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ルパンの帰還 [読書・ミステリ]


ルパンの帰還 (講談社文庫)

ルパンの帰還 (講談社文庫)

  • 作者: 横関 大
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/07/12
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

現在絶賛(?)TV放映中の「ルパンの娘」、その続編である。
とはいっても、ドラマ版は原作小説とはだいぶ趣が異なる。
(そのへんは「ルパンの娘」の記事に書いた。)
こちらはあくまで「小説版のほうの続編」なので念のタメ。


泥棒一家の娘・三雲華と警察一家の青年・桜庭和馬が
”結婚” して4年後から物語は始まる。

和馬は警視庁捜査一課の刑事として、華はパートの書店員として働き、
二人の間には、3歳になる娘・杏(あん)がいる。
夫婦仲は至って良好で、幸せな家庭生活を営んでいる。

しかしながら、前作で主役だったこの二人は今作ではやや脇へ回り、
実質的な主役となるのは新登場の北条美雲(みくも)である。

京都で三代続く名探偵の家系に生まれたが、
民事でなく刑事事件に関わりたくて警視庁の刑事となり、
和馬の部下として配属されてきた。

折しも法務省の高級官僚が殺害される事件が起こり、
現場には ”L” という謎のメッセージが残されていた。

一方、杏とともに保育園の遠足に参加した華だが、
園児と保護者を乗せたバスに爆弾を仕掛けた、という
脅迫電話が保育園にかかってきた。
犯人の要求は現金1億8000万円。

和馬と美雲は、バスジャック事件の解決のために奔走するが・・・


新登場のキャラクター・北条美雲嬢の設定が面白い。
泥棒一家に警官一家、そして今度は探偵一家というわけだ。

実際、名探偵だった祖父・父の才能を受け継いだ彼女は
鋭い洞察力を示し、再三にわたって事件解決への糸口をみつけだす。
捜査一課の面々も彼女の能力に目を瞠ることになる。

さらに、大学を出たばかりの23歳という若さ、
それに加えて人目を引く美貌と、一見して非の打ち所がないんだが
意外と不注意で、しょっちゅう躓いて転んでばかりと
行動が至ってドジなのはご愛敬というかお約束というか(笑)。

高級官僚殺害とバスジャック事件が、後半になって
意外なつながりをもつことが明らかになり、
さらには華自身にも大きく関わってくることになる。


ミステリとしては本書の中で決着がつくのだけど
終盤になると次巻以降へ向けての伏線があちこちに。
意味深なタイトルの意味も、ラスト近くで明かされる。

シリーズ第3巻「ホームズの娘」は9月発売予定とのこと。
楽しみに待ちましょう。

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