名探偵誕生 [読書・ミステリ]
評価:★★★★
主人公兼語り手は星川瑞人(ほしかわ・みずと)くん。
彼の家の隣には千歳(ちとせ)さんという美人のお姉さんが住んでいた。
年齢差は6歳。瑞人にとって彼女は、時に優しい庇護者であり、時に尊敬すべき教師であり、そして ”初恋の女性” でもあった。
そして何より、鋭い洞察力をもって事件を解決する ”名探偵” だった。
というわけで、彼女とともに成長していく瑞人くんの物語が綴られていく。
「第一話 となり町は別の国」
瑞人くん小学4年生。千歳さんは高校1年生。
友人たちととなり町まで ”探検” に出かけた瑞人。”幽霊団地” に住む ”シンカイ” という謎の男の噂を聞き、それを探りにいったのだ。
”シンカイ” の住む部屋を見つけ、そこから出てきた男を尾行する瑞人たち。しかしその男は、ブロックで囲まれて出口のない小さな公園の中で姿を消してしまう・・・
「第二話 恋するドトール」
瑞人くん中学2年生。千歳さんは大学2年生。理学部物理学科らしい。
「木内美花」なる女の子からラブレターをもらった瑞人くん。待ち合わせに指定されたドトールへ出向いたものの、相手は現れない。
隣の席には作家と思われる男性が座っていたが、席を立って帰って行った。瑞人くんも帰ろうと立ち上がったところ、隣の席のテーブルの下にスマホが落ちているのを見つける。
男性の忘れ物と思って後を追って店を出ると、女性が現れて「それは私のものだ」と声をかけられる。だが彼女の言動には不審なものが・・・
「第三話 海王星を割る」
瑞人くん高校2年生。千歳さんは大学院修士課程1年で、理学研究科物性理論研究室に所属している。
友人とともに隣県の私立高校の文化祭を訪れた瑞人くん。見学した地学教室では、天文部による巨大な太陽系の模型展示が。しかし、その中の海王星の模型が何者かに破壊されるという事態に出くわす。
部員たちの話を総合すると、犯行可能な時間帯に地学教室に人が入ることは不可能だったのだが・・・
「第四話 愛していると言えるのか」
「第五話 初恋の終わる日」
瑞人くん大学2年生。千歳さんと同じ大学の工学部材料工学科へ入った。
サークルは彼女と同じSF研究会。その千歳さんは博士課程2年となっている。
サークルのメンバーらとともにキャンプ場を訪れた瑞人くん。お約束の酒盛りの後、3つのログキャビンに分かれて宿泊する。しかし明け方、キャビンの一つから出火する。そして、そこに1人だけで泊まっていた男子学生の焼死体が発見される。煙草の火による過失死かと思われたが・・・
「第一話」から「第三話」まではいわゆる ”日常の謎” ながら、人間消失や不可能犯罪など、なかなか骨太の謎を提示してくる。それを見事に解き明かす千歳さんの名探偵ぶりも素晴らしい。
そして「第四話」「第五話」はいわば前後編で、密室状態のログキャビンでの殺人事件となる。ここでも千歳さんの推理は犯人に到達するのだが・・・
最終話の題名は「初恋の終わる日」。
”初恋の終わり方” はひとそれぞれ。初恋がそのまま実ったという希有な人もいるだろうが、実らずに終わるケースが大半だろう。
さて、瑞人くんの初恋はどのように ”終わる” のか。
ここが一番の読みどころであり、本書のタイトル「名探偵誕生」の意味もここで回収される。
ノースライト [読書・ミステリ]
評価:★★★★☆
主人公・青瀬稔(あおせ・みのる)は建築士。
世がバブル景気に沸く頃、彼もまた華やかな建築の第一線で働いていた。しかしインテリア・プランナーとして働く妻・ゆかりとの間には隙間風が吹き始める。やがて妻子とは別れ、バブルの消滅と同時に仕事までも失ってしまう。
