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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」第二章 感想・・・のようなもの その2 [アニメーション]

※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。

第3話「衝撃・コスモリバースの遺産」(後編)

■発進の理由

今回、第二章最大のイベントはもちろんヤマトの発進。
しかも反逆者の汚名を着てまでも旅立っていく。

旧作では、「宇宙の彼方からの、謎の救援メッセージを受け取った」
だけでヤマトは発進していたが、
70年代の「ノリ」だけでは通用しないであろう21世紀。
リメイクである「2202」ではそのあたりがどのように描かれるか。

「発進シーン」に大事だが、そこに至るまでの経過にも
納得できる描写がほしいところだ。


初見の時には、いまひとつそのあたりが
伝わってこなかった気もしたんだけど
BDを何回か見返しているうちに思うことがあった。
私なりに考えたことを書いてみる。
当たり前だけど、これはあくまでも私なりの解釈である。

地球は今後、どういう道を歩もうとしているのか。

滅亡一歩手前という悲惨な状況を経験して、再軍備を進める。
そのへんはまあ理解できる。
指導者層にとっては最大級のトラウマだろうし。

ワープ航法を手に入れた人類は大宇宙へ船出する手段を手に入れたが
そこは多くの星間国家が群雄割拠する戦国時代のような世界だった。
そんな世界で人類が生き延びるためには必要な選択だろう。

 実際、古代自身も退役していないのは、
 彼なりに軍隊の必要性を認めているからだろう。

おそらく古代からすれば、コスモリバースシステム受領時の約束である
"波動砲の封印" を反故にしてまで
波動砲艦隊構想を推し進めるのは、過剰な軍備に思えるのだろう。

 ガミラスだって "デスラー砲" を開発したが
 デスラー退場以後、(表向きは)波動砲は所持していないようだ。

そして、反重力特異点でキーマンから知らされた事実は、
「強力な軍備を背景に植民星を増やしていく」であろう地球の未来。
それはかつての敵・ガミラスの姿に重ならないか。

 「恐怖を克服するためには、自らが恐怖になるしかない」とは
 福井晴敏『終戦のローレライ』の中にある文言だったか。

沖田を始め、多くの乗組員が命を落として実現した「地球の復興」。
しかしその結果が、「もう一つのガミラス」を生み出すことだったら。

ヤマトが一年にわたって死闘を繰り広げて
倒したはずの敵と同じものに地球がなってしまったら。

そりゃあ「俺たちの旅はなんだったんだ」って思うだろう。

そして、まさにそれは旧ヤマトクルーのみが持ちうる感覚で
彼らの "反乱" への動機となりうるものだったのだろう。


反重力特異点のことを知るまでは、
「沖田の約束を反故にして波動砲を持った」というのが
古代のこだわりだったのだろうけど
知った後は、「波動砲を持った地球が向かう先」に
限りない不安、あるいは絶望を感じたのだろうと思う。

長官にテレザード星調査を進言して却下される。
宇宙の彼方からの救援要請に対し、調査すら許さない地球。
古代はそれによって "反乱" を決意するのだが、
それは「原因」ではなく「結果」。
長官の言葉は「らくだの背を折った最後の1本の藁」だったのだろう。

ただ、「テレサのメッセージの意味を知る」ことが
「間違った未来を正す」ことにどうつながるのかは
今ひとつよく分からない。

そのあたりも物語が進行していけば分かるのかも知れないけど。


■最終回への伏線?

