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英国空中学園譚 ソフロニア嬢、仮面舞踏会を密偵する [読書・ファンタジー]

ソフロニア嬢、仮面舞踏会を密偵する (英国空中学園譚)

ソフロニア嬢、仮面舞踏会を密偵する (英国空中学園譚)

  • 作者: ゲイル キャリガー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/04/22
  • メディア: 文庫
評価:★★★


人類と、吸血鬼や人狼などの "異界族" が共存する
19世紀のパラレルワールド英国を舞台にした
スチームパンクなファンタジー、第3弾。


お転婆の度が過ぎて、「花嫁学校」(フィニシング・スクール)へ
入れられてしまったお嬢さん、ソフロニア・テミニックが主役。
「花嫁学校」とは世を忍ぶ仮の姿、その実態は礼儀作法のみならず
あらゆる諜報技術を仕込まれるスパイ養成学校だった。
その中を開校以来というぶっちぎりの成績で突っ走るソフロニア嬢。
前回は入学から半年後が舞台だったが、今回はそのさらに1年後のお話。


充実した学生生活を送るソフロニアたちだが、
友人の一人・シドヒーグに "伝書バト" のメッセージが届く。


彼女の正式名はレディ・キングエア。
<英国パラソル奇譚>シリーズに登場するマコン卿の子孫で
キングエア人狼団に育てられた少女だった。


その人狼団に何か大事件が起こったらしい。
シドヒーグはそれが何かを探るために学園から姿を消してしまう。


一方、旧友の失踪に心を痛めるソフロニアにも知らせが届く。
彼女の長兄が婚約することになり、それを祝う仮面舞踏会が開かれる。
ソフロニアもそれに出席することになったのだ。


親友のディミティとともにテミニック家へ向かうソフロニア。
エスコート役は、公爵家の御曹司・フェリックス。
今回もまた、ことあるごとにソフロニアに言い寄ってくる(笑)。


そして始まった舞踏会のさなか、シドヒーグと二人の人狼が現れる。
人狼団の動揺を抑えるために、彼女はスコットランドへ向かうという。


そのとき屋敷中のメカが突然、一斉に異常を来して停止してしまう。
その騒ぎに紛れて屋敷を脱出したソフロニアたちだが・・・


一路北へ向かうソフロニアたちは、
メカの異常停止が広範囲で起こっていたこと、
そして騒ぎを引き起こしたのは何者かの陰謀であったことを知る。


人狼、吸血鬼、空賊、そして異界族排除を狙う "ピクルマン"。
彼女たちは様々な勢力の思惑がからみあう陰謀に巻き込まれていく。
飛行船、馬車、そして蒸気機関車まで駆って陸に空に大活躍。
良家の令嬢にして優秀なスパイでもあるソフロニアの冒険が始まる。


物語としては、次第に "ピクルマン" の存在が大きくなってきた。
終盤では、"ピクルマン" の幹部(たぶん)にして
フェリックスの父親でもあるゴルボーン公爵も顔を見せる。
その冷酷非情ぶりは、まさに真打ち登場という感じである。


ソフロニアを巡る二人の男性、ソープとフェリックスの鞘当ても
今回はいっそう激しさを増してくるが、どちらにも一長一短あって
さすがのソフロニア嬢でも簡単には決められないようだ。


・・・なあんて思っていたら、終盤ではまさかの展開が待っていて、
この三角関係は大きく変化を遂げそうだ。


ソフロニアの周囲でも、人生の岐路を迎えて学園を去る者が現れるし、
なにより彼女自身が、本書のラストにおいて
自らの将来をかけた "ある選択" をすることになる。
その決断は彼女に何をもたらすのか。


次巻、完結。

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