その後、友人・岡嶋の建築事務所に拾われ、生活のために意に沿わない仕事を続ける日々。一人娘の日向子(ひなこ)はゆかりのもとで養育されていて、中学生になった。娘と定期的に合うのが唯一の安らぎの時だ。
そんなとき、吉野と名乗る夫婦が青瀬の前に現れる。青瀬が過去に設計した建物を見て惚れ込み、自宅の設計を依頼してきたのだ。
場所は信濃追分。そこに80坪の土地があるという。
「すべてお任せします。青瀬さん、あなた自身が住みたい家を建ててください」
吉野の言葉に奮い立った青瀬は ”入魂の一作” を造り上げる。その家は大手出版社が刊行した「平成すまい200選」にも掲載され、まさに彼の建築家人生の最高傑作となった。
しかし、吉野夫妻への引き渡しが終わった後にも拘わらず、その家には誰も住んでいないらしい、との情報が。現地へ出かけた青瀬が見たものは、生活の痕跡が全くない屋内の様子だった。唯一、吉野が持ち込んだと思われる古ぼけた椅子が一脚だけ置いてあった。
その椅子は、建築家ブルーノ・タウトの設計によるものと思われた。彼はナチスドイツに追われて1933年から3年半の間、日本に滞在していた。
ちなみにタウトは実在の人。てっきり作者の創作かと思ってたよ(笑)。
青瀬は日本滞在中のタウトの足跡を追って椅子の出所を探り、そこから吉野夫妻の足取りを掴もうとする。
彼らは何らかのトラブルに巻き込まれたのか?
そして、青瀬に設計を依頼してきた真意は何だったのか?
一方、岡嶋設計事務所の地元S市では、「藤宮春子メモワール」の建設構想が発表される。藤宮春子はS市出身の画家で、生前パリに暮らし、死後に発見された作品群で人気が高まったことから、観光の目玉として美術館を建設しようというのだ。
建築に先だってコンペ(設計競技)が開かれることになり、岡嶋の事務所も参加することに。青瀬もその中心となって設計を進めていたが、予想外の事態が勃発し、事務所は絶体絶命の危機を迎えてしまう・・・
本書は文庫で540ページほど。
物語は吉野夫妻の消息を追う探索行と、メモワールの設計コンペに参加する岡嶋設計事務所のメンバーたちの動きの、二つのラインで進行していく。
ミステリではあるのだけど、「建造物を設計する」とはどいうことなのか、どのようなプロセスで進んでいくのか、も詳細に描かれるので ”お仕事小説” の側面もある。これがまた面白い。
物語の冒頭から、青瀬が野鳥に詳しいエピソードが随所に織り込まれてくる。これに限らず、随所に蒔かれた伏線があとあとになって効いてくるあたり、やはり上手いなあと思う。
吉野夫妻を巡る謎は、後半に入ると予想外の方向へと発展していく。
ストーリーはどちらかというと緩やかに進んでいくのだが、終盤に至って激動の時を迎える。
そして最後の50ページの怒濤の展開。圧倒されると同時にあふれる涙を抑えられなくなる。やっぱり横山秀夫はスゴい。
バブルの狂乱の中、仕事も家庭も失った男が、公私にわたる試練を乗り越えて再起を果たしていく感動のストーリーだ。
そして迎えるラストシーン。その素晴らしさ、清々しさは特筆ものだ。
錆びた太陽 [読書・SF]
評価:★★★☆
舞台は近未来の日本。
21世紀の半ばに、エコテロリズムによっていくつもの原発が破壊され、国土の2割近くが立入禁止区域になってしまっている。
その後、およそ100年を経ても土地の除染・改良作業は遅々として進んでいない。そして汚染地域の管理は、人間型のロボットたちに任されていた。
立入禁止区域のひとつ、北関東エリア(筑波山周辺がモデルと思われる)に、人間の女性がやってくるところから物語は始まる。
