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再会 [読書・ミステリ]


再会 (講談社文庫)

再会 (講談社文庫)

  • 作者: 横関 大
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/08/10
  • メディア: 文庫
評価:★★★

今TV放映中のドラマ「ルパンの娘」の原作者・横関大の
デビュー作にして第56回(2010年度)江戸川乱歩賞受賞作。

主役となるのは4人の男女。
いずれも神奈川三ツ葉市にあった小学校の同級生だ。
すでに卒業から23年が経ち、みな30代半ばになっている。

岩本万季子(まきこ)は美容室を経営し、
清原圭介は東京で建築士として働いている。
佐久間直人はスーパーマーケットの経営者となり、
飛奈(とびな)淳一は地元の三ツ葉署の刑事となっていた。

20代の頃、万季子は圭介と結婚していたが
息子・正樹をもうけた後に離婚し、それからは
万季子がシングルマザーとして正樹を育てていた。

物語は、12歳になる正樹が、直人の経営するスーパーで
万引きをしたことから始まる。

連絡してきたのは佐久間秀之(ひでゆき)。
直人の腹違いの兄だが、10代の頃から素行が悪く、
経営から外されて、系列店の店長をしていた。

秀之に呼び出された万季子は、正樹のことを警察に黙っている代わりに
金銭を要求し、さらには暗に万季子の肉体まで求めてきた。

窮した万季子は直人に連絡を取ろうとするが、あいにく海外に出張中。
前夫の圭介を呼び出して相談するが事態は好転しない。

しかし、その秀之が射殺死体で発見される。

操作に加わった淳一は、驚きの情報を得る。
犯行に使用された拳銃は、23年前に起こった強盗事件で
殉職した警官が所有していて、事件後に行方不明になったものだった。

その拳銃は、ある偶然から淳一たち4人の小学生の手に渡っていた。
彼らは小学校を卒業するときに、校庭の隅に
”タイムカプセル” として密かに埋め、”封印” してしまっていた。

そして23年。新たな殺人事件の発生で再会した4人は
既に廃校になった小学校の校庭から ”タイムカプセル” を掘り出すが
そこにあったはずの拳銃は姿を消していた・・・


秀之の射殺事件と、23年前の警官射殺事件の2つのラインで進んでいく。

探偵役を務めるのは、淳一とコンビを組む
神奈川県警捜査一課の南良(なら)刑事。

優れた洞察力を示し、23年前の強盗事件について
驚きの真相を引き出してみせる。
このあたりはパズラーとしてもよくできている。

それと比べて現代の事件は一筋縄ではいかない。
容疑者は、拳銃を手にすることのできた4人に絞られているのだが
真実は容易に見えてこない。

現代のパートは、ほぼ4人のうちの誰かに焦点を当てて描かれ、
彼らの ”内面” も描かれるのだけど、当然ながら描かれない部分もある。

ストーリーが進むにつれ、そういう ”空白部分” が、
少しずつ埋められていくんだが、そのたびに事態は二転三転する。

よく言えば、「緊密な構成」なのだろうけど、
悪くいえば「後出しじゃんけんの連続」みたいである。
「○○(人名)は、実は△△のとき□□してました」ってのが
後半になってからぽろぽろ出てくるんだもの・・・

頭から終わりまで、きっちり計算して作られてるのはわかるけど
それをどう受け取るかは、人それぞれだろう。

私は釈然としない気持ちが拭えなかったよ。

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