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雪月花黙示録 [読書・ファンタジー]

雪月花黙示録 (角川文庫)

雪月花黙示録 (角川文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/02/25
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

セーラー服姿の美少女が日本刀を構えている、という
ある意味ベタだが、王道的なビジュアルの表紙。
そうだよねえ。いかにも購入意欲をそそるよねえ・・・
え? そんなのは私だけですかそうですか。

内容も、表紙のイメージそのまんま。

舞台となるのは近未来の日本なのだが
この時代の日本は二つの地域に別れている。

かつての日本の伝統に回帰し、
新たな秩序の下に生きる人々が集う "ミヤコ"。
それ以外の地域は、企業の利益と個人の快楽を追求する
帝国主義者の地域となっている。

世界の人々はこの状態の日本のことを
"ゴシック・ジャパン" と呼んでいる。

ミヤコの中心、"平常京" にある
最高学府・"光舎" に通う学生3人組が主役だ。

まずは表紙にもなっている美少女・蘇芳(すおう)。
高校1年生で剣術の達人である。
彼女の従兄弟が紫風(しふう)で、光舎の生徒会長。
名門にしてミヤコの実力者である春日家のイケメン御曹司だ。
さらに、春日家に連なる美少女剣士がもう一人。
こちらは純日本風の長い黒髪に袴姿の萌黄。
(「帝国華撃団」の真宮寺さくらみたいなルックス、
 ・・・って、ちょっと古いか?)

紫風が三期目の生徒会長当選を目指して、
選挙戦真っ最中なところから
第一話「春爛漫桃色告」(はるらんまんももいろのびら)は始まる。


もし作者名を隠して本書を読まされたら
恩田陸が書いたとは、おそらくわからないだろう。
それくらい、作風が他の作品と違う。
一言で言うと、いわゆる "ライトノベル" 風とでも言うのか・・・

いや、現代のライトノベルなるものはあまり、というか
ほとんど読んでないんだけど、それでも

立会演説会で紫風が登壇すると
「紫風さまぁーーー」って女生徒たちの黄色い歓声が上がったり

袴姿に金髪縦ロールという髪型の、身長2m白人男が
突然、蘇芳の前に現れ、剣の試合を挑んできたり、

亀型の円盤に乗って、背中に薔薇の花束を背負ったキザオくんが現れて
(その名も及川道博。もちろんあだ名はミッチー)
蘇芳の婚約者を自称するとか・・・

・・・なんてシーンがひたすら続くとねえ。

そして、全編を通じて主人公たちの敵となる、
反体制組織「伝道者」。
立会演説会の会場に現れ、分裂したゴシック・ジャパンの
改造、統一、そして統治をすることを宣言する。


上でも述べたが、恩田陸が書いたと思うとちょっとアレなんだが
内容自体は決してつまらないわけではなく、
主役の3人組を皮切りに、
登場人物のエキセントリックぶりが徹底していて
アクションシーンも適度に盛り込んであって、
読んでいて楽しいのは確か。

ただ、全七話構成なんだけど、
いちばん盛り上がるのが第六話なんだよね。
ラストの第七話に至ると、やや尻すぼみ感が。
続編の構想があるのかも知れないが、
これで終わりではいささか消化不良感が否めない。

というわけで星3つ半。
最後が華々しく盛り上がれば、星4つだったかなぁ。


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