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レミニセンス [映画]

原題は「Reminiscence」。回想、追憶、思い出、とかを意味する。
内容としては、タイトル通り ”記憶” がテーマ。
Reminiscence.jpg
以下、「映画.com」の記事から引用したあらすじを適当に編集しながら
内容紹介、そして感想もどきを書いていってみよう。

時代は近未来。そこでは多くの都市が水没している。

 温暖化による海面上昇と思われるが
 これによって、水浸しの下町に住む貧しい人々と
 堤防で囲まれた高地に住む一握りの富裕大地主という
 階層の分断が起こっていて、これが本作のバックボーンになっている。

主人公ニック(ヒュー・ジャックマン)と
その相棒ワッツ(タンディ・ニュートン)は、元軍人という過去を持つ。
現在は人の記憶に潜入し、それを時空間映像として再現する
「記憶潜入(レミニセンス)エージェント」を生業としている。

二人のもとへ、メイ(レベッカ・ファーガソン)という女性がやってくる。
「忘れ物を見つけてほしい」
ニックは彼女の記憶に潜入していく。

彼女はナイトクラブの歌手のようだ。
ピンスポットが落ちるステージに立ち、ささやくように歌い始めた。
ニックは驚く。それは彼の祖父がよく歌っていた曲だったからだ。

この件をきっかけにニックとメイは恋人となるが
ある日突然、メイは姿を消してしまう。

傷心のニックに、検察からある仕事が舞い込む。
瀕死の状態で発見された新興勢力のギャング組織の男の記憶に潜入し、
組織の正体と目的をつかむというものだった。

男から引き出した記憶の中にメイの姿を発見するニック。
彼女は5年前、ギャング組織のボスであるセント・ジョーのもとへ
身を寄せていた。それがどういう経緯でニックのもとへやってきて、
そしてなぜ去っていったか。

彼女の手がかりを求めて奔走するニックは、
やがて、想像だにしない “大きな陰謀” に巻き込まれていく・・・

本作のメインアイデアである ”記憶潜入(レミニセンス)” とは、
カプセル状の水槽に人体を浮かべ、その人から引き出した記憶を
円形のステージ上に ”3D映像” として再現する技術を指す。

その映像が、周囲の人間からはあたかも目の前で現在進行中の
”現実” のように見える。

この技術は犯罪捜査でも活用され、
証言ではなく記憶から事件解決に至るケースも多い。
だからニックたちのもとへ検察から依頼が来るわけだ。

ただし、当然ながら制限もある。
(1)潜入(再現)できる記憶は、対象者が五感で体感した世界すべて。
 当たり前だが、本人が見ても聞いてもいないことは再現できない。
(2)同じ記憶に何度も入ると、対象者は記憶に呑み込まれ、
 現実に戻れなくなる。
(3)記憶に “事実と異なるもの” を植え付けると、
 対象者は脳に異常をきたす。

この映画には様々な要素が入っている。

ニックが消えてしまったメイを捜して奔走するハードボイルドであり、
彼女の背後に潜む陰謀に巻き込まれていくサスペンスでもある。
ニックと相棒ワッツは退役軍人であり、しかもワッツは銃撃の達人。
二人がギャングたちと激しく戦うアクション&銃撃シーンもあり、
終盤になると、あちこちに張られていた伏線が一気に回収されて
メイにまつわる謎が解かれていくミステリとなる。

その中で、終盤近くにとても感動的なシーンが訪れる。
物語的にはここがクライマックスになると思うのだけど
この場面は ”記憶潜入” というアイデアゆえに成立する。

 制作陣がいちばん描きたかったのがこのシーンなのだろう、
 って勝手に思ってる。

本作は紛れもなくSFだ。
SFでなければ描けないシーンを描いているのだから。
それに加えて、上にも書いたようにミステリやサスペンスなど
様々な要素を含む物語でもある。

そうなのだけど、この物語の中心にあるのは
「”運命の女性” と巡り会ってしまった男」を描くラブ・ストーリーだ。

だけど、二人の愛の行く末を描くラストは哀しいなあ。
小説だったら、けっこう沁みると思うんだけど
映像で描かれてしまうと、ちょっと胸が痛む。

最後に余計なことを書く。

映画を見終わったとき、なんとなく梶尾真治の短篇SF
「美亜へ贈る真珠」を思いだしてしまった。
アイデアもストーリーも全く異なるのだけど、
どちらも ”運命の女性” を描いているせいかもしれない。


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