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少年少女飛行倶楽部 [読書・青春小説]

少年少女飛行倶楽部 (文春文庫)

少年少女飛行倶楽部 (文春文庫)

  • 作者: 加納 朋子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/10/07
  • メディア: 文庫



評価:★★★☆

中学校に入学した佐田海月は、
幼なじみの大森樹絵里に引きずられるように
「飛行クラブ」なるものに入部することになる。

 ちなみに「海月」は「みづき」と読む。「クラゲ」ではありません。

クラブの副部長である2年生・中村海星(野球部と兼部)に
樹絵里が憧れてしまったのがそもそもの発端。

 ちなみに「海星」は「かいせい」と読む。「ヒトデ」ではありません。

しかし二人の前に現れたのは
傲岸不遜で傍若無人な部長・斎藤神だった。

 ちなみに「神」は「じん」と読む。
 物語が進行すると彼の姉も出てくるんだが
 これもまたぶったまげるネーミングである。

しかも、規定の5人に足りないので正式な部活動とは認められず
顧問もつかず予算もないのだという。

そして肝心の活動内容は、
名前の通り最終的には「飛行すること」なのだが、
何をもって「飛行」とするのかも、
斎藤部長によるところの小難しい条件がある。

「あくまで自分自身が飛行すること」
「『落下』は飛行に非ず(だからバンジージャンプ等もダメ)」
「航空機やヘリコプターの使用も不可」
「理想は『ピーター・パン』の飛行」etc・・・

というわけで、活動以前の状態からして
既に無理難題を抱え込んでいる飛行クラブ。

新入部員となった海月は、そんな中にあって
最初のうちこそぶうぶう文句を言っているが
いつの間にかみんなの尻をたたいて
「飛行」の実現に奔走するようになる。

そんな彼女の奮闘を7つの短編で描いていく連作集。

「飛行クラブの成り立ち」
「空が飛べないとは誰にも言えない
 -もしくは飛行と落下の相違について」
「ウィ・キャント・フライ」
「働かざる者、飛ぶべからず」
「アンド・ソー・オン」
「ウィ・キャン・フライ」
「テイク・オフ」

物語が進むにつれて、仲間も増えていく。

マンションの4階から落ちて奇跡的に助かった
"リアル飛行少女" の仲居朋。

 ちなみに「朋」は「るなるな」と読む。「とも」ではありません。
 うーん、きらきらネームも極まれり、って感じですな。

高校野球ファンの両親の期待を一身に背負って生まれながら、
野球を好きになれず、異様に存在感の薄い餅田球児。

中盤あたりで、意外なところから「空を飛べる」可能性が示され、
それに向かって邁進し始める海月たち。

常に上から目線で、尊大が服を着て歩いているような
カミサマ部長もまた、少しずつ変わっていく。

そしてクライマックスでは、待望の "飛行" 当日に
海月たちはとんでもない "大冒険" に巻き込まれる。


とにかくキャラがいい。
登場する子供たちがみなよく言えばユニーク、
悪く言えば奇人変人の類だが、そんな彼らが集まって
「あーでもない」「こーでもない」ってわいわいがやがや。
その様子がとても微笑ましくて面白い。

そんな中で、かろうじて常識人なのは海星と海月くらいで、
なかでも海月ちゃんの奮闘ぶりが本書の読みどころだろう。

キャラが生き生きとしている物語を読むと思うことだが
彼らのその後が知りたい。長編が無理なら短編でもいい。
飛行クラブのその後、そして彼ら彼女らの成長した姿が見たい。

特に海月と神のその後が知りたいなあ。
いやあこのカップル、面白すぎるよ。


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コメント 3

mojo

はじドラさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-01-11 22:44) 

mojo

middrinnさん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-01-11 22:45) 

mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2017-01-15 01:20) 

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