― 1 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 鷹見 一幸
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/07/31
  • メディア:文庫
大河ミリタリーSF「宇宙軍士官学校」シリーズ、第二部開幕。

有坂恵一少将をはじめとする宇宙軍士官学校の1期生たちが率いる
地球軍独立艦隊は、多大な犠牲を払いながらも
〈粛正者〉の猛攻から太陽系を守り抜いた、

太陽系防衛戦を経験した ”銀河文明評議会” は
〈粛正者〉との戦いの方針を防御から攻勢へと転換し、
3つの長距離偵察戦闘艦隊を編成する。

その一つ、第2艦隊司令官に任命された恵一は、
新たな訓練に臨む。すなわち、〈粛正者〉の戦闘艦に偽装した
新型艦に搭乗して、敵地への潜入を図るというもの。

本書の前半は、その訓練の模様が描かれる。
第1艦隊、第3艦隊の司令官は地球人ではない他種族であり、
価値観や個性も異なってそれぞれの思惑で訓練に臨んでいく。

いつもながらこのあたりの書き分けは上手いと思う。
人類とは違うのはもちろんだが、基本的にはみなヒューマノイドなので
あまり懸け離れたものにしてしまうと嘘っぽくなってしまう。
第一部での異星人の描写でも感じたが、そのあたりの案配もいい。
逆に、他の異星人が恵一たちの影響で変わっていく描写もあったりして
このあたりも楽しい。


後半では、地球に残ったメンバーたちの物語。

機動戦闘艇のエースパイロットから、戦闘艇部隊の司令官になった
リー大佐は、宇宙軍士官学校の校長へと転じて
後続の士官たちの育成に携わっている。
ウィリアム中尉も教務主任となって、訓練生の指導に当たっている。

訓練生総代であるクリストファーは、トップの成績を誇り、
そのために ”天狗” になってしまう。
このあたりは第一部を思い出してしまう。

1期生たちの場合は、指導してくれる地球人がいなかったわけで
ある程度の試行錯誤を経て成長していったわけだが
いまでは、戦闘経験豊富な先輩がいる。

リー大佐がクリストファーに ”教育的指導” を与えるあたりを読んでると
彼は成長したなあって思う。第一部での高慢ぶりが嘘のようだ(笑)。
地位は人を作る、ってことですかね。

訓練生たちに舐められていたウィリアムだが、
休暇で太陽系へ帰ってきたエミリーと組んで
訓練生たちと40対2というハンデを背負って
戦闘シミュレーションに臨むところも痛快。
文字通りの ”歴戦の猛者” ぶりを見せつける。

今回もエミリーは可愛いなあ。
ほんとこの二人、最後まで生き残ってほしい。


さて、恵一たち長距離偵察戦闘艦隊の活躍は次巻から本番になるみたい。
戦いの舞台は、なんと250万光年の彼方へと移る。
〈粛正者〉の支配するアンドロメダ銀河だ。

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総閲覧数180万に到達 & 近況 [このブログについて]


■お礼の言葉

昨日(4/1)、このブログの総閲覧数が180万を超えました。

2020-04-01.jpg

毎回書いておりますが、お約束(笑)なので、また書かせて頂きます。

(どれくらいいるのか分かりませんが)
ご常連の方、毎度のご訪問ありがとうございます m(_ _)m ぺこり。

そして、(もしいるなら)たまたま今日が初めてのご訪問の方へ。
まもなく2000件になろうとする駄文の山でございますが
よろしかったら、これからどうぞご贔屓に(笑)。

どちら様も、よろしくお願いします m(_ _)m ぺこり。


■近況その1 コロナウイルス関連その他

志村けんさんの訃報が日本中を震撼させましたが、
幸いにも私と私の家族には今のところ感染はないようです。
とは言っても、いまは潜伏期でまだ発症していないだけ、
という可能性は拭えませんが。

家人の中には毎日東京まで通ってる者もいますし、
私が暮らす街でも感染者が出てますし、
感染するしないは、もうほとんど運任せですね。

まあ、せいぜい栄養のあるものを食べて睡眠をとって
体力の維持に努めようと思ってます。


■近況その2 仕事

1年前に定年退職し、その後再雇用で1年間働いてきました。
私自身は、最低でもあと2年くらいは働きたいと思っていたのですが
幸い4月以降も働けることになりました。

職場は移りますが、仕事の内容もほぼ同じなので、
これはありがたいことだと思ってます。
また人間関係を一から構築しなければならないのは大変ですが
コロナウイルスのおかげで仕事自体が激減してる人もいるわけで、
これくらいのことで文句を言ってはいけませんね。


■近況その3 読書

コロナのおかげで外出が減りましたので、家にこもる時間が増えました。
おかげで読書が進んでます。

なにせ積ん読本が腐るほどある(笑)ので、読む本に不自由しません。
ここひと月で20冊くらい読めてしまいました。

コロナ騒ぎがいつまで続くかわかりませんが、このペースでいくと
年間読書数が200冊の大台を超えてしまいそうです。


■近況その4 マイブーム

大河ドラマ「麒麟がくる」にハマってます。

ここ20年くらい、大河ドラマは全く観ないか、
観ても途中で止めてしまうことが多かったのですが
今回の「麒麟ー」は、いまのところ面白くて
最後まで観られそうな気がしてます。

役者さんたちも好演してるし、脚本もよくできてるし、
近年にない面白い作品だと思うのですけど
ネットに書かれた感想とかを読んでみると、意外と酷評してる人もいる。
それも、年季の入った古くからの大河ファンほど
評価が辛い傾向があるみたい。