国税庁からやってきたという彼女の名は財護徳子(ざいご・とくこ)。ある目的のために、汚染地域の実態調査にやってきたのだという。そのために地域を管理するロボットたちに協力を求めてきた。
かくして、地域に常駐する7人(7体?)のロボットたちは、3日間にわたって徳子と行動を共にすることになるのだが・・・
放射能にまみれた国土、5000万人を割り込んだ人口、経済も低迷を続けている。日本の将来は真っ暗じゃないか・・・って設定なのだけど、雰囲気は不思議と明るめ。それというのも、全編にわたってそこはかとないユーモアに包まれているからだろう。
まず、登場する7人のロボットにはそれぞれ名がある。
「ボス」「マカロニ」「ジーパン」「デンカ」「ヤマ」「ゴリ」「チョー」・・・
分かる人には分かる、昭和の大ヒットTVドラマ「太陽にほえろ!」だ。
そして彼ら7人は ”ウルトラエイト” と呼ばれている。
「7人なんだから ”ウルトラセブン” じゃないのか」
という徳子のツッコミに「登録商標に引っかかるからダメ」って返すボス(笑)。
もっとも、”ウルトラエイト” にはまた別の意味があったりするのだが、それはストーリーが進むにつれておいおい明らかに。
さらには、ロボットたちが飼っているネズミに ”アルジャーノン” って名前がついてたりと、とにかくサブカル系のネタ(それも昭和時代のものが多い)があちこちに。読んでいて思わずニヤリとしてしまう。
もちろん、本編のストーリーもしっかりと描かれる。
長年にわたる放射能汚染と放置で、独自の生態系というか独特の進化を遂げた異形の動物・植物たちが跋扈する世界で、徳子と7人のロボットたちの冒険行が綴られていく。
とくに、”マルピー” と呼ばれる存在が物語の中で大きなウエイトを占めているのだけど、この正体は読んでのお楽しみとしておこう。
そしてこれは、徳子が汚染地域を訪れた理由にも絡んでくる。
物語の後半では、汚染地域を利用した政府・企業による ”陰謀” が明らかになり、その阻止に奔走する徳子とロボットたちの活躍が描かれる。
その中で、徳子の抱えていた秘密をはじめ、ストーリーのあちこちに撒かれていた謎の真相もまた明らかになっていく。
SFに登場するロボットたちは、たいていは ”人間の幸福のために働く” ように設定されている。本書でもそうだ。
しかし「何を以て人間の幸福とするのか」「そのためにロボットはどう行動すべきなのか」は難しい問題だ。7人のロボットたちは、徳子とともに悩み(?)ながらこの問題を乗り越えていく。
そこが本書の一番の読みどころだろう。
櫛の文字 銭形平次 ミステリ傑作選 [読書・ミステリ]
評価:★★★
私と同世代かちょっと上の人からすれば「銭形平次」= ”大川橋蔵” だろう。
彼を主演俳優として迎え、TVドラマとして1966年から1984年まで18年間、総計888回が放映された。これはギネス記録になっているそうで、日本のTV史上屈指のドラマだったことは間違いない。
原作小説も、長短編あわせて383編ほど執筆されているようで、こちらも結構スゴいシリーズだ。
本書には、その中からミステリに特化した17編が収録されている。
「振袖源太」「人肌地蔵」「人魚の死」「平次女難」「花見の仇討」「がらっ八手柄話」「女の足跡」「雪の夜」「槍の折れ」「生き葬(とむら)い」「櫛の文字」「小便組貞女」「罠に落ちた女」「風呂場の秘密」「鼬(いたち)小僧の正体」「三つの菓子」「猫の首輪」
いくつかの作品にコメントを。
「振袖源太」
衆人環視の中からの人間消失。しかもこれが連続して起こるのだからスゴい。この時代でなら成立するトリックかな?
