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妖草師 人斬り草 [読書・ファンタジー]

人斬り草: 妖草師 (徳間文庫)

人斬り草: 妖草師 (徳間文庫)

  • 作者: 武内 涼
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2015/03/06
  • メディア: 文庫



評価:★★★

「常世」と呼ばれる "異界" からこの世へ侵入し、
人の心の闇や歪みを苗床に芽吹き、災厄をもたらす "妖草"。

市井で草木の医師として暮らしながら、妖草を刈る "妖草師" として働く
公家の次男坊・庭田重奈雄(しげなお)と、
花道家元滝坊家の一人娘・椿の活躍を描く。
シリーズ第2作。

前作は長編だったが今回は短編集になっている。


「柿入道」
 養源院の住職がこのところ毎晩、奇怪な夢を見るという。
 青い肌の大入道が現れ、庭の柿の木の精だと名乗り、語る。
 『俺を喰うな。実を食った者には祟りがあるぞ』と。

「若冲(じゃくちゅう)という男」
 京の北の村に妖草が現れたとの知らせに、椿と共に訪れた重奈雄。
 妖草 "恐オモダケ" を刈る手配をしている最中、重奈雄は
 青物問屋の隠居・伊藤若冲という男に出会う。

「夜の海」
 江戸の学問所・昌平黌(しょうへいこう)に寄宿する平賀源内の前に
 煙と共に一人の少女が現れる。
 彼女は京で暮らすお銀という10歳の娘で、学問で身を立てるため
 5年前に江戸へ向かったきり消息不明の父がいた。そしてどうやら
 彼女が江戸に現れたのは "謎の花" のせいらしい・・・

「文覚の袈裟」
 重奈雄の友人である池大雅と曾我簫白は、紅葉を見るために
 高雄山にきたが、そこで血まみれで倒れていた男を発見する。
 男は丹後国からやってきた与謝蕪村であった。

「西町奉行」
 京の町を3人の子供が駆け抜ける。
 自らの意思に反して "走らされ"、行き先々で大騒ぎを引き起こしす。
 彼らを助けた重奈雄は、謎の疾走の原因が
 妖草 "韋駄南天" にあることをつきとめるが・・・


伊藤若冲・平賀源内・与謝蕪村とゲストに同時代の大物を揃えた。
蕪村と源内は有名人だけど若冲の名は
つい最近『なんでも鑑定団』で知った。

 あの番組も今いろいろ話題だけど(笑)。

若冲と蕪村については名前くらいしか知らなかったので、
作者描くところの彼らの私生活はなかなか興味深かった。

実は本書を読んでる時、源内が主役の「大江戸恐竜伝」(夢枕獏)を
並行して読んでいたので、期せずして
源内の話を二作同時に読むことになってしまった。

もっとも、年齢がかなり違う。
こっちは30そこそこで「大江戸-」のほうは50近い。
本書の源内の方が真面目かなあ。
あっちの源内はかなりの山師(いろんな意味で)だし。

つい先日、書店に行ったらシリーズ第3作「魔性納言」が出てた。
順調に続巻が出てるってことは、好評なんでしょう。


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