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バチカン奇跡調査官 独房の探偵 [読書・ミステリ]


バチカン奇跡調査官  独房の探偵 (角川ホラー文庫)

バチカン奇跡調査官 独房の探偵 (角川ホラー文庫)

  • 作者: 藤木 稟
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/06/20
  • メディア: 文庫
評価:★★★

カソリックの総本山、バチカン市国。
世界中から寄せられてくる "奇跡" 発見の報に対して
その真偽を判別する調査機関『聖徒の座』。

そこに所属する「奇跡調査官」である
天才科学者の平賀と、その相棒で
古文書の読解と暗号解読の達人・ロベルト。
この神父二人の活躍を描く第11弾。
シリーズでは2冊目の短編集になる。

「シンフォニア 天使の囁き」
文庫で100ページ弱と、かなりのボリュームの短編。
平賀の弟・良太は悪性骨肉腫と診断され、
余命は二年あまりと告げられる。
諦めきれない家族は、良太を小児がん治療に実績のある
ドイツのバーデン病院に入院させる。
一緒に闘病を続けている子どもたちを "見送る" ことが続き、
死者のために祈り続ける良太は、
病院の図書室で一冊のノートを見つけるが・・・
基本はホラーなんだが、今回はちょっとした "因縁" が描かれる。
既刊の短編集を読んでないとわかりづらいかと思うけど
逆に、読んでいると早々とネタが割れてしまうかも知れない。
でもまあそれも、作者の想定内かな。
とは言っても、子どもが苦しむ話は辛いなあ。

「ペテロの椅子 天国の鍵」
『終末の聖母』事件の冒頭、法王が異例の "辞任" をした。
表向きはバチカン銀行を巡るスキャンダルによる引責だったが
本作ではその "真相" が語られる。
平賀とロベルトの上司であるサウロ大司教が登場。
法王は、唯一人心を許せる存在としてサウロを選び、
苦悩する心情を語るが、サウロは驚くべき事実を明かす・・・

「魔女のスープ」
1700年に行われた魔女裁判の記録を分析していたロベルトは、
"魔女のスープ" なるもののレシピを発見する。
これは一体如何なるものなのか。
"スープ" の謎を解明することを思い立ったロベルトは
魔女の住居があったサンマリノ共和国の村へと向かう。
しかしそこにはエリーナという変わり者の作家が住んでおり、
ロベルトは彼女とともにレシピの再現を始める。やがて平賀も合流し
三人で完成させた "スープ" の試飲が始まるが・・・
ホラーのはずなのにやや脱力系のオチが楽しい一編。

「独房の探偵」
文庫で130ページと、本書中で最長を誇る中編。
天才的な頭脳を持つ犯罪者、ローレン・ディルーカは
刑務所内の特殊房に収監されていた。
ある日、彼のもとを一人の男が訪れる。彼の名はアメデオ。
国家治安警察特捜部の人間で、密かにローレンの力を借りて、
過去にいくつもの難事件を解決していた。
今回彼が持ち込んだのは、幽霊屋敷と呼ばれる建物内で起こった密室殺人。
捜査へ協力する条件としてローレンが示したのは
精神病棟に入院している女性・フィオナを捜査に加えること。

彼女はかつてプロファイラーとして活躍していた。
独房の "探偵" と、心を病む "助手" という
異色すぎるチームが難事件に挑む。
とは言っても、ローレンは刑務所の外でいくつもの企業を経営し
自由に動かせる人材も資源も豊富に持っているという
およそ "安楽椅子探偵" とはほど遠い存在だが。
しかし、最終的にローレン自身は独房から一歩も出ずに
事件を解決してしまうのだからたいしたものだ。
暴露される真相も充分に意外なもので、
本格ミステリとしてもよくできてる。

nice!(4)  コメント(4) 
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コメント 4

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-02 02:05) 

mojo

サイトーさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-02 02:06) 

mojo

@ミックさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-02 02:06) 

mojo

鉄腕原子さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-10-02 02:06) 

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