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英国空中学園譚 ソフロニア嬢、発明の礼儀作法を学ぶ [読書・ファンタジー]

ソフロニア嬢、発明の礼儀作法を学ぶ (英国空中学園譚)

ソフロニア嬢、発明の礼儀作法を学ぶ (英国空中学園譚)

  • 作者: ゲイル キャリガー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/12/06
  • メディア: 文庫



評価:★★★

人類と、吸血鬼や人狼などの "異界族" が共存する
19世紀のパラレルワールド英国を舞台にした
スチームパンクなファンタジー、第2弾。

主人公ソフロニアは14歳。お転婆の度が過ぎて、
「花嫁学校」(フィニシング・スクール)へ入れられてしまう。
しかしそこは礼儀作法とともに、あらゆる諜報技術を仕込まれる
スパイ養成学校だった・・・というのが前作の発端。

入学から半年後、ソフロニアはある試験において
開校以来となる最高得点を叩き出す。
しかし同級生たちの嫉妬を買い、孤立してしまう。

そんなおり、クラスメイトのディミティを誘拐しようと
飛行船に乗った謎の一団が現れる。
ソフロニアの活躍により事なきを得るが、
ディミティとの仲は修復されず、謎の一味の目的もわからない。

そして巨大気球でできた空中学園は、
ふだん滞留しているダートムアを離れてロンドンへ移動を開始する。

さらに、その移動には姉妹校(兄弟校?)である
男子校の生徒たちも加わることになる。
前作でソフロニアに意味深な視線を投げてきた少年もその中に。
彼の名はフェリックス。なんとゴルボーン公爵家の御曹司だった。

ことあるごとにソフロニアに言い寄ってくるフェリックスだが
ソフロニアの心は、学園の最下層で
動力源となる "釜焚き" に従事する "煤っ子"・ソープへと傾いていく。


前作でキーアイテムだった "謎の試作品" は、
実は途方もない "発明品" だったことが分かり、
本作ではこれを巡って複数の集団がしのぎを削る。
ソフロニアと空中学園もそれに巻き込まれる形で大騒動が展開する。

前作から登場していた謎の組織 "ピクルマン" は、
どうやら "異界族" との共存を否定する人々の集まりらしい。
もちろん、それに対抗する者たちもいて、
本作では〈英国パラソル綺譚〉(アレクシア女史シリーズ)でも
登場していた吸血鬼の一族が暗躍するし、
同シリーズでのレギュラーだった「あの人」も顔出しをする。

異界族を巡る対立に端を発する発明品争奪戦、
大貴族と下層民という身分違いの少年二人の間で揺れる
アレクシアの恋と冒険が綴られていく。

クラスメイトや教師たちといった脇役たちもキャラ立ち充分で
度胸と実行力抜群のヒロインの大活躍は読んでいてとても楽しい。

全4巻のシリーズなので、本作終了時点で折り返し。
現時点での読書計画(笑)では
4月中には全巻読破のはずなんだが、さて。


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