トラップ・ハウス [読書・ミステリ]
評価:★★★
大学卒業を前にして、同期生の男女9人が記念旅行を計画する。
場所は長瀞のキャンプ場。
しかし到着したものの、先に現地入りして準備を進めていたはずの
リーダー格の学生の姿が見えない。
訝しみながらも、8人の学生たちは宿舎となる
トレーラーハウスに向かう。
中に入った一行を待っていたのは、目覚まし時計のベルの音。。
時計を止めると、その下にメモ用紙が。
そこに書かれていた文面は
「君たちは、ここから出られないよ。一生ね」
気がつけば、すべての扉と窓のカギは壊されており、
内側から開けることは不可能。
透明部分はすべて特殊プラスチック製で素手では傷もつかない。
彼らは、完全に車内に閉じ込められていることを知る。
そして車内の至る所に仕掛けられた、人体を傷つけるための "罠"。
とてつもない悪意に捕らえられた中で、
ついに学生の一人が命を落とす。
この "トラップ・ハウス" を仕組んだのは誰か?
そして、何のために、そしてなぜ?
残された7人は脱出の道を探りながらも、
"敵" の正体を暴くべく推理を重ねるが・・・
作者は毎回凝った舞台装置と意表を突いた設定を用意して
"特殊状況下の事件" を演出してくる。
今回は宿泊機能を備えた大型トレーラーの中で事件が起こり、
全編のほぼ95%くらいがこの中で進行するという "密室劇" である。
舞台が変化しないので、展開が単調になりそうな気もしたのだが
次から次へとイベントが起こり、読んでいて飽きない。
さらに、登場人物たちの討論もなかなか論理的で読ませる。
手がかりもしっかり用意してあり、
ラストでは推理に基づいて "真犯人" が指摘されるという
"本格ミステリ" にもなってる。
石持浅海ってホントよくこんな設定考えつくよなあ。
まあ、それでこそプロなんだろうけど。