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アルファベット・パズラーズ [読書・ミステリ]

アルファベット・パズラーズ (創元推理文庫)

アルファベット・パズラーズ (創元推理文庫)

  • 作者: 大山 誠一郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/06/28
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

長年にわたる弁護士稼業をリタイアした峰原卓は、
四階建てマンションのオーナーに収まり、
悠々自適の生活を送っていた。

警視庁の刑事・後藤慎司、翻訳家の奈良井明世、
精神科医の竹野理恵は、みな峰原のマンションの住人で
しばしば峰原を囲んでお茶会を開いていた。
話題は、彼らの巻き込まれた事件について。

三人による推理合戦の果てに、明晰な頭脳で真相を示す峰原。
タイトル通り、「パズラー」としての推理小説に徹した
連作短編集(うち一つは中編だが)である。


「Pの妄想」
 明世と理恵が招かれたのは資産家の女性・西川珠美の屋敷。
 彼女は、自分が毒殺されるのではないかという妄想に囚われて、
 お茶まですべて缶飲料に代えてしまうという徹底ぶりだった。
 しかしそんな彼女が毒を飲んで死んでいる姿が発見される。
 うーん、推理のロジックは凄いよく出来てるんだけど、
 その前提になってる事実がねえ・・・
 珠美の○○が○○○いるというのを○○ため、っていうのは
 ちょっと受け入れがたいなあ。
 だって○○○の○○でわかるかい?
 少なくとも私はわからないよ~。鈍感だから?

「Fの告発」
 <仲代彫刻美術館>の特別収蔵品室で、学芸員が殺害される。
 その部屋は指紋認証によるセキュリティが施されており、
 指紋を登録した者以外は入れず、すべての入退室は記録される。
 しかし当日美術館にいた人間は皆、
 犯行が不可能だったことが判明する・・・
 これも大技といっていいトリックが使われてるんだけど
 そううまくいくかなあ・・・私は難しいと思うんだけどなぁ。

「Cの遺言」
 東京湾クルーズ船に乗り込んだ明世と理恵。
 二人は化粧品会社社長の千歳百合子と知り合うが、
 彼女がロイヤルルームで殺される。
 死体の手にはライター、そして傍らのテーブルクロスには
 「C」の形の焦げ跡が。
 ロイヤルルームに出入りできたのは4人の重役のみだったが
 彼らすべてが「C」の頭文字を持っていた・・・
 ダイイング・メッセージを扱った作品は多いけれど
 これは素直に驚いた。スゴいしおもしろい。
 詳しく書けないのがもどかしいけど、こういうのもアリだ。

「Yの誘拐」
 文庫で170ページほどの中編。本書の約半分を占める。
 第一部「成瀬正雄の手記」では、
 12年前に京都で起こった小学生の誘拐事件が
 父親の手記として綴られる。
 一人息子・悦夫を誘拐され、犯人の要求に応じて奔走するも
 人質は殺害され、事件は未解決に終わる。
 続く第二部「再調査」では、
 ネットに公開された「手記」を読んだ明世と理恵が、
 慎司と峰原を巻き込んで再調査を始める。
 京都へ赴いた彼らの推理は二転三転しながらも、
 事件に隠された意外な真相に迫っていく。
 ここで明かされる犯人の "真の目的" には、
 誰もが驚かされるだろう。
 年のせいか、父親の苦悩を延々と語る第一部がもう
 読んでいてつらくてつらくて・・・
 途中で涙がボロボロ出てきて止まらなくなってしまったよ。

最初の2作にはちょっと難癖をつけてしまったが、
好みは人それぞれなので、気にならない人も多いと思う。

本書に収録されている4作どれもが、
ものすごく考え抜かれて、見事な論理展開を見せる
良くできたミステリなのは間違いないし。

ミステリとしてなら★4つなんだけど
物語としてみるとねえ・・・
「Yの誘拐」の第一部が悲惨すぎて★半分減点しちゃいました。

ミステリ作品を、そんなところで減点してはいけない、
とは思うんだけどねぇ・・・スミマセン。


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コメント 3

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2015-01-25 20:21) 

mojo

コースケさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2015-01-25 20:21) 

mojo

makimakiさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2015-01-25 20:22) 

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