このへんのことを考えていて、
ふと「2202」第1話での大戦艦のことを思い出した。

これについて頭の中で考えついたこともあるのだけど
妄想の上に妄想を積み重ねたようなことだから
ここに書くのは保留にしたい。

ただ、第1話の大戦艦のエピソードは
「最初のつかみ」だけに留まらず、
物語構成の上で何らかの意味があるような気が。

まあ、そんな気がするだけなんだけど。


■ガトランティスの脅威

そして、次第に明らかになるガトランティスの勢力を知れば
波動砲なしで対抗することはまず不可能。
降伏すら受け入れない相手ならば、徹底的に戦って抵抗するしかない。

そのあたりを古代をはじめとする
ヤマトクルーたちはどう乗り越えるのか。
ここが第三章の最初のヤマ場なんだろう。


■彼女が指輪を外したら

エレベーター内での "修羅場"。
古代の気持ちもわからんではないが。

七色星団で目の前からさらわれ、
レプタポーダでも連れ去られるのを見送るしかなく。
第二バレラスへ救出に向かうも目の前で要塞は大爆発。

 もっとも当の本人はその爆発の張本人だったが(笑)。

そしてデスラーの襲撃で重傷を負い、地球を目前にして命を落とす。

まあそんな思いをした相手だけに
「無事なところにいてほしい」というのも分かるが
それは本人の意思を無視した物言いだから、
雪がへそを曲げるのも無理はない。

ここのシーン、「相変わらずの朴念仁」とか
「雪だけなんて公私混同だ」とか
いろいろなことが言われてるみたいだけど
まあ、これがなかったら「さらば」じゃない、くらいの
重要シーンだろうからここは旧作通りに描くしかなかったのだろう。

実は私がいちばん気になったのは、失礼ながら
古代の鈍感ぶりでも雪さんの精神状態でも旧作の縛りでもなく、
彼女がいつ指輪を外したのか? だったよ(笑)。

 映像を見る限りそんな描写はないし、
 自然に抜けることもまずないだろうから、
 雪が目にも留まらぬ早ワザで外して、
 古代の掌の中に残したとしか思えない。
 うーん、プリンセス天功もビックリの手さばき(指さばき?)だ。

冗談はさておき、第一章でさりげなく指輪が強調されていたから
のちのちクローズアップされるんだろうなと思っていたけど
こういうカタチになるんですね。

果たして、雪が再びこの指輪をする日は来るのか。
そしてその時、二人はどんなシチュエーションのもとにいるのか。

うーん、その気になれば思いっきり暗くて悲惨な状況も
設定できたりしそうで、このあたりも不安を覚える要素だなあ・・・

この節のタイトル「彼女が指輪を外したら」って、
そんな名前の作品が昔あったような気がして
ネットを漁ってみたんだけど、見つかりませんでしたね。
「彼女が水着に着替えたら」って映画は見つけましたが(笑)。


■ガトランティス侵攻

空に向かって両手を掲げる桂木さん。
新興宗教の教祖がUFOを呼んでるみたい(笑)だが、
呼ばれて現れたのは "カブトガニ" ことデスバテーター。
いやあ、どうみてもあなたガトランのスパイでしょう。


■バレル大使の思惑

バレル大使は
「なぜ旧ヤマトクルーが選ばれたのか。私には想像がつく」
って言ってたが、私には想像がつきません(笑)。

 ただまあ、他の人だったら
 呼んでも来ないんじゃないかな、とは思う(笑)。

だけど、なぜ大使が古代にテレザードの話をして、
キーマンに反重力特異点へ連れて行かせたのか。
そのあたりの見当はついた気がする。
そのへんは「第5話」のところで書きます


■反省(笑)

もう少し、さらっと短く書くつもりだったんだけど、
いざ書き出すととまらなくなってしまうんだよねぇ。悪い癖です。

次回以降は、もう少しコンパクトにまとめるように努力します。

(続く)

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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」第二章 感想・・・のようなもの その1 [アニメーション]

※ネタバレ全開です。未見の方はご注意ください。

第3話「衝撃・コスモリバースの遺産」(前編)


■第十一番惑星

冒頭から土方提督の登場。対する相手はレドラウズ教授。
古代アケーリアス文明を研究しているらしい。
これはテレサとテレザード星の出自に関する伏線なのかしら。

ちなみにヤマトには珍しい非日本人キャラ。
「ヤマトⅢ」のサイモン教授以来かしら。CVは土師孝也さん。

 一般的には「ハリー・ポッター」のスネイプ先生で有名かな。
 私的には「蒼穹のファフナー」の溝口さんのイメージが一番強い。
 監督つながりでの起用かも。

土方は辺境惑星の司令官に左遷されてる模様。
上層部に楯突いたからですね。

窓辺にいるのは謎の美女・桂木透子。CVはなんと甲斐田裕子さん。
サーベラーと同じというのは当然何かの伏線でしょうねぇ。
ネットでは早速「黒サーベラー」とか言われてますけど、さて。
正体は今後のお楽しみですね。