まあ、何十年も大河ドラマを見てると「大河ドラマはこうあるべき」
ってのが自分の中にできてくるのでしょうねぇ。

今回の「麒麟ー」でも、斎藤道三や帰蝶や織田信長について
自分の持ってるイメージと合わないと「これは違う」という。
ドラマオリジナルのキャラが出てくると「邪魔だ」という。

100人の大河ファンがいれば、
「理想の大河ドラマ」も100通りできてしまうのでしょう。

歴史を持った作品の宿命なのかも知れないですね。


余談ですが、「確定してる史実」と「不確定な伝承」を
ごっちゃにしている人も多いですね。
自分の知ってる ”史実” と異なる展開をすると
「これはおかしい」って言い出すんだけど、その人が
”正しいと思い込んでる史実” 自体が実は伝承だったりする。

まあ、(私を含めて)いろんな人がいろんなことを
わいわい言いながら観ている。
これも国民的な番組ならではのことなんでしょうねぇ。


・・・なあんて書いていたら、
「コロナウイルス感染予防のため、
 大河ドラマと朝ドラの収録をしばらく見合わせる」
なんてニュースが飛び込んできました。
いやあ、どうなってしまうんでしょうかねぇ。

政府は「全世帯にマスク2枚配布」とか迷走してますが

まぁ一番マズいのは焦ったりパニックになったりすることなので
まずは落ち着いて、通常通りの生活を心がけるしかないですよね。

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レオナルドの扉 [読書・冒険/サスペンス]


レオナルドの扉 (角川文庫)

レオナルドの扉 (角川文庫)

  • 作者: 真保 裕一
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/11/25
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

時代はフランス革命直後、皇帝となったナポレオンが登場するので、
1804年以降、19世紀の初めの頃だろう。

場所はイタリアの小さな村、
そこで時計職人として働く16歳の少年ジャンが主人公。
母は亡くなり父は失踪しており、祖父・ベルトランとの二人暮らしだ。

ジャンは村長の息子ニッコロ、医者の娘マドレーナと共に
300年前にレオナルド・ダ・ヴィンチが考案したという
”空を飛ぶ機械” をつくっていた。
彼の残した図面を見たことはないが、彼らなりの工夫を凝らし、
度重なる失敗にも挫けずに完成を目指す日々。

そんな平和な暮らしも、突然のフランス軍の侵攻によって終わりを告げる。
指揮官であるバレル大佐は、捕らえたベルトランから
ジャンの父のことを聞き出そうとする。

大佐の目的は、ダ・ヴィンチが書き残したという秘密のノート。
ジャンの父はそのノートを守るために村から離れたのだという。

目的のためには村人へ危害を加えるのさえためらわない大佐だったが
謎の修道女ビアンカの助けもあり、
ジャンたちはフランス軍の撃退に成功する。

天才ダ・ヴィンチは、数々の画期的な兵器も考案しており、
彼のノートには、それらの詳細が記されているという。

自らの覇権達成のためにダ・ヴィンチの遺産を手に入れようとする
ナポレオンの野望を阻止し、秘密のノートを守るべく、
ジャンもまた父の後を追って村から旅立つ・・・


・・・とまあ、ここまで書いてきたのだけど物語としては序盤。
でも、実はここまででページ数の半分くらいを費やしている。
ちょっと長すぎないかなぁ。
背景説明やキャラの描写も必要なのだろうけど、
小さな村の中の話が延々と続いて、読んでいて
「まだ出発しないんかい!」ってツッコミを入れてしまったよ(笑)。

後半はパリでの探索行にはじまり、
ルーブル美術館や絵画モナ・リザなども登場してくる。
ナポレオン、ジャンに加え、ビアンカも第三勢力として争奪戦に加わり
終盤は、フランス軍の政治犯収容所兼秘密兵器の工廠にもなっている
”監獄島” を舞台にした決戦とあいなる。
ダ・ヴィンチのノートからナポレオンが完成させた秘密兵器も
投入されてくるし、盛り上がっていく・・・のだけど。


どうにも読んでいて高揚感があまり感じられない。
なまじ時代と舞台を現実世界に設定してしまったせいか
全体の雰囲気がちょっと重めで、今ひとつぶっ飛んだ感じがしない。

ジュブナイルを目指すのなら、もっとフィクションに
振り切って、軽やかな物語を目指してもいいんじゃないかなぁ。
ジャンも、ダ・ヴィンチの再来かと思わせるくらいの発明少年にして
”こんなこともあろうかと” 用意していた新兵器で
フランス軍を翻弄するとか(笑)。

 どうも、パリを舞台にジャンという少年が活躍すると
 どうしても「○○○の海の××××」を連想してしまうのだよ・・・

この作品のヒロインは実はビアンカさんなのだろうけど、
マドレーナにももっと出番をあげてほしいなあって思ったり。
終盤にちょっと出てきたけど、主人公の添え物感は拭えない。

最終決戦はそれなりにかなり盛り上がるのだけど、そこにいくまでが
ちょっと地味めな感じがして仕方がない。
面白くできる要素はたくさんある気がするんだけど
ちょっともったいない素材だと思う。

あと、これはどうでもいい話なんだが、
巻末の解説で書評家の藤田香織氏が
作者である真保裕一の代表的な著作をいくつか紹介しているのだけど
その中に『ホワイトアウト』が入っていない理由を
小一時間くらい問い詰めてみたいと思った(笑)。
私は『ホワイトアウト』こそ、真保氏の最高傑作だと信じてるんで。

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