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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章 新星編」感想・・・のようなもの その0 [アニメーション]


※致命的なネタバレはありませんが、
 ある意味この記事の文章自体がネタバレです(笑)。
 円盤の到着待ち、あるいはTV放映待ちの方はご注意ください。


ある男の話をさせてください。
どこにでもいる、ごく普通のヤマトファンです。

ヤマトを愛し、ヤマトが見せてくれた世界を愛し、
地球が滅亡の淵に立たされたときは、古代たちと一緒に
イスカンダルへの大航海をともに ”体験” した。

そして ”帰還” した後は、当時の皆さんがそうであったように、
学業に打ち込み、あるいは社会へ出て身を粉にして働いてきた。

”彼” が望んだのはただ一つ、
「ヤマト」という作品が、”彼” の心の中で
”青春時代の素晴らしき思い出” として輝きを保ち続けることです。

しかし、いわゆる「1974年のTV第1作」or「1977年の映画版第1作」が
大ヒットした後、「ヤマト」が置かれた状況は、それを許さなかった。

当然のように「続編」を望む声が出ました。
それに応えて制作陣が生み出した「さらば宇宙戦艦ヤマト」。
しかし、その結果は・・・・・・

1978年の夏、映画館で「さらば」を見た時の衝撃。

「第1作」のテーマをことごとく全否定したその内容に、
裏切られた・・・その思いは間違いなくあったでしょう。

しかし、いつかは「ヤマト」が、
往年の輝きを取り戻す日が来ることを信じて、
それ以降、切れ目無く作られ続けた ”続編群” からも
”彼” は目をそらすことなく、向き合ってきました。

結果的に、”彼” はすべてのヤマトとつきあうことになりました。
「ヤマト2」「新たなる旅立ち」「ヤマトよ永遠に」「ヤマトⅢ」
そして「完結編」、さらには「2520」「復活編」まで・・・

”ヤマトの復権” に貢献できるファンの一人でありたい、
という願いにかけて。

『これは私の観たいヤマトではない』と思いながらも
”ヤマトのために” と、”彼” は自分の心を裏切ってきた。

しかし、全ては裏目に出て・・・
結局 ”彼” は、「ヤマト」という作品から離れることになりました。

「宇宙戦艦ヤマト2199」という作品で「ヤマト」が再び
陽の目を見る地位に戻ってきたのは望外の喜びでしたが
それまでには実に38年という年月が必要でした。


”彼” は、私です。

”ヤマトの続編群” が見せる未来に裏切られ、
「ヤマト」から、大事な何かが失われるのを感じ続けていた。

「ヤマト」だ、という理由だけで映画館へ足を運び、
本当の「ヤマト」を願う自分を見失ってしまった。

プロデューサーN氏の打算が
”第1作&「さらば」の遺産” を食い潰してゆくのを予感しながら、
どこに向かうとも知れない「ヤマト」を追い続ける。

そんな過酷な時代を生きた無名の人間の一人だったのです。


そして、「さらば」から40年の時を超えて公開された「2202」。
『あらゆる予想を覆し、真実の ”ラスト” へ』と銘打たれた最終章。

その内容が、「私の観たかった彗星帝国編のラスト」だったか、
と問われれば、違うようにも思います。
私の期待していたものとは
必ずしも合致していなかったのは間違いないところでしょう。

しかし、最終章を映画館で観た時に私の頬を流れていた涙。
それが全てを語っています。
「私はこの結末を受け入れている」と。

そしてこうも思いました。
「受け入れることのできた結末を見せてくれてありがとう」と。


私は「2202」を評価することに引け目は感じません。

最終話における古代と雪を救うことで、私もまた救われたと思えました。
この(考えようによっては)愚かしい選択の先に、
もう一度、本当の「ヤマト」を取り戻せると信じられましたから。

このラストを酷評する人、全否定する人もいるでしょう。
でも、私は自分の心に従ってこの結末に一票を投じます。

私にとって、私の心の中にある「ヤマト」の ”復権” は
ここにあると思えたから。

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