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ガラスの探偵と消えた白バイ [読書・ミステリ]


硝子の探偵と消えた白バイ (講談社文庫)

硝子の探偵と消えた白バイ (講談社文庫)

  • 作者: 小島 正樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/08/09
  • メディア: 文庫
評価:★★★

警視庁の友坂警部補が運転し、管理官・幸田を乗せた警察車両は、
交通機動隊員・楠木の白バイを先導に進んでいた。

白バイが左折してビルの陰に入り、10秒後には
続いて警察車両も左折したが、そこには白バイも楠木の姿もなかった。

そこは袋小路になっており、2棟のビルが並んで建っていた。
4階建ての野上ビル、5階建ての伏見商事ビルである。
友坂と幸田は手分けして2つのビルを調べるが、
どちらにも楠木の姿も白バイも見当たらなかった・・・

という、「密室状態の場所からの人間+バイクの消失」
という ”謎” から物語は始まる。

友坂からの発案で、警察から助力を求められたのは
「ガラスの探偵」という異名を持つ男・朝倉透だった。
朝倉とその助手・高杉小太郎が現場へ到着したとき銃声が響き、
野上ビルの屋上で朝倉たちが見つけたのは
楠木の射殺死体と姿を消したはずの白バイだった・・・

こんどは死体と白バイの出現、そして「姿なき犯人」というわけだ。


事件発生後は、朝倉が語り手となって進行していくのだが
この朝倉という人物、言動が自惚れやというかナルシストというか
自分がいかに名探偵かということは熱心に語るのだけど
いざ事件の捜査にかかるとボンクラそのもの。

しかし、助手の小太郎がよくできた弟子で、
観察力も推理力も兼ね備えている。

そうかそうか、これは語り手の探偵が実はワトソン役で
助手のほうがホームズ役という構成なんだな・・・
って思ってしまうんだが、ことはそう単純ではない。
詳しく書くとネタバレになるのでもう触れません(笑)。

肝心の消失トリックや姿なき犯人の犯行に用いられたトリックは
かなり大がかりなものが使われている。
ただまあ、あまりにも大がかりすぎて・・・
小説として、文章で内容を追っていると「すごいなあ」よりも
「こんなの無理じゃね?」って気持ちのほうが先に立ってしまう。

アニメの「名探偵コナン」みたいに、ビジュアルでどーん!
と出てくれば否応なく納得せざるを得ないとも思うので
文章よりも映像向きのトリックなのだろうとも思う。

とはいっても、多少無理筋でもこの手の壮大なトリックは嫌いじゃない。
作者は、横溝正史ばりのおどろおどろしさと
島田荘司ばりの大トリックを駆使した
本格ミステリ「十三回忌」でデビューした人。

こと本格ミステリに関しては、どうせ法螺を吹くなら、
でっかい法螺を吹いてほしいなあ、って思ってるんで。

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