SSブログ

『昭和40年男』2017年2月号を買いました [アニメーション]

2017年2月号

2017年2月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: クレタパブリッシング
  • 発売日: 2017/01/11
  • メディア: 雑誌



『ヤマト2202』の公式サイトにも載ってたこの雑誌、
今日、帰宅の途中に書店に寄ったら平積みで置いてあった。

表紙は1978年公開の映画
『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』のポスター。
ちなみに裏表紙はセルフオマージュの『2202』のポスター。


正直言って、買うかどうか迷ったし、
実際に手に取るまではけっこう葛藤があった。

 5年ほど前の記事にも書いたけど、
 この映画はいろんな意味で "衝撃" だったから。

とはいってもこの本、今回の特集は「俺たちのSF」。
『ヤマト』に限らず、昭和40年生まれの男子が辿った(であろう)
SF体験を振り返る内容になっている。
(私はもうちょっと上の世代なんだけどね)

それは、映画だったら『スター・ウォーズ』だったり
特撮TVだったら『サンダーバード』や『ウルトラセブン』、
マンガだったら手塚治虫の『火の鳥』、萩尾望都の『11人いる!』、
映画化もされた竹宮恵子の『地球(テラ)へ・・・』。

 そんな中に諸星大二郎の名や、
 星野之宣の『ブルーシティー』があったりして
 個人的にはとても嬉しかったりする。

そして、総計70ページほどの特集の中で
多く割かれているのは『ヤマト』(第1作)と『さらば』、
そして『スター・ウォーズ』だ。

『ヤマト』関係の記事では、三本のインタビューが目を惹く。

アニメ特撮評論家の氷川竜介氏のものは、
年季の入ったヤマトファンなら先刻ご承知の内容だろう。

メカデザインを担当した「スタジオぬえ」の宮武一貴氏は
当時の作画現場の苦闘ぶりを語る。これは貴重。

そして『2202』脚本・シリーズ構成の福井晴敏氏なんだが
もっぱら自身の『ヤマト』体験について語っていて、
『2202』関係の話はあんまり、というかほとんどない(笑)。

ただここでも「泣けるヤマト」という言葉を出しているので
かなり「泣かせる」自信はあるのかも知れない。
何をもって泣かせるのかが問題だが。

インタビューの中で「いちばん好きなキャラは?」
という問いに対しての答えが面白い。
福井氏も好きなキャラは一人に絞れないようなのだが
その中で「面白いと思ったキャラ」として一人の名を挙げ、
本編中のある台詞から性格を分析してみせる。
私なら「あはは、そうかもね~」って笑って済ませてしまうが
人気キャラなのでファンの人なら怒り出すかもしれないなぁ。

実は『2202』関係のいちばん大きな情報は裏表紙にあったりする。
ここに 『 第一章「嚆矢篇」 』 とあるのだ。
これがサブタイトルなのだろう。

ちなみに「嚆矢(こうし)」とは鏑矢(かぶらや)のことだ。
別名「鳴り矢」とも言って、矢の先端部分に細工が施してあって
射ると大きな音を鳴らしながら飛んでいく。
中国では、この矢を射かけるところから戦が始まったので
そこから転じて「物事の始まり」という意味になったとか。

今回はみな「○○篇」というタイトルで統一されるのかな。
「発進篇」とか「激闘篇」とかあるのだろか。

トータルでは『ヤマト』の記事は(表紙から期待されるほど)
多くはない感じだけど、上にも書いたように
かつてSF少年だった人には懐かしい内容になっていて
買って損は無いかと思う。

雑誌の残り半分は連載記事とかになっていて、
こちらも懐かしいもののオンパレード。

「昭和のベースボール」では巨人の河埜和正選手、
「再検証!昭和60年」ではブルース・スプリングスティーンや
ジャイアント馬場率いる全日本プロレスが
ゴールデンタイムのTV放送に復帰したときの話とか。
「俺たちのアイドル」では何と畑中葉子!
あのインパクトありすぎの迷曲(?)「後ろから前から」をめぐる話とか。
もうここまでくるとカオスとしか言い様がない(笑)。