斉藤も永倉とともに登場。「星巡る方舟」からの仲間も一緒ですね。

第十一番惑星は地球・ガミラス双方の入植者が仲良く暮らしてる様子。
地球では「ガミ公出ていけ」なんて落書きされてたし、
一般のガミラス人の中にも
「青くない肌」を見下す価値観の者も多く残ってるだろうから、
ここに住んでる人たちはどちらも宥和派なんでしょうね。


■ガトラン艦隊登場

指揮官はコズモダード。ナスカじゃないんですかね。
彼の台詞で第十一番惑星には人工太陽があることが判明。
なんだか旧シリーズ第1作のバラン星を思い出しますね。
たしかに普通だったら最果ての極低温惑星ですからね。
「手順は踏んだ」とは何を意味するのか。


■テレサの正体

ガミラス大使館でバレルからテレザード星のこと聞かされる古代。
「2202」でのテレサは反物質ではないけれど、
生身の人間でもないみたい。
精神文明の極度に発達したテレザード星の人々の
意識が高次元で集合しただとのこと。

 おお、こりゃ第6文明人ですね。
 テレサがヤマトに乗り込んだら波動防壁の強度が上がったり
 ショックカノンの威力が増したりするのかな(笑)。
 ヤマトがテレザードに到着する章は「接触篇」、
 クライマックスの第七章は「発動篇」で決まりですね(爆)。

 最終決戦で真田さんが戦死してしまったら、新見さんが
 「どうして、あたしの愛した人は、みんな死んじゃうのよぉ~!」
 って絶叫しそう。そんでもって雪が
 「みんな、星になってしまえ!」って呟くと
 都市帝国もヤマトも因果地平の彼方へ消えていってしまうわけですね。
 わかります(違)。

 すみません、ワルノリが過ぎました。

しかしこれじゃあ島とのロマンスはナシですかね。
続編を熱望していた鈴村さんがっかり?

ガトランティスの目的は、この宇宙に於いては万能となる
テレサの力を我がものとするため、と説明されるのだが・・・
本当のところはどうなのかな?


■雪と佐渡

佐渡の家を訪れる雪。
「2199」ではあまり接点がなかったかなと思ったんだけど
4年前の事故で入院したときの主治医が佐渡だったっけ?

このあたり、雪がヤマトに密航する伏線でしょう。
第三章のポスターでもMEDICの制服着てるみたいだし。


おまけ(かみさんとの会話)
「えー、雪って地球に残ったんじゃないの?」
「旧作ではヤマトに密航してたから、今回もそうじゃないかぁ」
「そうかぁ。さすがは女狐よねぇ。油断できないわぁ」
「またそんな、全国のヤマトファンを敵に回すような発言を・・・」


■反重力特異点

地球に降りた古代。
キーマンに連れて行かれたのは立ち入り禁止区域。
そこにあったのは反重力特異点と呼ばれる謎の空間。
時間の流れが外部の10倍の速さで進む場所。
地球政府はここに巨大軍需工場を建設して、
アンドロメダをはじめとした戦艦群を建造していた。

 うーん、「2202」が始まる前は、
 ガミラス製の全自動宇宙船建造ドックが
 静止衛星軌道上か月面にでも鎮座してるんじゃないか、
 な~んて予想してたんだけど、それを上回る設定ですねえ。

通常世界から見れば工期を1/10に短縮できるんだから、
そりゃバカスカ建造できるよなあ。

材料となる資源は、反重力特異点の使用権をガミラスにも与えて、
その代わりにガミラスが持てあましてる植民星をいくつか譲ってもらい、
それを活用している模様。

デスラー体制が崩壊して国内が混乱し、拡張政策を維持できないガミラス、
人口が1/3に激減してしまい、国力の回復&増強に邁進したい地球。
双方の思惑が一致しての密約。

旧作では「たった1年であんなに大量の戦艦を建造できるはずがない」
とか言われてたけど、その説明の為だけでなく、
地球の未来にも関わる設定になってるんだね。
そしてさらには、古代たちが地球を飛び出す原因にも。

