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航空自衛隊 副官 怜於奈 [読書・その他]

航空自衛隊 副官 怜於奈 (ハルキ文庫)

航空自衛隊 副官 怜於奈 (ハルキ文庫)

  • 作者: 数多久遠
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2020/05/15
  • メディア: 文庫
評価:★★★

表紙に描かれている、制服を着た萌えキャラっぽい女性が
本書の主人公、斑尾怜於奈(まだらお・れおな)二等空尉だ。
まあ実際はもっと落ち着いた髪型をしていると思うが(笑)。

舞台こそ自衛隊だが、作者が今まで描いてきた作品群のような
ミリタリー・サスペンスではなく、
予期せぬ人事によって「副官」業務に就くことになった怜於奈さんの
奮闘ぶりを描く、自衛隊を舞台にした ”お仕事小説” である。

「第一章 何で私が副官に?」
怜於奈さんは沖縄県那覇基地で、地対空ミサイル・パトリオットを
運用して弾道ミサイル防衛に携わる第五高射群に勤務する幹部自衛官だ。
その彼女に、南西航空方面隊司令官付きの副官を命じる辞令が。
正直言って希望する部署ではなかったのだが・・・
「副官」とは、一般企業における「秘書」の業務が近いようにも思うが
司令官のスケジュール管理だけに留まらない。
実際に任務に就いてみて、事前のイメージとの違いに戸惑う怜於奈さん。

「第二章 これも副官の仕事?」
怜於奈さんが仕えることになる司令官・溝ノ口は、
内地から那覇基地に新たに着任してきた。
単身赴任の溝ノ口の新居の掃除も副官たちの役目だ。
そんな中、新居の近くに現れる謎の女性に気づく玲於奈さん。
彼女は、溝ノ口の妻だった。司令官の女性関係まで
心配する羽目になってしまった玲於奈さんだが・・・

「第三章 副官付の気配り・機転」
副官にも、「副官付」と呼ばれるスタッフがつく。
新米でミスをしがちな玲於奈さんをフォローする、
ベテラン「副官付」さんたちの活躍を描く。

「第四章 これぞ副官」
2か月前、南西空司令部の幕僚が研修のために海上自衛隊の哨戒機P-3の
通常の監視任務に同乗したところ、マスコミから
「自衛隊が税金を使って遊覧飛行」と叩かれてしまう。
その報道をした琉球テレビのプロデューサーから新司令・溝ノ口への
インタビューが行われるが、険悪な雰囲気で終わってしまう。
自衛隊は、打開策としてP-3の警戒監視フライトを
マスコミに取材させようというプランを打ち出す。
元自衛官のユーチューバーが取材希望を伝えてきたが、
さらに琉球テレビまでが参加に名乗りを上げてきた・・・
国境を挟んで、24時間にわたって他国と対峙する自衛隊の責務は大きい。
作者は元自衛官だけあって、実際の哨戒任務に於ける緊張状態を
リアルに描き出してみせる。

沖縄という土地は、歴史的なこともあって
地元マスコミの自衛隊に対する姿勢はかなり批判的らしい。
それも分からなくはないのだが・・・


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