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アルキメデスの大戦 [映画]


およそ10日ぶりの更新でございます。
「今週早々に再開」とか書いておいて、
なし崩しにだらだら休んでしまいました。

でもこの間に、2泊3日で北海道を旅してきたり
実家に行って母親と一緒に先祖の墓参りをしたり
新盆を迎えた親戚宅を回って線香を上げてきたり。
読書のほうも、ほぼ1日に1冊というハイペースで読めたり。
なかなか充実した日々でございました。

aruki.jpg
いちおう最初に断っておきますが
この映画、原作はマンガなんだけど私は未読です。


冒頭は旧大日本帝国海軍の旗艦にして
世界最大の戦艦・大和が沈没していくシーン。時に1945年のこと。

まあこのへんはTVCMや特番なんかで散々流れてるので
断片的にご覧になった方もいるだろう。
CGも気合いが入っていて迫力満点の出来。
映画が開始早々で ”掴みはOK!” というところか。

 「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」の記事でも書いたかと思うが
 ミニチュアの特撮でやってた時代とは隔世の感がある。

そして物語は12年前へと巻き戻され、1933年から始まる。
欧米列強との対立を深め、軍備拡張へ進む日本。
海軍でも新造軍艦の計画が策定される。
来たるべき航空機時代を見据え、航空母艦の建造と目指す
永野修身中将・山本五十六少将を中心とする一派と、
世界最大の戦艦を建造しようという
平山忠道造船中将と島田繁太郎少将の一派がせめぎ合っていた。

平山中将の戦艦建造費の見積もりが安すぎることに疑問を持った山本は
その欺瞞を暴くために、一人の青年に白羽の矢を立てる。
それが主人公・櫂直(かい・ただし)。
東京帝国大学100年に一人の天才と言われた男である。

いきなり主計少佐へと抜擢された櫂だったが、
いかな天才でも一片の資料もなしには何もできない。

しかし軍事機密の壁と平山派の妨害工作で作業は遅々として進まない。
それでも、建造計画決定会議の日は刻一刻と迫ってくる・・・


櫂少佐と、彼の補佐に任じられた田中正二郎少尉の奮戦ぶりが
いちばんの見所だろう。
軍人/凡人の発想に収まらない行動を取る櫂を演じる菅田将暉、
そして櫂の行動に、最初は振り回されながらも
次第にその才能に引き込まれ、最後には一心同体となって粉骨砕身する
田中を演じるのが柄本佑。
どちらも熱演で、2時間の長丁場ながら見る者の緊張感を途切らせない。
私自身は、とても楽しく観させてもらった。

若い二人に対して、年長者は重鎮がそろっている。
國村隼、橋爪功、意外なところで小林克也とか。
平山中将の田中泯はハマってたけど、
山本五十六が舘ひろしなのはちょっとイメージが違うかなぁ・・・


この映画に対して、不満がないわけではない。

主人公の櫂は、巨大戦艦の建造を中止させ、ひいては
日本が戦争へ突入するのを阻止しようとするのだけど
我々観客は、結局のところ大和は建造されてしまうし、
日本は戦争を始めてしまうし、
そして大和は沈み、敗戦で終わることも知っている。

だから、最終的に櫂の目論見は叶わない。
つまり主人公は ”負けて” しまうはずなわけだ。

でもおそらく、大多数の観客は、
映画の中での櫂たちの奮闘を応援せざるを得ないだろう。
しかしその願いは最後の最後で裏切られてしまうわけで・・・

そのあたり、どう納めるのかなぁ・・・?
私のいちばんの興味はそこにあった。

 そういうふうに観た人は結構いるはずだと思うが。

映画ではどうなったかは実際に見てもらうしかないわけだけど
「なるほど、そうきたか」とは思った。
私としてはいまいち納得できないところもあるけど
落とし所としてはよく考えたかなとは思う。


この映画はテーマを大和建造に絞っているけど
wikiを見ると、それは原作のマンガの中の一部に過ぎず
このあとも櫂の活躍は続くようだ。

実際、映画のラストシーンは1941年12月の大和就役シーン。
ここでも櫂は海軍に残っていることが示されている。

映画としては、ここで完結でもいいのだろうけど
櫂個人の物語としては中途半端な感が否めない。

いちばん不満だったのは、ヒロインである尾崎鏡子と櫂の仲が
放りっぱなしになっていること。
軍需企業・尾崎財閥当主の令嬢で、
櫂が大和建造阻止に踏み切る理由となる重要な役どころだし、
本編中でも、あんなに献身的に協力してくれたのにねぇ・・・
上手くいくにしろ、壊れるにしろ、その辺も描いてほしかったなぁ。

それもこれも、原作がまだ完結していないせいなのだろうけど。

 マンガの映像化って、原作が連載中(つまり未完の状態)でも
 かまわず実行されてしまうのがいつも不思議に思ってる。
 小説だとそんなことはまずないのにねぇ・・・

いつの日か、この映画の続きが作られることがあるのですかね・・・


最後に余計な話を。

その昔、「キャンディ・キャンディ」というマンガは
原作が雑誌連載中からアニメ化されたけど、
たしかアニメの最終回の放映日と
マンガの最終回の掲載された雑誌の発売日を
ほぼ同じ日(1日違い)にする、って ”離れ業” をやってのけた。
もちろんラストのネタバレを防ぐためだ。

昔はそんな洒落たこともあったんだよねえ。

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