このあたりについて考えたことは次回で。

(「後編」に続く)

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『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第二章・発進篇を観てきました その2 [アニメーション]


※本編のネタバレはありません。

先週、「MOVIXさいたま」で観てきましたが
かみさんの「もう一回行きたい」との声に応えて
再び映画館へ行くことに。
もっとも、私も行きたかったので渡りに船でしたけどね。(^_^)v

「どうせ行くなら、大きなスクリーンのところに行きたい」とのご要望。
ならば、やっぱり新宿でしょう。
ヤマトの発進シーンも大画面で観たいしね。

ということで新宿ピカデリー、シアター1に決定。


一度は行ってみたいと思ってはいた映画館なんだけど
なにせ北関東の田舎に住んでるもんで新宿は遠い。

 かみさんは「あたしたちが住んでるのは南関東よ!」って
 言い張ってるが、正直微妙なところに住んでることは否めない(笑)。

でも、「いつかは」って思っているうちに
諸般の事情で行けなくなってしまうことも人生にはある。
というわけで昨日、無事に鑑賞して参りました

そして昨日は、バンダイビジュアルからBDが届く日だったのですけど
11時半を廻った頃、佐川急便で届きました。
配達時刻指定をしていなかったけど、
映画館に出発する前に届いて良かった。

 もっとも、前回の1巻は9時半頃には届いたんだけどね。

開封は映画を観た後と決めていたので、
包装も開けずにそのまま台所のテーブルの上に。

そんなこんなで夕方になりました。
上映開始に会わせていよいよ出発。

途中の乗り換え駅で、トイレに入ったかみさんが
誰かが置き忘れていったスマホを発見して駅員さんに届けたりとか
いろいろあったんだけど無事に新宿へ到着。

映画館までは5分ほどだけど、土曜の夕方なんで人が多い(笑)。
人混みをかき分けながら(笑)ピカデリーに着いて
チケットを発券したんだけど、まだ1時間弱くらいある。
そこで近くの紀伊国屋書店で時間調整。
そこで買ってしまったのがこの本。

定年後 - 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書)

定年後 - 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書)

  • 作者: 楠木新 著
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/04/19
  • メディア: 新書

旧作からのヤマトファンは、そろそろ
この言葉が実感される年代になったんじゃないですかねぇ。
(私も切実だったりするwww)


さて、開場時間も迫ったのでピカデリーへ引き返す。
ロビーには、おそらくヤマトのお客さんと思われる方々があふれてる。
夕食を兼ねてホッドドッグでも買おうと思ったら売店にも長蛇の列!
こりゃ間に合わないかなあ~と思ったのだけど
案外すいすい捌けていって、なんとか無事に上映開始前に入れました。
お客さんの入りは、満員とまではいかないけど
9割方は埋まってたんじゃないかなぁ。


やっぱり大きなスクリーンはいいねえ。
音響も素晴らしいし。もっと早く来れば良かったよ。

かみさんともいろいろ話したんだけど
ネタバレに引っかかりそうな内容もあったので
それはまた来週以降に。

さて、そこからまた延々と電車に揺られて帰って参りました。
流石に日付が変わったりはしなかったけど、家に着いたら流石にグッタリ。
それでもこれだけは済ませなければ。

Blu-rayの封印解除(笑)です。

2202-2f.jpg
第4話の絵コンテ集&シナリオ。
2202-2g.jpg
絵コンテ集の表紙はピンク尽くしの森雪嬢です。

風呂から上がったら、ビール片手にBD鑑賞と洒落込もうと
思ったのだけど、アルコールの周りが異常に速くて
そのまま寝てしまいました(笑)。やっぱトシですかねぇ。
だからまだBDは観てない。頑張って今夜、再チャレンジの予定。

第二週の入場者特典もしっかりゲット。
森雪さん&大帝陛下&ドレッドノート級主力戦艦ですね。

2202-2h.jpg

「今日の映画館、すっごい良かった。
 (ピカデリーに)もう一回くらい行きたいなぁ」
ってかみさんはのたまうんだけど、
スケジュール的にはけっこう厳しいなあ・・・

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黄金の烏 [読書・ファンタジー]

黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)

黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)

  • 作者: 阿部 智里
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/06/10
  • メディア: 文庫

評価:★★★★

「烏に単は似合わない」「烏は主を選ばない」に続く、
大河ファンタジー「八咫烏シリーズ」の第3巻。

人形(じんけい)から鳥形(ちょうけい)へと
変身できる能力を持つ人々が住まう世界、「山内(やまうち)」。
彼らは「八咫烏」と呼ばれ、
その世界を支配する者は「金烏代(きんうだい)」と称される。

第一作「単」では、
やがて金烏代を嗣ぐことになる日嗣の御子(若宮)の后選びが、
そして第二作「主」では、
后選びの裏で並行して起こっていた、
若宮の腹違いの兄宮・長束(なつか)を奉じる一派との暗闘が描かれた。

そしてどうやら、前2作は舞台説明と登場人物紹介を兼ねた
プロローグだったらしい。おお、なんて壮大な(笑)。
もっとも、独立した長編としても十分面白かったし、
そうでなければ続巻の刊行もなかっただろう。

前作「主」では、郷士の次男坊で
若宮の側仕えとして山内に上がった少年・雪哉(ゆきや)を中心に
物語が綴られていったが、
第3作の本書でも引き続き雪哉がメインキャラを務めている。


故郷である垂氷郷へ帰っていた雪哉の前に一羽の八咫烏が現れるが、
正気を失っている彼は仲間を、そして子供を襲い始める。
そこへ現れた若宮から、「仙人蓋」という薬物が密かに広まりつつあり、
狂った八咫烏もそれに犯されていたことが判明する。

雪哉は若宮とともに「仙人蓋」の流れを追い始める。
そして辺境の村・栖合(すごう)へやってきた二人は、
住民たちを食らい尽くす "大猿" を目撃する。

村のただ一人の生存者は小梅という少女。
父親に眠り薬を盛られ、長櫃の中でぐっすり寝込んでいて
難を免れたという。
しかし彼女の父親は行方をくらませており、
"大猿" について何か鍵を握っているものと思われた。
そして彼女自身も、何かの事情を隠し持っている様子が・・・

雪哉と若宮は、「仙人蓋」と "大猿"、二つの謎を追って
"地下街"(宮廷権力の及ばない裏社会)の支配者、
"鵄"(とび)に接触しようとするが・・・


シリーズも進んできて、根幹に関わる設定もいくつか明らかになってくる。

八咫烏の頂点を占める「金烏」とはどのような存在なのか、とか。

「山内」という世界は、全くの別世界ではなく、
実は我々の暮らしている世界の "隣" というか
思ったより "近い" 場所に存在しているらしい、とか。

本書に登場する "大猿" は、今後のシリーズを通して
八咫烏の敵となる存在らしいが、本書ではまだ
どこから来たのかも、どれくらいの勢力なのかも、
そして彼らの目的も、すべてが謎である。
こちらも、おいおい明かされていくのだろう。


そして何と言っても、本シリーズは登場するキャラが魅力的。
挙げたいキャラは多いのだけど、
今回何と言っても嬉しかったのは浜木綿の再登場。
人生の浮沈を経験し、酸いも甘いもかみ分けていて、
しかも姉御肌で "漢前" なんだけど、
若宮のことを一番理解し、愛し、支えている。
つくづくいい女だなあ、と思う。

小梅ちゃんも、本作のみで終わらせるにはもったいない。
ぜひ今後も登場してもらって、
雪哉と派手に喧嘩していただきたい(笑)。


第1作では后の座を巡る女の戦い&本格ミステリ、
第2作では宮廷内の陰謀劇、
そして本作では謎の侵略者との戦いと、
見事にカラーの違う作品を読ませてくれる。

そして第4作『空棺の烏』ではなんと
「ハリー・ポッター」ばりの "学園もの" になるらしい。

 実は既に文庫版が手元にあるので、近いうちに読もうと思ってる。

作者の引き出しの多さには感心するばかりだ。
本作を書いてる時点でまだ23歳とか、もう凄すぎる。
今後、どこまで伸びるのか楽しみな作家さんだ。

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