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天冥の標VII 新世界ハーブC [読書・SF]

天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 小川 一水
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/12/19
  • メディア: 文庫
大河SF「天冥の標」シリーズ、第7部。

21世紀初頭に起こった、致死率95%に達する伝染病 ”冥王斑” の
パンデミックから生まれたのが《救世群》。
”冥王斑” から奇跡的に回復し、保菌者となった者たちが作り上げた
生活共同体で、”非感染者” から隔離された彼らは
やがて ”独立国” 的な扱いを受けるようになっていく。

彼らの活動を封じ込めたい ”非感染者” たちとの緊張関係は
世紀を超えて続き、パンデミックから500年後の世界を描いた
前巻・第6部「宿怨」でピークに達する。

《救世群》が手に入れた異星人のオーバーテクノロジーは
両者の均衡を崩し、ついには戦争状態へ突入する。

そのなかで、強硬派の《救世群》議長の娘ミヒルと
副議長ロサリオは、人類史上最凶最悪の作戦を発動する。
すなわち、致死率95%の冥王斑の原種ウイルスを
太陽系全域の人類居住地へバラ撒いたのだ。

その結果、人類文明は崩壊し、生き残ったわずかな者たちも
食料/物資を求めて暴徒化してしまう。

性的奉仕ロボットである《恋人たち》とともに
辛くも《救世群》から脱出したアイネイアは、
太陽系を離れて他星系へ向かおうとする途中の
恒星間宇宙船ジニ号に接触、恋人のミゲラと再会する。
しかしその直後、太陽系全域を襲った大混乱に巻き込まれて
恒星船ジニ号は小惑星セレスに墜落してしまう。

ここまでが第6部で語られたこと。
第7部である本書は、この直後から始まる。

ジニ号の墜落から辛うじて生き残ったアイネイアとミゲラは、
セレス・シティの地下に建設された<ブラックチェンバー>と呼ばれる
巨大シェルターに、感染から逃れた人々が収容されていることを知る。

しかし、<ブラックチェンバー>にたどり着いた二人は愕然とする。
収容されていた生存者は総計で52244名。
内訳は男性24905名、女性27339名。
しかしその中に成人は1029名しかいなかったのだ。

そのわずかな大人たちも、暴徒からシェルターを守る戦いのさなかで
ほとんどが命を落としてしまう。

やがて太陽系内の通信が途絶えたことから、
<ブラックチェンバー>内の5万人が
人類(非感染者)の生き残りのすべてと思われた。

シェルターに残された子どもたちのうち、最高齢は17歳。
否応なく子どもたちのリーダーとなってしまったアイネイアたちは、
生き延びるための長い苦難の道を歩み始めることになる・・・


もちろん彼らの行く手は前途多難だ。限りがある食糧、
エネルギー供給も先細り、それらを巡る内紛も起こる。
そして、いまだに ”非感染者” の掃討を続ける《救世群》からも
身を隠さなければならない。
さらに、彼らが暮らす小惑星セレス自体にも、
謎の異変が起こり始める・・・


「エピローグ」まで読むと、パズルのピースがいろいろハマる。

 そうかあ。
 こうやって第1巻「メニー・メニー・シープ」につながるんだねぇ。
 もう一度第1巻を読み返したら、いろいろ腑に落ちるんだろうなあ。

もっとも、残された謎もまだまだ多いのだけど、
それは次巻以降で明かされていくのだろう。

次巻の第8部「ジャイアント・アーク」は、
裏表紙の惹句を読む限りでは第1巻の直後から始まるみたい。
やっとカドムとイサリの話の続きが読めるんだねえ。
ここまで来るのが長かったよ・・・

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