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ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子 [読書・ミステリ]

ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子 (講談社文庫)

ルームシェア 私立探偵・桐山真紀子 (講談社文庫)

  • 作者: 二階堂 黎人・千澤のり子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/08/12
  • メディア: 文庫



評価:★★☆

ある事情で夫と離婚し、警視庁を退職した元刑事・桐山真紀子。
私立探偵を開業したものの、警備会社の下請けで引き受けた
埼玉県知事の警護中に暴漢の放った銃弾をうけて入院する羽目になる。

退院目指してのリハビリに励む真紀子の前に
姪の早麻理(さおり)が現れ、人探しを頼まれる。
ルームシェアをしていた同居人である女性・当摩雪江が
失踪してしまったのだという。

真紀子は、早麻理があまりにも雪江のことを
知らなさすぎるのに呆れかえりながらも引き受けるが、
早麻理が雪江に使わせていた部屋に入って愕然とする。
ポスターに隠された壁一面に悪態と罵りの言葉が書き殴られていたのだ。

乏しい手がかりをたぐって雪江の消息を探る真紀子だったが、
やがて失踪の裏に潜む巨大な闇にぶちあたるのだった・・・


実はこの本、読んだのは8月。つまり約3ヶ月前。
この文章を書き始めてハタと困ったのは
内容がかな~り思い出せなかったこと。
上記の文章は本書をあちこち拾い読みして
記憶を呼び覚ましながら書いた。

 いつまでも あると思うな カネと記憶力

雪江の正体や失踪の理由なども、けっこう頭の中から綺麗に蒸発してた。
もちろん、本格ミステリ作家・二階堂黎人が噛んでいるのだから
きっちり合理的に(しかも意外性をもって)解決されるし、
さらに言えば、この時代ならではの事件の原因や背景があって、
けっこう社会派的ミステリな面もあったことも改めて確認できた。

ところが、事件の諸々を忘れてしまっていた私が
けっこう覚えていたものがある。
それが早麻理というキャラ。
ヒロイン真紀子のことはほとんど残っていなかったのに
早麻理のことは「ああ、あの姉ちゃん」(笑)って覚えていたよ。


一言で言うと「脳天気」で「天然」な「おバカ」(三言だったね)。
TVのバラエティ番組なんかなら掃いて捨てるほどいそうなキャラだが
小説世界に出てきてこられるといささか鬱陶しい。

「愛すべきおバカ」ならまだ愛嬌があるけれども
読んでいて感じるのはオツムの軽さばかり。
世の中を舐めているとしか思えない言動を繰り返しては
読者(私だけかも知れんが)をイラッとさせる。


物語の発端は、早麻理がネットを通じて
ルームシェアをする相手を募ったことなんだが、
いったい「部屋が余ってるから」とか
「家賃が半分になるから」と言った理由で、
ネットで知り合っただけの氏素性の知れない人物と
同居しようなんて思うものなのか?

 ネットの匿名性を悪用した犯罪なんて日常茶飯事なのにねえ・・・

しかしもっと驚くのは、いざ同居が始まっても、
早麻理が雪江のことを全く知ろうとしないこと。
お互いのプライバシーを尊重すると言えば聞こえはいいが、
無関心極まる態度に呆れてしまう。

まあ下手に知ってしまうといろいろトラブルの元になるかも・・・
って心理は分からなくもないが、それにしてもねえ・・・

本書のキーパースンであるところの当摩雪江を
登場させるためのキャラであるとはいえ、
いささか早麻理の "残念さ" は誇張の度が過ぎているような気も。

出てくる度に読者(私だけかも知れんが)を
イライラさせるというのは、裏を返せば
キャラの描き方がそれだけ達者だという証拠なのだろうが・・・

まあ、このご時世、
こんなお嬢さんもいるんだろうなあ・・・とか、

こういうキャラに目くじらを立てる私は
やっぱりオジサンなんだろなぁ・・・とか

いろいろ思ったものでした。


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