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ハンターキラー 最後の任務 上下 [読書・冒険/サスペンス]

ハンターキラー 最後の任務 上 (ハヤカワ文庫NV)

ハンターキラー 最後の任務 上 (ハヤカワ文庫NV)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: 文庫
ハンターキラー 最後の任務 下 (ハヤカワ文庫NV)

ハンターキラー 最後の任務 下 (ハヤカワ文庫NV)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: 文庫
評価:★★★

2019年に公開された映画『ハンターキラー 潜航せよ』。
同時期に映画の原作本も翻訳刊行された。

 この映画と原作本については、記事に書いてる。
 あんまりいい評価ではないけど(笑)。

タイトルだけ見ると、続編あるいは完結編みたいだが
そうではなく、実は本書がシリーズ第1作。
前作『潜航せよ』はシリーズ第2作なのだ。

前作(小説版)で主役の一人を務めたのは
アメリカ原潜〈トレド〉艦長ジョー・グラス中佐だったが、
過去に当たる本作では、グラスは原潜〈スペードフィッシュ〉の副長で
階級も少佐だ。出番もさほど多くなく、脇役の一人というところ。

本書で活躍する〈スペードフィッシュ〉は退役間近の老朽艦。
タイトルの「最後の任務」は、
本作でこの艦に与えられるミッションのこと。
そしてそれを率いるジョン・ワード中佐が本作では主役となる。

麻薬取締官トム・キンケイドは、スタンドプレイに走る上司のために
シアトル支局に左遷される。しかしそこで若者たちをターゲットに
強烈な依存性を持つ麻薬が流通し始めていることを知り、
現地警察のケン・テンプルとともに捜査を開始する。

その麻薬を製造し、アメリカに送り込んでいたのは南米コロンビアの
麻薬王にして反政府ゲリラの指導者ファン・デ・サンチアゴ。
彼は栽培地、精製工場、依存性を高める薬物を研究する施設まで
完成させ、さらには東南アジアの麻薬王とまで手を組もうとしていた。

IDIA(国際共同麻薬禁止局)のベセア局長は、
コロンビアの巨大麻薬組織壊滅のために
ビル・ビーマン少佐率いる海軍特殊部隊SEALSを現地へ送り込み、
麻薬関連施設の所在地を探らせる。

そして〈スペードフィッシュ〉艦長、ワード中佐に下された命令は
コロンビア沖合に進出し、ビーマンの部隊が発見した施設を
巡航ミサイルで攻撃、破壊することだった。

麻薬の売人を追うキンケイドとテンプルのパートはバディ警官もの。

道なきジャングルを踏破しながら、敵と激闘を繰り広げるビーマンたち。

麻薬王デ・サンチアゴが、強欲と非情の塊の
極悪人として描かれるのはお約束なのだろうが・・・。

”老体” に鞭打ってアメリカ西海岸からコロンビアまで向かう途中の
〈スペードフィッシュ〉も、老朽艦故の様々なトラブルに襲われる。

物語はこの4つのパートを交互に切り替えながら進んでいく。
『ハンターキラー 潜航せよ』のときは、視点が分散しすぎて
個々のシーンが細切れでとても読みにくかった、って書いたんだが
本書ではあまりそれは感じなかった。
それはストーリーが単純明快なせいかも知れないし
読んでいる私の方が慣れたせいなのかも知れない(笑)。

アメリカへ送り込む大量の麻薬を運ぶのが
海底を ”這って進む” ような特殊潜航艇だったり、
それを収容する ”母船” となる貨物船が登場したりと
”潜水艦もの” らしいガジェットも登場して物語を盛り上げる。
物語の後半では、”母船” と特殊潜航艇を追跡する
〈スペードフィッシュ〉の活躍が読みどころになる。

さて、巻末の「訳者あとがき」によると、
このシリーズは既刊含めて6冊(つまり未訳分は4冊)も刊行されていて、
来年(2021年)にはさらにもう1冊出るらしい。

本書の刊行は前作『潜航せよ』の評判が良かったかららしいので、
本書もそれなりに売れれば、続巻も翻訳されるのかも知れない。

うーん、どうしようかなぁ。つまらなくはないんだけど
”潜水艦もの” としてはちょっと物足りない気もするんだよなぁ。

現代を舞台に、純然たる ”潜水艦もの” を成立させるのは難しい、
というのはわかるんだけどねぇ・・・


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