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不穏な眠り [読書・ミステリ]


不穏な眠り (文春文庫)

不穏な眠り (文春文庫)

  • 作者: 七海, 若竹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/12/05
  • メディア: 文庫
評価:★★★☆

ミステリ専門古書店〈MURDER BEAR BOOKSHOP〉の店員と
私立探偵を掛け持ちする、40代の独身女性・葉村晶(はむら・あきら)が
主役のミステリシリーズの最新刊。4編収録の短編集だ。

「水沫(みなわ)隠れの日々」
雑貨の輸入会社を経営する藤本サツキは、
かつて親友だった田上二佐子(たがみ・ふさこ)が死亡したことを知り、
彼女の娘・遥香(はるか)を引き取り養育したが、
残念ながら遥香嬢はグレてしまい、刑務所に入っていた(おいおい)。
古書買い取りのため、サツキのマンションを訪れた葉村は、
刑期を終えて出所する遥香を迎えに行ってほしいと頼まれる。
しかし、出所した遥香を謎の男たちが襲ってくる・・・

「新春のラビリンス」
大晦日の夜、解体直前のビルの警備を引き受けた葉村。
一夜の仕事を終え、警備会社の営業所へ戻ると
そこの事務員・公原楓(きみはら・かえで)から人捜しを頼まれる。
同僚の警備員・工藤強志(つよし)と連絡がつかないのだという。
その強志は、従姉妹の自称芸術家・工藤ライカのアトリエにいた。
公原にそれを伝えると、今度はライカを探してほしいという・・・

「逃げ出した時刻表」
〈MURDER BEAR BOOKSHOP〉のオーナー・富山は
鉄道ミステリ・フェアを企画した。目玉は、
クリスティー『ABC殺人事件』にも登場した1936年版のABC時刻表。
人気作家・神岡武一(かみおか・ぶいち)がロンドンで手に入れたが、
帰国後、複数の愛人を巡る騒ぎを引き起こし、そのとき
愛人のひとりが撃った銃弾が当たったという曰く付きのもの。
しかし〈MURDER BEAR BOOKSHOP〉に謎の賊が侵入、
そのABC時刻表が盗まれてしまう・・・

「不穏な眠り」
〈MURDER BEAR BOOKSHOP〉の近所に住む元教師の鈴木品子は、
12年前、死んだ従姉妹から世田谷の一軒家を相続した。
今井という便利屋に家の管理を任せていたが、今井が品子に無断で
原田宏香という女性を住まわせていたことが判明、
しかもその直後、宏香は急性心不全で亡くなってしまう。
品子は葉村に、宏香の関係者を探すように依頼をするが・・・


今回も葉村はロクな目に遭わない。
溺死しかけたり、凍死しかけたり、気絶させられたり、
絞め殺されそうになったり、刺し殺されそうになったり・・・

読んでて笑ってしまうのだが、これが案外
真相につながる伏線になってたりするから油断できない。

いずれの事件も、当初はたいした依頼内容とは思われないのだけど
葉村が進む先にはつねにトラブルが発生して、
どんどん事態が大きくなっていく(笑)。

別に彼女が悪いのではなく、彼女がたまたま、
大きな事件の端っこをつかんでしまった、ってことなのだろう。
しかし「私の調査に手加減はない」のがモットーだから、
とことん調べていくうちに意外な真相が現れてくる。

これからも、満身創痍になりながら読者を楽しませてくれるだろう。


さて、葉村晶シリーズは1月の末からNHKでTVドラマ化されてる。
タイトルもそのものズバリ『ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~』
これにも思わず笑ってしまう。

hamura.jpg
いまのところ毎回見ているのだけど、けっこう面白い。
葉村を演じるのはシシド・カフカさん。
ちょっと美人過ぎかなぁとも思うが、エンタメ作品としては正解か。

美人なのに、作中では誰も彼女を女性扱いしてくれないし、
もちろん言い寄る男も現れない。

イケメン枠で間宮祥太朗が出てるがこれはドラマ版のオリジナルキャラ。
「半分、青い」での ”だめんず” とは対照的に、
葉村と推理合戦をするクールな管理官(階級は警視)を演じてる。

第一話で何者かに頭を殴られ、血まみれの顔で歩いてるシシドさんをみて
「ああ~、これは葉村だわ」と思った私はちょい意地が悪いか(笑)。

全7回しか放映しないけど、シシド・カフカの葉村はもっと見たいなあ。
続編製作希望。NHKさん、お願い。

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