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化学探偵Mr.キュリー8 [読書・ミステリ]


化学探偵Mr.キュリー8 (中公文庫)

化学探偵Mr.キュリー8 (中公文庫)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2019/06/20
  • メディア: 文庫
評価:★★★

人呼んで ”Mr.キュリー” こと
四宮大学理学部化学科准教授・沖野春彦と、
大学総務部職員の七瀬舞衣がコンビを組んで
大学の内外で起こる事件を解決していくシリーズ、その第8弾。

「第一話 化学探偵と棄てられた覚醒剤」
大学から出てくる排水に有害物質が含まれていないか、
分析/検査をしている国島から、舞衣の元に連絡が入る。
理学部の排水から、覚醒剤とみられる成分が検出された、と。
排水を流す配水管の調査から、問題の物質は
有機触媒化学研究室から流出していることが判明する・・・
いやあ、いくら何でもこの短編のオチみたいなことが
実際にあるとは思えないんだけど、
何せ ”事実は小説より奇なり” だからなぁ。

「第二話 化学探偵と禁断の果実」
四宮大学では、去年から近所の小学生を招いて見学会を開いている。
理学部では、沖野が子どもたちに演示実験を見せていた。
その最中、5年生の亀山蒼礼翔(そらと)が気を失って倒れてしまう。
しかし連絡を受けた蒼礼翔の母親は、仕事を口実に病院へ現れない。
舞衣はネグレクト(育児放棄)を疑うのだが・・・
子どもは、生まれてくる家庭を選べないからなあ。

「第三話 化学探偵と爆発動画の怪」
インターネットに、爆弾を爆発させる動画がアップされるが、
警察からその動画についての問い合わせが舞衣のもとへ入る。
撮影されたのは四宮大学のグラウンドではないのか?
現地へ向かった舞衣は、爆発らしき痕跡を発見するが、
そこの土からは爆発物の成分は一切検出されなかった・・・
男子中学生が、将来なりたい職業の1位が YouTuber だそうな。
オジさんにはついて行けない世界ですなあ・・・

「第四話 化学探偵と心の枷」
総務部で ”なんでも相談” 窓口を担当する舞衣のところへ
持ち込まれたのは恋愛相談だった。
文学部の浜村美玖が付き合っているのは理学部の杉田元貴(もとき)。
最近、元貴は研究が忙しくてデートもままならないのだという。
舞衣は元貴と、彼の担当教授の土居にも改善を求めるのだが・・・
私も大学時代には、研究室に泊まりがけで実験とかしてたけど
サボってる時間も長かったからなあ(笑)・・・。
あの頃はいろいろな面でおおらかだったし。
今の理系の学生は、大学にもよるだろうけど
シビアでタイトなスケジュールで頑張ってるんだろうなあ・・・

「第五話 池のほとりに立つ彼女 ー2003年のMr.キュリー」
前巻(7)の「第〇話 夜の虹 ー 1999年のMr.キュリー」、そして
「第七話 紫色の手紙 ー 2003年のMr.キュリー」のさらに後日談。
ある理由から、東理大学の薬学部へ入学した湯浅信希くん再々登場。
彼は大学キャンパスの中にある「五郎池」のほとりで、
いつも同じ時間に佇む女性を見つける。
理学部の院生である沖野によると、その池には数十年前に
受験生が身を投げて死んだという言い伝えがあるのだという・・・
若き日(いまが年寄りというわけではないが)の沖野が登場する
このシリーズはまだ続くのかな。
信希と遠距離恋愛をしているユカさんとの仲も気になる。

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