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忍び道 利根川 激闘の巻 [読書・歴史/時代小説]

忍び道: 利根川 激闘の巻 (光文社時代小説文庫)

忍び道: 利根川 激闘の巻 (光文社時代小説文庫)

  • 作者: 武内 涼
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/09/09
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

時は元禄16年(1703年)、将軍・綱吉の治世。
公儀隠密の "劣化" を憂う老中・小笠原佐渡守によって設立された
"忍者養成学校"・妙義山学問所。
13歳の一平をはじめ、関八州から集められた
"忍びの資質" を持つ子どもたちは、厳しい訓練に明け暮れている。

隠密の "復活" を嫌う一部の幕閣は、
凶悪な盗賊集団へと墜ちた風魔衆と手を結び、
学問所を取りつぶすべく策を巡らす。
その攻防を描いた前巻に続く、シリーズ第2巻。


風魔衆から入手し、今は学問所の運営資金として管理されている
2000両の小判を、江戸の伊賀組屋敷へ移送する計画が持ちあがる。
予想される風魔の襲撃を躱すため、商家の一行に扮することにし、
子どもたちからも、特に秀でた者が6名同行することに。

選ばれたのは座学・体術共にバランスよく習熟した一平、あやめ、雪。
素早い身のこなしに優れるつぎお、膂力にまさる雲三郎。
そして座学で傑出し人格的にも優れた辰之進の6名。

学舎長・百地半太夫は商家のご隠居、師範4人も使用人に化け、
総勢11名は2つの千両箱とともに利根川を下り、一路江戸を目指す。

かつて11歳で伊賀流忍法をすべて会得し、
半太夫に「もはや教えることは何もない」とまで言わしめた
天才忍者・依那具ノ四方介(いなぐの・よものすけ)。

23年前、大老・酒井忠清謀反の噂を探りに上州厩橋藩に潜入したまま
消息を絶った四方介が、2000両を追う風魔衆の一人として姿を現した。
すべては、自分を "捨て駒" にした半太夫に復讐するために・・・


子どもたちの修行がメインだった前巻とはうって変わり、
今回は実戦だ。風魔衆による "本気モード" な襲撃が描かれる。
(前回が手抜きだったというわけじゃないが)
風魔衆が繰り出す罠また罠の連続に
師範たちは斃れ行き、子供らも傷ついていく。
タイトルの「激闘の巻」に偽りはない。

このあたり、往年の白土三平の忍者マンガを彷彿とさせて
私くらいの世代には懐かしい雰囲気もある。

少しずつリーダーとしての資質を開花しつつある一平のように、
子どもたちも成長はしているのだけど、やはりまだまだ力不足。
自らを護るのに精一杯で、事態の推移を見守るしかないシーンも多い。
彼らの本格的な活躍は次巻以降へのお預けだろう。


どうでもいい話だけど、今回は主な舞台が利根川とあって
埼玉県出身の身としては、なじみの地名がたくさん出てきたのは
単純に嬉しかったよ。


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