プロジェクト・シャーロック 年刊SF傑作選 [読書・SF]
東京創元社発行の年刊ベストSF短編アンソロジー。
本書は2017年版で、なんと第11集め。
本書は2017年版で、なんと第11集め。
発刊が始まった11年前、「日本SF冬の時代」とか言われてたが
現在は多くの雑誌(SF専門誌以外)への掲載や
書き下ろしアンソロジーなどが盛んですっかり勢いを取り戻したみたいだ。
現在は多くの雑誌(SF専門誌以外)への掲載や
書き下ろしアンソロジーなどが盛んですっかり勢いを取り戻したみたいだ。
ただ、それを読む私のアタマの方がだんだん老化してきて
理解できない、楽しめない作品が増えてるのは毎回感じる。
理解できない、楽しめない作品が増えてるのは毎回感じる。
それでは例によって、収録された15編をグループ分けしてみよう。
○理解できたし、楽しめたもの
「プロジェクト・シャーロック」我孫子武丸
人工知能に事件の推理をさせようという
"名探偵のAI化" が進行するが・・・
犯罪もミステリもビッグテータになってしまうのか。
人工知能に事件の推理をさせようという
"名探偵のAI化" が進行するが・・・
犯罪もミステリもビッグテータになってしまうのか。
「山の同窓会」彩瀬まる
女性が卵を産む世界を舞台にしたホラー風味の作品。
女性が卵を産む世界を舞台にしたホラー風味の作品。
「ホーリーアイアンメイデン」伴名練
ある "超能力" を持った姉に対して、妹から送られた
書簡の形で進行する、ちょっと怖い話。
ある "超能力" を持った姉に対して、妹から送られた
書簡の形で進行する、ちょっと怖い話。
「鉱区A-11」加藤元浩
人間が一人しかいない鉱山小惑星で、その人物が射殺される。
調査員の榊は、鉱区を管理するAIと会話するが。今どき珍しい、
アシモフのロボット三原則を真っ正面から掲げたSFミステリ。
人間が一人しかいない鉱山小惑星で、その人物が射殺される。
調査員の榊は、鉱区を管理するAIと会話するが。今どき珍しい、
アシモフのロボット三原則を真っ正面から掲げたSFミステリ。
「惑星Xの憂鬱」松崎有理
冥王星にちなんで "メイ" と名付けられた少年が
冥王星の独立を目指して国連に戦いを挑む話。
ちなみにメイくんの妹の名は "かろん"(笑)。
後半は永井豪の某マンガを思い出した。
冥王星にちなんで "メイ" と名付けられた少年が
冥王星の独立を目指して国連に戦いを挑む話。
ちなみにメイくんの妹の名は "かろん"(笑)。
後半は永井豪の某マンガを思い出した。
「階段落ち人生」新井素子
やたら怪談から転げ落ちる "くせ" のあるヒロインの数奇な運命。
彼女の話は読みやすくて分かりやすいのがいいね。
やたら怪談から転げ落ちる "くせ" のあるヒロインの数奇な運命。
彼女の話は読みやすくて分かりやすいのがいいね。
「ディレイ・エフェクト」宮内悠介
2020年の東京と1944年の東京が重なり合ってしまった世界。
ラストはちょっとミステリタッチで、夫婦愛の話として着地するのがいい。
2020年の東京と1944年の東京が重なり合ってしまった世界。
ラストはちょっとミステリタッチで、夫婦愛の話として着地するのがいい。
○理解はできたが、好みではないもの
「ルーシィ、月、星、太陽」上田早夕里
オーシャン・クロニクルシリーズの一編。
長編『華竜の宮』『深紅の碑文』を読んでないと意味が分からないかも。
それに、非人間が主役だと感情移入しにくいんだよねえ。
オーシャン・クロニクルシリーズの一編。
長編『華竜の宮』『深紅の碑文』を読んでないと意味が分からないかも。
それに、非人間が主役だと感情移入しにくいんだよねえ。
「Shadow.net」円城塔
いつもだと意味不明なんだけど、今回は
『攻殻機動隊』のトリビュート作品なので
とりあえず何が起こってるのかは分かった(笑)。
いつもだと意味不明なんだけど、今回は
『攻殻機動隊』のトリビュート作品なので
とりあえず何が起こってるのかは分かった(笑)。
「東京タワーの潜水夫」横田順彌
「逃亡老人」眉村卓
このお二方は、日本SF界のレジェンドとして有名なのは分かります。
でも、この2作はわざわざこのアンソロジーに入れるほど
凄い作品とは思えないんだけどなぁ・・・。
もう長老と言っていい方々なので功労賞なのかな?
横田順彌さんは先日お亡くなりになったが
それを見越してたわけでじゃないよねぇ。
「逃亡老人」眉村卓
このお二方は、日本SF界のレジェンドとして有名なのは分かります。
でも、この2作はわざわざこのアンソロジーに入れるほど
凄い作品とは思えないんだけどなぁ・・・。
もう長老と言っていい方々なので功労賞なのかな?
横田順彌さんは先日お亡くなりになったが
それを見越してたわけでじゃないよねぇ。
「髪禍」小田雅久仁
髪にまつわるホラーは数あれど、これはその極限かな。
髪にまつわるホラーは数あれど、これはその極限かな。
○理解できなかったもの
「最後の不良」小川哲
文章は難しくないんだが、何が書いてあるんだか
人に説明するのは難しい(笑)。
文章は難しくないんだが、何が書いてあるんだか
人に説明するのは難しい(笑)。
「彗星狩り」酉島伝法
「漸然山脈」筒井康隆
「親水性について」山尾悠子
この3作はもうお手上げです。しかし筒井康隆はまだ元気なんだね。
「漸然山脈」筒井康隆
「親水性について」山尾悠子
この3作はもうお手上げです。しかし筒井康隆はまだ元気なんだね。
○第9回創元SF短編賞受賞作
「天駆せよ法勝寺」八島游舷
地球から39光年彼方にある星へ向けて恒星間宇宙船が発進する・・・
しかしこの世界は物理学ならぬ "佛理学" がすべてを支配する世界。
物質ならぬ "佛質" をエネルギーとして法勝寺が飛翔する。
フランク・ハーバートがイスラム世界をモデルに
『砂の惑星』を書いたけど、それを遙かに上回る "佛教度"。
SF的な用語はすべて仏教用語に置き換えられ、
SF的な事象もすべて仏教的概念で説明される。
ここまで徹底するとたいしたもの。
地球から39光年彼方にある星へ向けて恒星間宇宙船が発進する・・・
しかしこの世界は物理学ならぬ "佛理学" がすべてを支配する世界。
物質ならぬ "佛質" をエネルギーとして法勝寺が飛翔する。
フランク・ハーバートがイスラム世界をモデルに
『砂の惑星』を書いたけど、それを遙かに上回る "佛教度"。
SF的な用語はすべて仏教用語に置き換えられ、
SF的な事象もすべて仏教的概念で説明される。
ここまで徹底するとたいしたもの。