毎回買おうとは思わないが、採り上げるテーマによっては
購入を考えてもいいかな、って思わせる雑誌だ。


しかし、思い返せば『さらば』から39年。
まさかこんな表紙の雑誌を買う日が来るとは
想像もしていなかったよ・・・


nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

少年少女飛行倶楽部 [読書・青春小説]

少年少女飛行倶楽部 (文春文庫)

少年少女飛行倶楽部 (文春文庫)

  • 作者: 加納 朋子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/10/07
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

中学校に入学した佐田海月は、
幼なじみの大森樹絵里に引きずられるように
「飛行クラブ」なるものに入部することになる。

 ちなみに「海月」は「みづき」と読む。「クラゲ」ではありません。

クラブの副部長である2年生・中村海星(野球部と兼部)に
樹絵里が憧れてしまったのがそもそもの発端。

 ちなみに「海星」は「かいせい」と読む。「ヒトデ」ではありません。

しかし二人の前に現れたのは
傲岸不遜で傍若無人な部長・斎藤神だった。

 ちなみに「神」は「じん」と読む。
 物語が進行すると彼の姉も出てくるんだが
 これもまたぶったまげるネーミングである。

しかも、規定の5人に足りないので正式な部活動とは認められず
顧問もつかず予算もないのだという。

そして肝心の活動内容は、
名前の通り最終的には「飛行すること」なのだが、
何をもって「飛行」とするのかも、
斎藤部長によるところの小難しい条件がある。

「あくまで自分自身が飛行すること」
「『落下』は飛行に非ず(だからバンジージャンプ等もダメ)」
「航空機やヘリコプターの使用も不可」
「理想は『ピーター・パン』の飛行」etc・・・

というわけで、活動以前の状態からして
既に無理難題を抱え込んでいる飛行クラブ。

新入部員となった海月は、そんな中にあって
最初のうちこそぶうぶう文句を言っているが
いつの間にかみんなの尻をたたいて
「飛行」の実現に奔走するようになる。

そんな彼女の奮闘を7つの短編で描いていく連作集。

「飛行クラブの成り立ち」
「空が飛べないとは誰にも言えない
 -もしくは飛行と落下の相違について」
「ウィ・キャント・フライ」
「働かざる者、飛ぶべからず」
「アンド・ソー・オン」
「ウィ・キャン・フライ」
「テイク・オフ」

物語が進むにつれて、仲間も増えていく。

マンションの4階から落ちて奇跡的に助かった
"リアル飛行少女" の仲居朋。

 ちなみに「朋」は「るなるな」と読む。「とも」ではありません。
 うーん、きらきらネームも極まれり、って感じですな。

高校野球ファンの両親の期待を一身に背負って生まれながら、
野球を好きになれず、異様に存在感の薄い餅田球児。

中盤あたりで、意外なところから「空を飛べる」可能性が示され、
それに向かって邁進し始める海月たち。

常に上から目線で、尊大が服を着て歩いているような
カミサマ部長もまた、少しずつ変わっていく。

そしてクライマックスでは、待望の "飛行" 当日に
海月たちはとんでもない "大冒険" に巻き込まれる。


とにかくキャラがいい。
登場する子供たちがみなよく言えばユニーク、
悪く言えば奇人変人の類だが、そんな彼らが集まって
「あーでもない」「こーでもない」ってわいわいがやがや。
その様子がとても微笑ましくて面白い。

そんな中で、かろうじて常識人なのは海星と海月くらいで、
なかでも海月ちゃんの奮闘ぶりが本書の読みどころだろう。

キャラが生き生きとしている物語を読むと思うことだが
彼らのその後が知りたい。長編が無理なら短編でもいい。
飛行クラブのその後、そして彼ら彼女らの成長した姿が見たい。

特に海月と神のその後が知りたいなあ。
いやあこのカップル、面白すぎるよ。


nice!(3)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ: