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化学探偵Mr.キュリー10 [読書・ミステリ]


化学探偵Mr.キュリー10 (中公文庫 き 40-15)

化学探偵Mr.キュリー10 (中公文庫 き 40-15)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2021/05/21
  • メディア: 文庫

評価:★★★

 人呼んで ”Mr.キュリー” こと四宮大学理学部化学科准教授・沖野春彦と、大学総務部職員の七瀬舞衣がコンビを組んで、大学の内外で起こる事件を解決していくシリーズ、その第10弾。

 本作は短篇集ではなく長編となっている。

 北欧の小さな王国・マイセンのユリヤ王子が四宮を訪問してきた。
 王子の母は日本人で四宮出身だった。それが縁で、マイセン王国の首都と四宮は姉妹都市になっていたからだ。

 王子には、3つの目的があった。

 ひとつは四宮大学で1か月、”特別留学生” として研究活動をすること。彼は大学時代に化学を専攻していたのだ。
 これについては、沖野の研究室で受け入れることに決定する。

 ふたつめは、母の残した謎の遺言「王国の未来を考えるためには、四宮を知らなければならない」の意味を確かめること。
 接待役になった舞衣は、王子と共に市内を巡って調べ回ることになる。

 三つ目は王妃候補を見つけること。王子は現在25歳だが、父王が病気がちなため、王位を継ぐのも近そうだ。そのためにも早く結婚したい。
 そして王子が候補として指名したのは・・・

 このユリヤ王子を巡る事態と並行して、入江という学生の不審な行動に関わっていく舞衣が描かれる。

 入江は四宮大学の経済学部なのだが、なぜか農学部の実験室に侵入していた。やがて舞衣は、彼が袖崎という謎の男と接触していることを知る。
 袖崎は沖野の元同級生で、麻薬所持で逮捕された過去があった・・・

 うーん、サブストーリーとなる袖崎と入江のエピソードは、もっと深刻かつ盛り上がるかと思ったけど、今ひとつかなぁ。

 メインストーリーの方は、ひと言で言うと「みんな王子が悪い」(笑)。
この人がしっかりしてりゃ、事態はこじれなかったんだから。

 10巻めを迎えた長期シリーズで、レギュラーキャラにまた会えたのが嬉しかったから星3つつけたけど、単発作とか1作めだったら星2つか2つ半だったかも。

 本シリーズはサザエさん時空ではなくて、しっかり時間が経っている。
「沖野と舞衣が出会ってから2年5か月」って作中にも明記されているし。
おおむね4巻で1年というペースだね。
 ということは、舞衣さんは24~25歳になったのかな。沖野はそろそろ40歳だろう。さて、この2人はどうなるのか。
 もう少しこのまま見ていたい気もするし、そろそろ沖野の方がはっきりさせるべきじゃないかと思ったもするし。



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