「人肌地蔵」
地蔵の表面が人間の肌のように暖かくなり、しかも霊験あらたかになったとの噂がたつ。犯人のものすごい計画性(笑)に驚く。
「人魚の死」
衆人環視の中の殺人、しかも凶器も見つからないという二重の不可能犯罪。ディクスン・カーにも負けてない?
「平次女難」
平次に2人の美女が迫り、女房のお静は実家に帰ってしまう(笑)。遺体を検分した平次が事件の真相を喝破するシーンは本書の中で一番の名探偵ぶり!
「女の足跡」
殺人事件が起こった家で、家族のみならず使用人までみな「自分が犯人だ」と名乗り出るという異様なシチュエーションに。
「雪の夜」
文字通り ”雪の密室”。トリックもなかなかの力業。これもこの時代だからこそ違和感なく読めるのだろう。
「櫛の文字」
櫛に刻まれた謎の文字の意味を探ることになった平次。ありそうであまりない暗号ものミステリ。まして捕物帖で見るとは。
「小便組貞女」
2年前に妻を亡くした圭三郎は、お扇という女を妾に迎えるが。事件の解決より関係者の幸福を重んじる平次の人情が沁みる。読後感は本書で一番いい。
「三つの菓子」
善兵衛の家で妻と妾と娘の3人による茶会が開かれ、菓子に仕込まれた毒で妾が死亡する。しかし、毒を仕込んだのは妾だったと判明し・・・
全般的に、平次の捜査ぶりは ”名探偵” という感じではない。遺体と現場を見てピンとくる、ってキャラではないみたい。
「見当がつかない」って言いながらラストまでいってしまうこともしばしば。もちろん、分かっていても「分からない」って触れ回ってる場合もあるけど。
それよりは、人情味あふれる親分、という部分に重きを置いてるようだ。
下手人が分かっても、犯行に至る動機や過程に同情すべき点があれば、罪が軽減されるように自首を促したり、場合によっては見逃してしまったり。
おかげで、事件を解決に導いても自分の手柄にはならないことも多い。まあそれが人気の理由の一つなのだろうけど。
スペードの女王 [読書・ミステリ]
評価:★★★
横溝正史・復刊シリーズの1冊。
昭和29年7月、金田一耕助の探偵事務所(兼住居)を訪ねてきたのは坂口キクという女性。彼女の夫・亀三郎は3月に事故死していたのだが、それに不審なものを感じ、調査を依頼してきたのだ。
亀三郎は ”彫亀(ほりかめ)” と呼ばれた有名な彫物(ほりもの)師だった。2月のある夜、彫亀のもとを高価な身なりをしてベールで顔を隠した女が訪れた。彼女の女友達が入れ墨を希望しているのだという。
目隠しをされて連れてこられた建物の一室で彫亀が見たのは、ベッドの上で眠り込んだ女だった。顔はタオルで隠され、スカートも捲り上げられている。
そこで突然、ベールの女もまた自分のスカートを捲り上げてみせる。彼女の内股にはトランプの ”スペードの女王” の入れ墨が彫られていた。これと同じものを、眠っている女の内股にも彫れというのだ。
仕事を終えて家に帰った彫亀は妻のキクに語った。ベールの女の入れ墨もまた、自分の彫ったものだったと。7年前に、今回と同じような状況で女に入れ墨を施したことがある。そのときの ”作品” に間違いないと。その3週間後に彼は事故死を遂げた。
そして7月の今日、キクはある新聞記事を見つけ、金田一のもとへやってきた。その記事の内容は、神奈川の片瀬海岸で女の首なし死体が見つかり、その内股にはスペードの女王の入れ墨があったというものだった・・・
いわゆる ”顔のない死体” というパターン。
物語の進行とともに、入れ墨をした女性が2人浮上してくる。どちらも ”裏の世界” につながる人物で、しかも両名とも消息不明。よって、死体がどちらのものかは最後まで判然としない。
