幽女の如き怨むもの [読書・ミステリ]
怪奇幻想小説家・刀城言耶が探偵役を務めるシリーズの一編。
長編としては6作目になる。
長編としては6作目になる。
全体は4部構成。文庫で約710ページに及ぶ大作である。
「第1部 花魁 ─ 初代緋桜の日記」
1933年、小畠桜子は13歳で金瓶梅楼という遊郭へ身売りされてきた。
下働きの3年間を経て16歳になった桜子は ”緋桜” という名で
客を取るようになるが、遊女としての生活は苦痛と悲哀に満ちていた。
そんな中、金瓶梅楼の遊女・通小町(かよいこまち)が
遊郭の3階から投身自殺を遂げる。
それに導かれるかのように今度は桜子も身投げを図るが
女中の雪江に止められる。さらに3人目の遊女・月影もまた
身投げをするが、これは運よく命拾いをする。
やがて桜子は売れっ子遊女となるが、客として来ていた
呉服問屋の三男坊・飛白織介(かすり・おりすけ)と恋仲になる・・・
この第1部は文庫で約310ページに及ぶ。
1933年、小畠桜子は13歳で金瓶梅楼という遊郭へ身売りされてきた。
下働きの3年間を経て16歳になった桜子は ”緋桜” という名で
客を取るようになるが、遊女としての生活は苦痛と悲哀に満ちていた。
そんな中、金瓶梅楼の遊女・通小町(かよいこまち)が
遊郭の3階から投身自殺を遂げる。
それに導かれるかのように今度は桜子も身投げを図るが
女中の雪江に止められる。さらに3人目の遊女・月影もまた
身投げをするが、これは運よく命拾いをする。
やがて桜子は売れっ子遊女となるが、客として来ていた
呉服問屋の三男坊・飛白織介(かすり・おりすけ)と恋仲になる・・・
この第1部は文庫で約310ページに及ぶ。
「第2部 女将 ─ 半藤優子の語り」
1941年、金瓶梅楼の女将の娘・半藤優子は母の跡を継ぎ、
遊郭の名も梅遊記楼と改める。新たに雇い入れた遊女・糸杉染子に
”二代目・緋桜” を名乗らせたところ、売れっ子となっていく。
そんな中、梅遊記楼の別館に身を寄せていた
前女将の友人の娘・登和(とわ)が遊郭の3階から身投げ、
さらに遊女の雛雲(ひなぐも)、そして染子までが身投げを図る・・・
第2部は文庫で約200ページ。
1941年、金瓶梅楼の女将の娘・半藤優子は母の跡を継ぎ、
遊郭の名も梅遊記楼と改める。新たに雇い入れた遊女・糸杉染子に
”二代目・緋桜” を名乗らせたところ、売れっ子となっていく。
そんな中、梅遊記楼の別館に身を寄せていた
前女将の友人の娘・登和(とわ)が遊郭の3階から身投げ、
さらに遊女の雛雲(ひなぐも)、そして染子までが身投げを図る・・・
第2部は文庫で約200ページ。
「第3部 作家 ─ 佐古荘介の原稿」
怪奇作家・佐古荘介の叔母・淑子は、戦後になって売りに出ていた
梅遊記楼を買い取り、梅園楼と改名して経営者となっていた。
その梅園楼では終戦近くに遊女の死体が見つかり、
さらに遊郭内を遊女の幽霊が徘徊するという。
噂を聞いた荘介は梅園楼に滞在することになるが
今度は男が遊郭の3階から転落死を遂げる・・・
第3部は文庫で約110ページ。
怪奇作家・佐古荘介の叔母・淑子は、戦後になって売りに出ていた
梅遊記楼を買い取り、梅園楼と改名して経営者となっていた。
その梅園楼では終戦近くに遊女の死体が見つかり、
さらに遊郭内を遊女の幽霊が徘徊するという。
噂を聞いた荘介は梅園楼に滞在することになるが
今度は男が遊郭の3階から転落死を遂げる・・・
第3部は文庫で約110ページ。
「第4部 探偵 ─ 刀城言耶の解釈」
戦前・戦中・戦後の3つの時代にまたがり、謎の身投げ事件について、
言耶が一つの ”解釈” を語る解決編。
戦前・戦中・戦後の3つの時代にまたがり、謎の身投げ事件について、
言耶が一つの ”解釈” を語る解決編。
ミステリを読み慣れた人なら、最終的なオチは
なんとなく予想できてしまうのではないかと思う。
ではつまらないかと言えば全くそんなことはなく、
ミステリ的興味以上に、物語に引き込まれてしまう。
”遊女” というものは、時代劇などを観ていればよく出てくるので
結構知っているつもりであったのだけど、第1部を読んでいると
想像を絶する部分が多々あって、驚かされる。
ミステリ的興味以上に、物語に引き込まれてしまう。
”遊女” というものは、時代劇などを観ていればよく出てくるので
結構知っているつもりであったのだけど、第1部を読んでいると
想像を絶する部分が多々あって、驚かされる。
もちろん女性のみの閉鎖社会であるから、連帯感もあるけれど
それ以上に激しい嫉妬や意地の張り合いなどもある。
それ以上に激しい嫉妬や意地の張り合いなどもある。
しかし、そのすべてを覆っているのは、
最下層に沈んでしまった女たちへの、地獄のような仕打ち。
その中でしか生きられない女たちの諦念、そして限りない哀しみだ。
最下層に沈んでしまった女たちへの、地獄のような仕打ち。
その中でしか生きられない女たちの諦念、そして限りない哀しみだ。
怪奇でホラーな雰囲気は他のシリーズ作品と比べて控えめであるけれど
内容の重さでは他の作品を上回っているかも知れない。
かといって読みにくいということも全くない。
内容の重さでは他の作品を上回っているかも知れない。
かといって読みにくいということも全くない。
このシリーズは総じて文庫で600~700ページを超えるものが多いけど
読んでいて全く苦にならずにページをどんどんめくってしまう。
次回作が楽しみである。
読んでいて全く苦にならずにページをどんどんめくってしまう。
次回作が楽しみである。