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いわゆる天使の文化祭 [読書・ミステリ]

やっと来た週末なのに土曜日曜と
二日連続で遠出したもんで、もうくたくた。
昨日は東京の下町、今日は埼玉県西部の丘陵地帯。
知らない人から見たら何をしているんだと思うよなあ・・・

いわゆる天使の文化祭 (創元推理文庫)

いわゆる天使の文化祭 (創元推理文庫)

  • 作者: 似鳥 鶏
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2011/12/10
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

某市立高校に通う葉山くんは、一人だけの美術部員。
演劇部の看板女優・柳瀬先輩を相方に、彼が巻き込まれる事件を
ユーモラスに描いた学園ミステリ連作。
探偵役は神出鬼没のOB・伊神先輩がつとめる。
早いものでこのシリーズも5巻目。

2学期開始早々に行われる文化祭に向けて準備が進む市立高校。
ところが夏休みも終わろうという頃、登校した生徒が目撃したのは
部室をはじめ、学校中に無数に張りまくられた
謎の "ペンギンの天使(?)" の紙。

そして異変はさらに続発していく。
化学室の薬品庫に何者かが侵入し、学校のホームページは改竄され、
重大事件の発生を怖れる学校側は、
文化祭の一部中止すら検討を始める。

何とか文化祭までに犯人を見つけ出さなければならない。
例によって柳瀬先輩と一緒に事件に首を突っ込み、
犯人探索の任を負う羽目になった葉山くんの奮闘ぶりが描かれる。

目的の見えない犯人を捜すミステリとしての趣向も良く出来てるが
何よりも文化祭の準備に没頭する高校生たちの思いが熱い。

しかし期限までに犯人が見つからなければ、
彼ら彼女らの頑張りも水泡に帰してしまうかも知れない。
焦燥と苦悩に苛まれる葉山くん、シリーズ最大の危機である。


物語は葉山くんと、吹奏楽部の一年生・奏(かなで)さん、
二人の視点から綴られていく。
そして各章の終わりに、誰かの回想シーンが挿入される。

高校生活を舞台にしたライトなミステリ・シリーズなんだけど
今回は意外な大技が仕込まれていて、300ページを超えたあたりで
「ええ~っ」って声を上げそうになってしまった。
いやあ、なるほど、そういうことだったんですねえ。
参りました。たいしたものです。

特に今回感じたのは、柳瀬先輩の半端ではない高性能ぶり。
(何がどう高性能なのかは読んでもらうしかないんだが)
そして年下の葉山くんのことがお気に入りと、ホント不思議な人だ。

当の葉山くんも今回はなんだかスゴいモテモテぶり。
それでいて、本人はそれに気づかない朴念仁ってのも
この手の話のお約束なのかもしれないけどね。


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