しかも事件はそれだけでは終わらず、さらなる殺人が続いていく。
序盤が終わったあたりから、前田浜子という若手の週刊誌女性記者が登場し、物語に絡んでくる。なかなか魅力的なキャラだと思ってたんだけど、予想外の運命が彼女を飲み込んでいく。
ラストで明らかになる犯人の意外性はなかなかだけど、動機づけにやや難があるかなぁ。まあ、状況の変化によって犯人の心理にも変化が生じていく、というのはアリだとは思うが。
毎度のことながら、ストーリーはとても面白い。
麒麟児 [読書・歴史/時代小説]
評価:★★★
幕末の動乱のさなか、江戸の街を巡る攻防を勝海舟の視点で描いた物語。
慶応4年(1868年)、西郷隆盛率いる5万の官軍は江戸の街に迫っていた。崩壊寸前の幕府にとどめを刺すためだ。
対する幕府は勝海舟を担ぎ出し、官軍との和平交渉を任せることに。勝は戦乱回避を最優先に、西郷との対面に臨むのだが・・・
歴史に疎い私でも知ってるくらい、江戸城を巡る勝と西郷の物語は、激動の連続である幕末の中でも有名なエピソード。
逆に言うと、起こったイベントが多すぎて、その背景も時系列もよく分からない、ってのが幕末という時代だと私は認識している。
幕末を扱った大河ドラマも観たことがあるけど、どうにも興味が続かなくて最後まで観たことがない(笑)。
私以外にもそういう人は多いのかもしれない。だって、本書の序盤には、勝が維新の流れというか背景を説明するシーンがあるんだもの。
15代将軍・徳川慶喜の命を受け、官軍との交渉に向かうという幕臣・山岡鉄太郎に「そもそも、なぜ倒幕派は幕府を倒そうとするのか」と訊かれて、その理由を滔々と語ってみせるのだ。
さすがはストーリーテラーの冲方丁だけあって、この下りはするすると頭に入ってきて、非常に良く理解できた。そうか、明治維新ってこういうふうに進んできたのか・・・。
ただ、本書を読み終わって数時間後には、綺麗に頭の中から抜けていたのには困ったが(おいおい)。
和平交渉が決裂したときは、即座に江戸の街に火を放つ ”焦土戦術” をちらつかせる勝。
戦乱を避けたいのは同じだが、幕府の要求を聞き入れ過ぎると将兵たちの不満が高まり、制御不能になる危険性もあるので安易に妥協できない西郷。
二人に共通するのは、相手だけではなく自分の身内すら ”敵” であるということ。
旧態依然とした体質で既得権益にしがみつきたい幕臣たちは、これまで勝が成し遂げてきたことを否定したり潰したり。果ては将軍慶喜自らが、勝の功績を引っくり返したり。
そのたびに「やってられるか」と辞表を叩きつけるのだが、幕府のほうは窮地に追い込まれるたびに勝を引っ張り出しにくる。
かといって全権を与えるのかというとそんなことはなく、”手足を縛られた状態で跳ぶ” ことを強要するような無理難題が命じられる。
常人だったらとっくの昔に愛想を尽かすような相手に、文句を言いつつも最後までつきあい、幕府を ”看取る”。
まあ、そんな人物だから偉人として名が残るのだろうけど。
戦っているときに背中から弾が飛んでくるのは西郷の方も大差なく、結局、交渉で対峙している勝と西郷の二人こそが、お互いの ”最大の理解者” であり、心情的には ”最大の味方” である、というなんとも皮肉な状況が描かれていく。
史実として、江戸の街は戦禍を免れ、江戸城も無事に開城されるのだが、物語はその後の西郷と勝の物語も綴っていく。
幕末の動乱を通じて、西郷のことを ”かけがえのない友” とまで感じるようになっていた勝にとって、西南戦争は痛恨の出来事だったろう。
西郷に対する勝の心情を描いたエピローグが感動的だ。