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バイオレンスアクション [映画]


 まず私は、橋本環奈さんのファンというわけではない(嫌いでもないけど)。それに、原作マンガを読んだこともない、というかそもそもマンガが原作だったということすら知らなかった。

 じゃあ何で観に行ったのかと言えば「なんだか面白そうだったから」以上の理由はない。
 結果はどうかというと、2時間弱の上映時間中、退屈はしなかったし、途中で出ていこうとも思わなかった。
 つまり「それなりに楽しみました」ということなんだけど、観ていていろいろ考えたこともあった。これは後で書くとして、まずは映画の紹介から。
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 以下に公式サイトの文章を転載する。ちょっぴり編集してあるけど。

 ゆるふわピンクボブの菊野ケイ(橋本環奈)は日商簿記検定2級合格を目指し専門学校に通っていた。学校帰りのバスでビジネスマン風の青年テラノ(杉野遥亮)と出会い、ケイは胸を高鳴らせながらもいつも通りバイト先へ。
 一見、フツーのラーメン屋だが、その実態は殺し屋。ケイは、指名ナンバーワンの凄腕の殺し屋だったのだ...!!
 キレたら恐い店長(馬場ふみか)、不自然ヘアーの運転手ヅラさん(岡村隆史)、ケイに想いを寄せる渡辺(鈴鹿央士)と孤高のスナイパーだりあ(太田夢莉)がバイト仲間だ。
 この日の依頼は、巨大なヤクザ組織を仕切る三代目組長(佐藤二朗)からある人物を殺して欲しいという内容だった。そのターゲットとは巨大な抗争の渦中にいるヤクザの会計士、バスで出会ったテラノだった・・・。
 そこにケイを狙う最狂の殺し屋みちたかくん(城田優)まで現れて...!?
 菊野ケイ、史上最悪のバイトをどう乗り切る!?


 ヒロイン菊野ケイの仕事は殺しのデリバリー。依頼があった場所まで出かけていって、そこにいるターゲットを ”始末” する。
 殺し屋としての腕はウルトラスーパー級だ。格闘技でも刃物でも銃でも何でもOK、群がる ”標的” をぶち殺しまくり、映画開始5分ほどで画面の中には死体がゴロゴロという惨状が展開する。
 しかもそれをやってのけたのがピンクのヘアでボブカットのお嬢さんなんだから。簿記の専門学校に通い、休み時間には女友達とBLマンガを眺めてキャッキャ言ってる。まあ、そのギャップがこの作品のセールスポイントのひとつなのだろう。

 アクションシーンの演出は、リアリティよりは外連味を重視してる。アニメの画面をそのまま実写化したみたいに感じた。
 殺陣にしても、およそこんなことは不可能だろうと思われるシーンが多々あるし、主人公の撃つ弾丸は百発百中で、敵の弾丸はことごとく外れる。しかも、主人公が身を躱しながら飛んでくる弾丸をすいすいとよけていく。おまえは島村ジョーか、って心の中でツッコんでしまったよ。あ、分からない人は ”サイボーグ009” でググってください(笑)。

 そういう ”主人公補正” はどんな作品にも多かれ少なかれあるものだが、ここまで堂々とやられてしまうと、いっそ天晴れなのかも知れない。
 主人公の人間離れしたアクションシーンもまた、本作のセールスポイントのひとつなのだろう。


 でも、私がこの映画を観ていていちばんモヤモヤしたのはそういうところではなくて、主人公の ”人となり” だった。

 この映画では、主人公ケイの内面についてはほとんど描写されない。原作の方ではどうなのか知らないけど、少なくとも映画の中では語られない。

 大勢の人間を手にかけているのだけど、それについてどう感じているのかは描かれない。何も感じないで平然としているのか、実は悩んでいるのだけど表に出さない(そういうふうには見えないけど)のか。
 ひょっとすると彼女には精神に何らかの問題があって、感情に欠落があるのではないかとすら思ってしまったよ。

 なぜあんな超人的な殺人技を身につけているのかも語られない。ケイの仲間のスナイパー・だりあについては、断片的にだが過去が語られてるけどケイについては皆無だ。
 どうして殺し屋をやっているのかも分からない。始めたきっかけ、続けている理由も不明だ。

 まあ、そういうところにこだわるのが ”昭和の親爺” の悪いところで、若い人はそんなところは気にしないのだろう。
 「20歳の女の子が ”ゴルゴ13” をやってる」。そういう作品なんだ、って割り切って観るべき映画なのかも知れない。


 思ったよりも長くなってしまった。あとは俳優陣についてちょっと語って終わりにしよう。

 組長(佐藤二朗)のおやじギャグは全く笑えない。というか、店長(馬場ふみか)・ヅラさん(岡村隆史)・渡辺くん(鈴鹿央士)あたりを中心とした、観客を笑わせようとする演出はあまり成功しているようにはみえない(おいおい)。

 ゆるふわな主人公側に対して、ヤクザ組織側の演出は暑苦しい。
 木下(高橋克典)、その手下アヤベ(大東駿介)、スナイパー金子(森崎ウィン)。彼らの ”狂犬ぶり” の描き方は申し分ないのだけど、それを上回るのが殺し屋みちたかくん(城田優)。
 彼の怪物ぶりというか不死身ぶりは、さながら「ターミネーター」。シリアスなシーンのはずなのに、彼が登場すると一気にマンガチックな演出になってしまうのはどうしてだろう。原作でもそうなのだろうか、って思ったり。


 主演の橋本環奈さんは熱演してると思う。アクションシーンについてはスタントマンが演じてる部分もあるのだろうけど、本人もけっこう頑張ってるんじゃないかな。
 彼女がメジャーになって露出が増えてきた時、正直ここまでビッグになるとは予想しなかった。
 最近では舞台に挑戦したりと、仕事を(いい意味で)選ばないところも、素晴らしいと思う。



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