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ネメシスV [読書・ミステリ]

ネメシス5 (講談社タイガ)

ネメシス5 (講談社タイガ)

  • 作者: 藤石 波矢
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/05/14
  • メディア: 文庫

評価:★★★

TVドラマ「ネメシス」をベースにした小説シリーズ、第5巻。

横浜にある探偵事務所ネメシスを舞台に
社長の栗田一秋、新人探偵の風間尚希、
そして助手の美神アンナの3人が事件に立ち向かう。

探偵役を務めるのは、天才的なひらめきをもつアンナ。
ポンコツな風間を陰からフォローして事件解決へ導く役回り。

「第一話 真実とフェイクの間」
事務所を訪れたのは、動画配信者(いわゆるYouTuber) ”たじみん” こと
多治見一善。暴露系の動画投稿で知られる男だ。
有名人の麻薬使用を仄めかす動画がネットにアップされ、
それに映っていたのが彼と、人気女優・久遠光莉(くおん・ひかり)。
光莉は現在失踪中だが、動画はフェイクであると多治見は主張する。
彼によると、動画投稿の容疑者はジャーナリストの神田凪沙。
彼女は2年前に虚偽報道を行い、多治見が自分の動画でそれを告発した。
それを怨んでのことではないか、と。
後半はアンナ・尚希たちと真犯人の対決が描かれるのだが
なかなか大がかりで手が込んだつくりで、映像なら見応えがありそう。
TVドラマ版第六話がベースらしいのだけど、私はドラマ版は観てない。
でもそっちもこれと同じ構成なら、この回は観てみたいなと思った。

「第二話 正義の餞」
第一話で登場した神田凪沙を主役にしたスピンオフ。
時系列的には、第一話から2年前の話だ。
凪沙の学生時代からの友人・遊佐京介は神奈川県警捜査二課の警部。
彼は与党議員・蛭田景行の汚職事件を追っていたが、
雑居ビルの屋上から謎の転落死を遂げてしまう。
葬儀の後、京介の妹・清花から呼び出された凪沙は
兄がプライベートで使用していた携帯電話を託される。
その中に登録されていた電話番号は、横浜地検の検事のものだった・・・
ミステリとしてもよくできてるが、凪沙と京介の心情も読ませる。
凪沙にとって、京介は中学生時代からの ”親友”。
男女を超越した仲だと思ってきたのだが、京介はどう思っていたのか。
それが明らかになるラストシーンが切なく、感動的だ。


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