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○○○○○○○○殺人事件 [読書・ミステリ]


○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

  • 作者: 早坂 吝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/04/14
  • メディア: 文庫
評価:★★☆

タイトルが伏せ字でできているという、なんとも人を食った作品だが
さらに冒頭に「読者への挑戦状」が置かれていて
犯人当てはもちろん、タイトル当てもまた
作者から読者への挑戦であることが知らされる。

「犯人は当てられなくても、タイトルなら当てられるでしょ?」
というわけだ。

ちなみに、私は犯人もタイトルも当てられませんでした。
でもこのタイトル、犯人より当てにくいように思うんだが。

終盤で探偵役が真相を明かし、犯人を指名した後だって
当てるの難しいんじゃない?

閑話休題。


語り手は区役所に勤める地方公務員、沖健太郎(おき・けんたろう)。
アウトドアが趣味の沖は、ネットで知り合った同好の士たちと共に
小笠原諸島のさらに沖合に位置する孤島へと向かう。

そこは黒沼重紀(しげき)・深景(みかげ)夫妻の所有する島。
そこで沖たちは毎年恒例のオフ会を開いているのだ。

参加者は沖の他に大学院生の小野寺渚、医師の浅川史則(ふみのり)、
医師の中条法子(のりこ)、フリーライターの成瀬瞬(しゅん)、
そして瞬の愛人とおぼしき10代の女性・上木(かみき)らいち。

しかし一行が島に到着した翌日、メンバーの二人が失踪し
さらに殺人事件が発生する・・・


さて。

本編の語り手である沖君は20代の独身男性で、
若い男なら誰でも持っているであろう ”煩悩の塊” である(笑)。
つまり、女性というものに対して抱く欲望と妄想が果てしないのだ。

その主な対象は、いままでは渚に向けられていた。
要するに彼は渚嬢に惚れているのである。

それに加えて、今回新たに参加した上木らいち嬢がまた
ナイスバディでフェロモンむんむんのエロいキャラなので
もう沖君は全編にわたって妄想全開になってしまう(爆)。

語り手のアタマの中が、9割くらいエロで占められているので
物語全体の雰囲気もエロくなるのは仕方がない(おいおい)。

読者は彼の妄想&欲望満開の独白を全編にわたって読まされるわけで
なかには、辟易してしまう人もいるかも知れない。

しかし、そこにこそ本書の ”キモ” が仕込まれているのだ。

詳しく書くとネタバレになってしまうのだけど、
単なるエロティック・ミステリではなく、
エロと謎解きが一体化しているところが本書の特徴。
いままで、ありそうで無かった路線ではあるが。

終盤に至り、”ある事実” が明かされる。
読者は驚くだろうが、いちおう伏線も張ってあるしね。

謎解きも、この ”事実” を踏まえた上で論理的に展開される。
そういう意味では、本格ミステリのお約束は守られて作られてはいる。

作られてはいるんだが・・・あとは読者個人個人の好みでしょうねぇ。

評価で分かるかと思いますが、
私はこの手の話はあんまり好きではないです。
いや、エロい話自体は嫌いではないですし、
エロいミステリも嫌いではないのだけど(苦笑)、
流石にここまで振り切れてると、
ちょっとついて行けないものを感じます。

すみません、古~い人間なので・・・

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