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百年の記憶 哀しみを刻む石 [読書・その他]


百年の記憶 哀しみを刻む石 (講談社文庫)

百年の記憶 哀しみを刻む石 (講談社文庫)

  • 作者: 三木 笙子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/09/15
  • メディア: 文庫
評価:★★

祖父の住む地に引っ越してきた主人公・久守徹。
古くから神隠しの民話が伝わる田舎で、
地元の高校に進学した彼が出会ったのは、
同級生の中で一人だけ孤高の雰囲気を漂わせる少年・野見大地。
彼に誘われて徹は廃部寸前の地学部へ入る。

周囲から「天狗」と呼ばれ、敬遠されていた大地だが
彼にはある秘密があった。
石(鉱物)と "会話" し、石に込められた "人の想い" を
読み取ることができるのだ。

そして、人が強い感情を抱いて石に触ると、その想いが石に流れ込み、
限界を超えてしまった石は、さまざまな現象を引き起こすという。
淋しい人を呼び寄せて石の中に "閉じ込めて" しまったり、
触れた人間に "保存された記憶" を引き継がせたり・・・
大地はそれを "決壊" と呼んでいた。

大地とともに過ごすうちに心を通わせ合うようになる徹だが、
かつて大地の祖父を裏切った男と、徹の父とが
石を通じた "因縁" でつながっていることが明らかになってくる・・・


田舎の男子高校生二人の日常が延々と続く展開で
序盤の舞台になる高校も男子校ときては
色気のないのにもほどがある(笑)。
とは言っても、それが星2つの理由ではありません念のタメ。

ミステリではないし、ホラーともファンタジーとも言い切れない。
まあジャンル分けなんてあくまで便宜的なもので、
面白いか面白くないかが大事なのだけど、
物語が一体どこへ向かっているのか、さらには
何を言いたい伝えたいのかが分からない
(と感じているのは私だけなのかも知れないが)
というのは、ページを繰る気力を削ぐものだ。

主役の徹は、家庭環境にも複雑な事情があり、
それに加えて頑なに秘密を守ろうとする父との軋轢、
そしてそれが解決しても、今度は父が抱えてきた
"負の遺産" をそっくり受け継ぐことになるなど
辛い状況が延々と続くことは変わらない。

それは大地も同じことで、そもそも今の時代に生きる彼らには
全く責任のないことで苦しまなければならないことに、
読んでいて感じるのは理不尽さばかり。

それに加えて終盤には、大地の祖父を巡る
過去の因縁話が挿入されるが、これも陰鬱な内容だ。
そしてそれが文庫で80ページに渡って続く。

こういう物語こそ、結末に至ってもろもろのことが解決して
(まあいちおう "解決" はするんだが)
明るい未来が拓ける "爽快感" が必要だと思うのだけど
残念ながらあまりそれが感じられないんだなぁ。

まあ、単に私の好みに合わないというだけの話なんだけど。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-04 02:51) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-04 02:51) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-04 02:52) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-04 02:52) 

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