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ゴーストハント7 扉を開けて [読書・その他]


ゴーストハント7 扉を開けて (角川文庫)

ゴーストハント7 扉を開けて (角川文庫)

  • 作者: 小野 不由美
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/06/15
  • メディア: 文庫

評価:★★★☆

 主人公兼語り手は女子高生・谷山麻衣。彼女がアルバイトをしているのは心霊現象を専門に調査する「渋谷サイキックリサーチ」(SPR)。

 そこの所長である美少年、通称ナルと個性的なゴーストバスターたちが繰り広げるホラーな冒険を描くシリーズ、第7巻目にして最終作。

 前巻で、能登で老舗料亭を営む吉見家の事件を解決したSPR一行は、東京への帰路につくが、長野へ向かう山越えの途中で道に迷ってしまう。

 今さらながらだが、本シリーズのもととなる『悪霊シリーズ』が書かれたのは1989~92年にかけて。改稿・改題された本シリーズも、作中に年代表記はないけれどおおむねこの時代の出来事のようだ。

 作中に携帯電話は登場しないし、インターネットも登場しない。カーナビも、一般車にも搭載されるような低価格化が進んだのは93年以降みたい(ってwikiに書いてある)なので、本書でSPR一行が乗っている車にも装備されていないのだろう。作中でも、紙の地図を見てる描写があるし。

 私自身を振り返っても、カーナビ付きの車を最初に買ったのは90年代末だったような記憶がある。
 閑話休題。

 一行が辿り着いたのは山中のダム湖。
 そこで湖面を見つめていたナルは呟く。「やっと、見つけた・・・」

 ナルは突然、SPRの解散を宣言し、湖畔のバンガローに滞在することを決める。さらには業者に連絡を入れて、湖にダイバーを投入することも。

 戸惑う麻衣たちもとりあえず一緒に湖畔に残ることを決めるが、そこにダムの地元の町長が訪れ、SPRに調査を依頼してくる。

 近くにある廃校となった小学校に幽霊が現れるのだという。サルベージの結果待ちだったナルは調査を引き受け、一行は現地へ向かう。

 廃校になったのは5年前の5月。年度途中という半端な時期に廃校となったことからして曰くありげなのだが、調査が進むにつれて意外な事情が明らかになってくる。しかも一行は校舎の中に閉じ込められ、外に出ることができなくなってしまう・・・

 廃校に潜む秘密と、それを解決していくSPRの活躍が描かれるのだが、最終作だけあって麻衣さんも大活躍する。

 しかし本書は最終作であるから、真の目玉はシリーズの根底にあった謎が明らかになることだ。

「ナルはなぜ学校に行っていないのか?」
「彼の両親は何をしているのか?」
「SPRの開設資金/運営資金は誰が出しているのか?」
「彼が頻繁に日本中を巡って旅に出ていたのは、何のためだったのか?」
「そして、ナル自身の正体は?」

 シリーズ読者からすれば、
「SPRは本当に解散してしまうのか?」
  そして
「麻衣の思いはナルに通じるのか?」
 あたりが気になるところかな(笑)。

 原典となる『悪霊シリーズ』には、もう一冊だけ『悪夢の棲む家』という長編があるのだけど、こちらは改稿の対象にはなっていないみたい。

 7冊もつき合ってくるとキャラたちにも親しみができてきて、できればまたSPRの御一行さんの掛け合い漫才みたいな会話劇を読みたい気もするのだけど、こればっかりは作者の胸三寸ですからねぇ・・・



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