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南青山骨董通り探偵社 [読書・ミステリ]

南青山骨董通り探偵社 (光文社文庫)

南青山骨董通り探偵社 (光文社文庫)

  • 作者: 五十嵐 貴久
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/03/12
  • メディア: 文庫

評価:★★★

主人公・井上雅也は25歳。大手自動車メーカーの営業職で3年め。
会社の組織に馴染めず、うだつが上がらない日々に、転機がやってくる。

「うちの探偵社で働いてみませんか?」
オファーしてきたのは ”南青山骨頭通り探偵社” 社長の金城だった。

かつて雅也が担当した顧客から彼のことを聞いたという。
能力はともかく(おいおい)、人柄は素晴らしい、と。

会社には内緒でアルバイト的に体験入社し、働き始めた雅也。
そんなとき、探偵社に入った依頼は中学生の援助交際に関するもの。

警察に対して、名門小中高一貫校の中等部3年生で水沢瞳という生徒が
複数の男性と淫らな関係を持っているという告発メールがあった。
メールを受け取った南青山暑は静観することを決めたが、
それに不満な刑事・田代千賀子からの個人的な依頼だった。

同僚たちとともに瞳の尾行を始める雅也。
そしてさらに告発メールが届く。
瞳は担任教師の細野とも関係を持っている、というものだった。

細野の調査を始めた雅也たちは驚くべき事実を知る。
彼は自宅とは別に、家族に隠れてマンションを借りていて、
そこで瞳以外にも複数の女子生徒と関係を持っていたのだ。

細野の監視を始めた雅也は、同僚の探偵・朝比奈玲子から連絡を受け、
彼の隠しマンションへ向かうが、そこで発見したものは
細野の死体と、気を失って倒れている玲子。
しかも殺害現場は内部から施錠されていた・・・

シリーズものの第1巻なので(全3巻構成みたい)、
前半は登場人物の紹介を兼ねているのか
ストーリーの進行もゆるめで、殺人が起こるのは中盤過ぎ。

中学生の売春というテーマはなかなか重い。関係者にも同級生が多く、
彼ら彼女らの年代なりの ”人間関係” も深く絡んできている。
真相はそれなりに意外だが、解決してもすっきりしないのはテーマゆえか。

探偵という普通ではない職業に就いているだけあって、
登場する探偵社のメンバーはみななかなか個性的。
さらに、過去にいろいろあった人も多そうで、そのへんは次巻以降で
おいおい明かされていくのだろう。

本書のラストで、雅也は大手メーカーを辞め、
探偵社のアルバイト扱いから正式なメンバーとなる。
次巻以降はフルタイムで活躍することになるのだろう。


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