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シン・ゴジラ [映画]

8月は外出も減らした、って先日の記事に書いたばかりなんだけど
生活維持のためのスーパーマーケットへの買い出しと
お盆関係の用事を除けば、
数えるほどしかなかったお出かけのうちの一つがこれ。
こればかりはどうしても観たかった。

実はかみさんも行きたがってたんだけど、
なかなか時間が合わず私だけの鑑賞となってしまった。

場所は家から一番近いシネコン。
さすがはゴジラで、田舎なのにしっかり上映していた。


例によってムズカシイことは書けないので
観ながら思ったことをダラダラと。

ネタバレもあるかと思うので、未見の方はご注意を。


■庵野的演出?

まず観ていて思ったのは、カット割りとかカメラアングルとかが
普通の映画と違うなあ、ということ。
ひとつひとつのカットも短くて、テンポ良くつないでいく。
たぶん、庵野氏か樋口氏が絵コンテを描いてるんだろうけど
アニメ出身の人が実写を撮るとこうなるのかなあ。


■シミュレーション?

ネットの感想に「会議のシーンが長い」ってのがあった。
たしかに映画の序盤における会議は、数も種類も多い。
政治家や官僚も常識を逸脱した事態に対応できない。
事なかれ主義というか先送りというか
"不明生物" への対処が遅れる。

そういえば、この映画では "怪獣" という単語は一切使われてない。
「実際にゴジラが現れたら」っていう
シミュレーションを描くというのも今回の映画の目的なのだろう。


■自衛隊の描き方1

いざゴジラが上陸し、被害が出てからも
自衛隊になかなか出動命令が下らないし
出動したらしたで発砲も簡単には行えない。
いちいち総理大臣の命令が必要なのだ。
シビリアンコントロールの原則から言えば
それは当たり前のことなんだけど、
その総理が決断をなかなか下せない。

いままでのゴジラ映画では、そのへんは完全に取っ払ってしまっていて
ゴジラが出た→自衛隊出動→攻撃開始→ぼろ負け
ってパターンがある意味お約束になっていたが
そういう、いままでなおざりにされてきた部分を
今回の映画はかなりきっちりと描いている。
ある意味原点回帰なのかも知れない。


■ゴジラ?

今回のゴジラだけど、最初に上陸した時にはゴジラと思えなかった。
背びれは間違いなくゴジラのそれなのに
全体は蛇とトカゲの中間のような形でしかも顔が恐い。
やたら目が大きいのに表情はなく爬虫類っぽさ全開でとにかく不気味。
ゴジラと対戦するもう一方の怪獣かと思ったよ。

思えば第一作の『ゴジラ』(1954)で
(もちろんリアルタイムではなく、レンタルビデオで観たんだが)
はじめてゴジラが登場するシーン。
山の稜線の向こうからニュっとゴジラが顔を出すシーンは
白黒の画像と初代ゴジラの造型も相まって、
とにかく恐かったことを思い出した。
こういうところも原点回帰か。


■自衛隊の描き方2

いままでのゴジラ映画では、自衛隊の開発した超兵器やら
対ゴジラ兵器やらが登場するのもお約束だった。
メーサー戦車に始まり、スーパーXとか機龍とか懐かしいねえ。
「vsビオランテ」なんて、自衛隊は善戦したよねえ。
抗核エネルギーバクテリアなんてのもあったし、
M6000TCシステムなんて大好きだったよ。

ところが今作では、自衛隊は通常兵器のみで戦う。
多摩川に絶対防衛線を設定した戦いは見応えがあった。
高層ビルを挟んでゴジラと自衛隊の攻撃ヘリが対峙するシーンがあって
「どこかで見た風景だなあ」って思ったら
「武蔵小杉駅付近」ってテロップが出て納得。

3年ほど前、いろいろ事情があって
何度か横浜に車で出かけていたんだが
あの辺は何度も車で通ったんだよねえ。

残念ながら通常兵器がゴジラに通用するはずもなく、
したがって自衛隊は無念の敗北となる。
現地部隊の指揮官役でピエール瀧がいい味を出してる。


■はみ出し者の戦い

自衛隊が歯が立たない "巨大生物" をどうするか。
最終的にゴジラを倒すことになるのは、
異端の学者や変わり者の技術者などを寄せ集めた
"はみ出し者" 集団なのは、映画としてはお約束の展開か。
まとめるのは二世議員の矢口蘭堂。
これも若輩者ゆえ、上への提言がことごとく容れられない。
しかしゴジラに
対して打つ手が無くなり、
彼と彼のグループに "お鉢" が廻ってくる。これもお約束か。

彼らの立案したゴジラ撃退法の "原理" が
今ひとつよく分からなかったのだが、
これは私のアタマが悪いせいかなあ。
wikiを読んだらいちおう解説されてるんだけど
できたらもう一回見て確認したいなあ・・・無理かなあ・・・


■放射能熱線

ゴジラと言えば口から吐く放射能熱線が代名詞だが
今回のゴジラはなかなかこの奥の手を出さない。
終盤近くになってやっとのご披露になるのだが・・・
いやはやすさまじいの一語。もっと言えばすんごくカッコいい。
これ、ゴジラ映画史上最強ではないかなぁ。
これを見るだけでもこの映画、金を払う価値があると思うよ。


