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再就職先は宇宙海賊 [読書・SF]

再就職先は宇宙海賊 (ハヤカワ文庫JA)

再就職先は宇宙海賊 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 鷹見 一幸
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2018/03/31
  • メディア: 文庫
評価:★★★★

21世紀初頭、月で異星人の遺物が発見された。
やがてこれは、異星人が太陽系を去るときに捨てていった
膨大な量の ”ゴミ” だと判明するが、何せ
恒星間航行を可能にした科学技術をもった異星人のもの。
”ゴミ” とはいっても、人類には原理の理解も再現も不可能な
オーバーテクノロジーの塊だった。

超大容量バッテリー、重力制御装置、慣性中和装置、亜光速推進器など
”ゴミ” の中には再利用可能なものも大量にあり、
これが人類文明を一変させた。

人類はさらなる ”お宝”(ゴミ) の発見を求めて太陽系中に進出、
新たな ”ゴールドラッシュ” が発生していた。

日本の中小企業で働くヒロユキは、同僚の佐々木、ウォルターと3人で
小惑星帯で一攫千金を狙った ”宝探し” をしていた。

しかし会社が倒産し社長は夜逃げ。
3人は路頭に迷う身になってしまう。

しかも会社の資産まで差し押さえられ、3人は発掘作業中だった
小惑星からの脱出すらできなくなってしまう。

万事休すかと思われたが、時を同じくして3人は
小惑星の地下に巨大な ”帝国の遺産” を発見する・・・

物語のほぼ前半分は、彼ら3人の発掘作業がメイン。
さながら宇宙版『インディー・ジョーンズ』みたいである。
オタク3人組の彼らの会話も楽しくてすいすい読めるんだが
いったい「いつになったら『宇宙海賊』になるんだよ」とも思う。

しかし心配ご無用。中盤で
新興財閥ナースリム・グループ創業家のご令嬢・ナスリチカが
登場し、そこから一気に ”宇宙海賊” になっていく。

ちなみに表紙イラストの、一見して ”クイーン・エ○ラ○ダ○” 風(笑)の
コスチュームの女性がナスリチカ嬢。
なんでこんな格好しているのかは読んでのお楽しみだが。

彼女のバックに描かれているのが、主人公たちの乗り組む ”海賊船”。
こちらも ”クイーン・○メ○ル○ス号” っぽい外形だったりするんだが
これはもう作者がわかってやってるんだろうなぁ。

 この文章を書きながら、ふと思った。
 ○本○士さんに了解取ってるのかなぁって。
 ここ数年、あのご老体は著作権にうるさくなったからねぇ・・・

基本的には、コメディ・タッチのスペース・オペラで
肩の力を抜いてケラケラ笑いながら読めるんだが・・・

ラスト30ページまできて、突如雰囲気はシリアスに。
何がどうなってそうなるのかは書かないが
私は感激して目が潤んでしまったよ。
トシ取ると涙腺が緩んでいけないねぇ・・・

もし続編の構想があるのなら、ぜひ読みたいものだ。
やっぱりスペース・オペラは面白い。


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