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スペードの女王 [読書・ミステリ]


スペードの女王 (角川文庫)

スペードの女王 (角川文庫)

  • 作者: 横溝 正史
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/11/20
  • メディア: 文庫
評価:★★★

 横溝正史・復刊シリーズの1冊。

 昭和29年7月、金田一耕助の探偵事務所(兼住居)を訪ねてきたのは坂口キクという女性。彼女の夫・亀三郎は3月に事故死していたのだが、それに不審なものを感じ、調査を依頼してきたのだ。

 亀三郎は ”彫亀(ほりかめ)” と呼ばれた有名な彫物(ほりもの)師だった。2月のある夜、彫亀のもとを高価な身なりをしてベールで顔を隠した女が訪れた。彼女の女友達が入れ墨を希望しているのだという。

 目隠しをされて連れてこられた建物の一室で彫亀が見たのは、ベッドの上で眠り込んだ女だった。顔はタオルで隠され、スカートも捲り上げられている。

 そこで突然、ベールの女もまた自分のスカートを捲り上げてみせる。彼女の内股にはトランプの ”スペードの女王” の入れ墨が彫られていた。これと同じものを、眠っている女の内股にも彫れというのだ。

 仕事を終えて家に帰った彫亀は妻のキクに語った。ベールの女の入れ墨もまた、自分の彫ったものだったと。7年前に、今回と同じような状況で女に入れ墨を施したことがある。そのときの ”作品” に間違いないと。その3週間後に彼は事故死を遂げた。

 そして7月の今日、キクはある新聞記事を見つけ、金田一のもとへやってきた。その記事の内容は、神奈川の片瀬海岸で女の首なし死体が見つかり、その内股にはスペードの女王の入れ墨があったというものだった・・・


 いわゆる ”顔のない死体” というパターン。
 物語の進行とともに、入れ墨をした女性が2人浮上してくる。どちらも ”裏の世界” につながる人物で、しかも両名とも消息不明。よって、死体がどちらのものかは最後まで判然としない。
 しかも事件はそれだけでは終わらず、さらなる殺人が続いていく。

 序盤が終わったあたりから、前田浜子という若手の週刊誌女性記者が登場し、物語に絡んでくる。なかなか魅力的なキャラだと思ってたんだけど、予想外の運命が彼女を飲み込んでいく。

 ラストで明らかになる犯人の意外性はなかなかだけど、動機づけにやや難があるかなぁ。まあ、状況の変化によって犯人の心理にも変化が生じていく、というのはアリだとは思うが。

 毎度のことながら、ストーリーはとても面白い。



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