■俳優

キャストが豪華なのもこの映画のウリらしいが
特に女性陣がいいなあ。
石原さとみは日系アメリカ人役で、英語の台詞に苦労したらしいけど
気になるほどではないし、なにより堂々と演じているのがいい。
環境省の変人官僚役の市川実日子もいい味出してるし。
余貴美子も、肝が据わった防衛大臣役で、とても気に入りました。


■音楽

音楽は庵野作品ではお馴染みの鷺巣詩郎氏なのだけど、
ゴジラ上陸や最終決戦といったシーンでは
懐かしの伊福部メロディが流れる。
いやあ私の世代では、これは胸熱だぁ・・・


■ゴジラvs東京

第一作以来、ゴジラによって何度も破壊され灰燼に帰した東京。
ところが今作の最終決戦では、
その "大都会" という地の利やインフラが
ゴジラを倒す "武器" として使われる。
あたかも "東京" が、積年の恨み重なる(笑)ゴジラに対して
"一矢を報いた" ようにも私には見えたよ。


■続編?

庵野氏は「1回だけ」という条件で監督を引き受けたらしいし
今回のラストは続きの作りにくい終わり方とも言える。
私個人としては、今作の続きにこだわらず、
自由な発想で作られたいろいろなゴジラ映画を観たいと思う。

3年とか5年間隔でもいいので、いい企画と才能ある監督を起用して
ゴジラ映画が定期的に製作されるようになるといいなあ。
あ、今回みたいに12年とか空いちゃうのは勘弁ね・・・


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mojo

31さん、こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by mojo (2016-09-01 23:42) 

mojo

ミホさん、はじめまして(ですよね?)。
nice! ありがとうございます。
拙い駄文ばかりのブログですが
よろしければ今後も覗きに来てください。
by mojo (2016-09-05 23:34) 

めとろん

mojoさん こんにちは。
ご無沙汰しております。

いやあ、シン・ゴジラ良かったですねえ。
あまりの面白さに3回も観てしまいました。私が同じ映画を複数回観るのはヤマトだけなので(笑)、そういう意味でも(どういう意味?)ゴジラは偉い!!

先日も全国各地で「同時発声上映」が開催された様で、まだまだその盛り上がりは収まりそうにありませんねえ。
ネットでも「尾頭ヒロミ」さんや「蒲田くん」の人気が凄まじいですね。特に尾頭さんは「もう今年のオタクィーンは彼女で決まり!」(そんな賞知らなかった)なんて声もありますね。

もう既に多くのな寸評がされていますので詳しくは省きますが、私が思うに「シン・ゴジラ」の素晴らしさは、mojoさんも「自衛隊の描き方」で触れられている様に、徹底したリアリティーの追及だと思います。ゴジラを超弩級の「天変地異」とすれば、それ以外のシーンは実際に起こり得る対応なので。

ところで、最初に観た時にEDのクレジットに「特務小隊(重機)エンブレム 出渕裕」とあったので、2回目、3回目も目を皿の様にして探したのですがわかりませんでした......
あと、噂では米国から日本に情報を差し出す時のファイルに「NCC1701-2199」と表記されているそうですが、これも確認出来ませんでした。
ヤマト大好きな庵野さんならではの遊び心が随所にありそうですね。
by めとろん (2016-09-17 12:06) 

mojo

めとろんさん こんばんは。
お久しぶりです。

『シン・ゴジラ』3回も観たのですかぁ。すごいですねえ。
私ももう一度見たかったのですけど、
今のところ近未来の予定が全く立たない状況なので、いつ行けるのやら。

7月から8月にかけて映画は3本観ました。
記事にも書いた『シン・ゴジラ』と『君の名は。』
(『君の名は。』も、もう一度行きたいんですがねぇ・・・)

あと一本は『インディペンデンスデイ リサージュンス』
これもそれなりに面白かったのですけど、
記事を書くまでのモチベーションは出てきませんでした。

「尾頭ヒロミ」人気はスゴいみたいですね。
ネットにも似顔絵とかがたくさん上がっているのを観ました。
サブキャラなのにこんなにムーブメントを起こしてしまうなんて
さすがは庵野監督というべきでしょうか。

ゴジラ映画はもういろんなパターンが出尽くしたかと思われてましたが
『シン・ゴジラ』の描き方は盲点だったかもしれませんね。
そういうところに着目した庵野監督の眼力も流石だと思います。

特務小隊(重機)エンブレムを出渕裕氏がデザインしているのは、
エンドクレジットで気がつきました。とは言っても
何しろキャストやスタッフや協力者がモノスゴイ数の映画なので
あの文字の洪水の中で見つけたのはホントにたまたまだったと思いますが。

「NCC1701-2199」についても、
ネットに情報が載っていたらしいのですが、
私は全く分かりませんでした。
「2199」は、もちろん庵野監督は分かってやってますよねえ。

実は6月に、J・J・エイブラムス監督のリブート版『スター・トレック』と
『イントゥ・ダークネス』のBlu-rayをポチってしまいました。
いやあ、やっぱりスペースオペラはいいですね。

『ヤマト2202』にも期待してます。
ブログでは文句やら懸念やらぐだぐだ書いてきましたけど、
ホントに期待はしてるんです(笑)。

by mojo (2016-09-17 21:47) 

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