SSブログ

お口直しには、甘い謎を [読書・ミステリ]

お口直しには、甘い謎を (幻冬舎文庫)

お口直しには、甘い謎を (幻冬舎文庫)

  • 作者: 高木 敦史
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2015/11/12
  • メディア: 単行本



評価:★★☆

当初、この本はスルーする予定だった。
でもその後、遅ればせながら
『演奏しない軽音部と4枚のCD』の作者だったことに気づいた。
ということで読んでみることにした。

ざっくり紹介すると、
女子高生・玉名佐知を語り手とした "日常の謎" 系連作ミステリ。

探偵役となるのは佐知のクラスメート・西木戸環奈(カンナ)。
名前だけ見れば "奇跡の一枚" で有名になった
某美少女アイドルみたいだが、
本書のカンナ嬢はおよそ可愛げというモノがない変人キャラ。

まあ探偵役というものは程度の差はあれたいてい奇人変人なのだが
彼女の場合は日常生活の中で腑に落ちないこと
(いわゆる "謎" )を見つけると、ストレスがたまって
やたら甘いモノをドカ喰いするという "癖" というか "習性" をもつ。

当然のように体型はぽっちゃりで、
いつの日か体重を50kg台まで減らすことを目標に
何度目になるか分からないダイエットに今日もいそしんでいる。


「一章 タベルナの誘惑」
 二人が通う高校の学食で、異物混入事件が起こった。
 カンナは意外な犯人とその動機を解き明かす。

「二章 フルーツタルトの洗礼」
 佐和は、幼なじみの遥(はるか・ちなみに男子)と一緒に
 アルバイトをしているところをカンナに見つかる。
 学校の先生に知らせると言い張るカンナに、
 佐和たちはある "賭け" を提案する・・・

「三章 ミントチョコアイスの告白」
 林間学校に参加した二人。
 佐和は、オリエンテーリングの直前に
 同じ班のイケメン男子からまさかの告白を受けるが・・・

「四章 スイートポテトの精算」
 アクセサリーショップでアルバイトを始めた佐和。
 しかし最近、近所に刃物を持った不審者が出没するという。
 そしてバイト先の店長から、
 佐和が不審者ではないかとの疑いがかけられてしまう。


ミステリとしての出来自体は悪くないと思う。
普通なら★3つがつくくらい。
上に掲げたような評価になっているのは、主にカンナ嬢の性格のせい。

性格は傲岸不遜にして我儘、およそ愛想というモノが欠片もない。
読者の感情移入が困難な、というか初めから拒否しているような、
おそよ好きになれないキャラなんだよなあ。
コミカルなシーンもあるんだけど、
それが "負の部分" を打ち消すまでは至ってない、って感じかな。

 まあ人の好き嫌いなんてのは、個人ごとに基準が異なるものだから
 カンナ嬢のあの性格も笑って受け入れられる人もいるのだろうけど。
 私は心が狭いのかなぁ。

本書の終盤では、彼女がああいう性格に
なってしまった理由の一端が明かされるんだが、
(同情すべき点はあるにしろ)だからといって
ハイそうですかと手のひらを返して好きにはなれないんだよねぇ・・・

本書はシリーズ化されるのかどうか分からないけど、
次巻が出たらどうしようかなぁ・・・

この作者の作品を読み続けるかどうかは
とりあえずもう一冊読んでみて決めようと思ってる。


nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ: